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第四章

前日はフェルの家に泊まりそのまま登校していく、昨晩テツは約10人もの人間を殺し目覚めは最悪の気分で登校中は一言も話さず隣のフェルはどこか照れたように後ろからついてきていた。


学園につき廊下を歩き教室の扉に手をかけた時なぜか扉が重く感じテツは止まる、この扉を開けたら再び殺し合いの螺旋に巻き込まれるんじゃないかと考えた時に自分のお気楽さに気づき勢いよく扉を開ける。


巻き込まれるなんてもんじゃない……もう殺さなきゃ殺される世界に片足どころか全身たっぷり浸かっているんだと。



「おはよ~ガッ!!」



教室に入った瞬間に両手で顔を掴まれ醜い顔に変えられてしまう、目の前には無表情だがどこか怒りの気配を漂わせてるニノの顔が鼻がつく距離まである、後ろではエリオが腕を組み机に足まで乗せ不機嫌さをアピールしていた。



「テツ昨日帰りもしないでどこに遊びにいっていた」



「フェルとデートしてました」



「ほうデートとな、時に後ろのチビ助それは本当か」



フェルはえへへと表情を崩し笑いながらテツの背中を人差し指で円を描きながらクネクネと……男性から見たら可愛いが同性のニノから見ると神経を逆撫でされるようだった、まるで親猫が子猫を連れるようにフェルの首を掴みニノはそのままどこかへ行ってしまう。


顔を抑えながら席に座るとエリオが睨んでくる、組んだ指を何回も叩き首を傾けポキポキと鳴らし睨んでくる、テツはやれやれと肩をすくめた後に大きく肺に空気を入れて少し大きめな声でエリオに向かい言った。



「俺一人だけ女の子とデートしたから悔しいのかエリオ~こんなおっさんに先を越されて悔しいのか~……あぁそうか!! お前フェルに気があるのか~そりゃ悪い事しちまったなぁ~」



「なっ!! ちげーよ馬鹿!! ちげーからな!!」



表情から怒りは消えて焦りの色に変えてエリオが近づいてくる、テツはあまりにも期待通りのリアクションをしてくれたエリオに両手を広げ出迎えるとエリオは容赦なく素手で殴りかかってきた。


テツの真似をしたんだろうが素人のエリオの拳が当たるわけもなく空振りを繰り返す……その時近くにいた女子が小さく笑ったのをテツは見逃さなかった。


今まで恐怖の目でしか見られなかったが、あの笑いはクラスの男子の馬鹿を笑う優しい笑顔だと思った瞬間にエリオの拳が顔面に入る。



「お前あんま適当な事言うな!! 誰があんな冷徹女なんか好きになるかよ!!」



「こっちにきて初めて殴られたわ、エリオお前は図星を言われて焦って否定する思春期真っ盛りの反応だなぁ~」



テツは普段通りに接しているが内心では大きく変わっていた、人を殺してから見える景色も大分変わり手には何人も殺した感触と血の匂いが染みついてる、いくら覚悟を決めたとはいえ大量殺人をしてしまった翌日は理性を保つのが限界に近い。


これから何人殺そうが気にもしなくなる自分が予想出来て嫌になる、それでも戦うしかない……逃げ場などなく殺すしか生きる道はないのだから――元いた世界での常識は少しづつテツの体から剥ぎ取られていくようだった。



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