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17.「拳で守る」

 俺の弟子たちを精神操作したと告げるダダークは、彼女たちに命令を下す。


「さぁ、てめぇら! てめぇらの大好きな〝お師匠さま〟を殺して差し上げろ!」


 俺が振り向くと、空中に静止するアイシィ、ファイフィ、そしてサンダリが、正拳突きを繰り出す。


「やあああああああああ!」

「おらああああああああ!」

「えいや~」


 氷柱・火炎・雷撃が襲い掛かる。


「どわぁっ!? 何しやがる!? 俺様じゃなくてパーチを狙えって言ってんだよ!」


 ダダークに。

 慌てて避ける闇の精霊王。


「だって私、精神操作されていないもの!」

「ハッ! あたいが食らう訳ないだろ、そんなの!」

「サンダリの心~、無事~」


「なっ!? 一体何故だ!?」


 愕然とするダダークに、俺は答える。


「お前が精神操作しようと飛ばした魔力は、俺が衝撃波で迎撃した」

「は!? 本気で言ってるのかてめぇ!? 〝魔力感知〟にも引っ掛からないように出力を抑えた上で〝認識阻害魔法〟まで掛けた特別な魔力だぞ!?」

「三十年間毎日修行してきたからな。殺意や害意には敏感に反応する。それも、無意識レベルでだ。一見地道な修練こそが一番大切だということだ」

「そんなことで……!? ふざけんなよてめぇ!」


 怒りでプルプル震えるダダークに、俺の弟子たちが叫ぶ。


「ふざけてるのはそっちよ! 私たちまで精神操作しようとするだなんて! やあああああああああ!」

「ハッ! ここまでクズだと救いようがないね! おらああああああああ!」

「サンダリ~、怒った~。えいや~」

「チッ!」


 氷柱・炎・雷撃を必死に回避するダダークだが。


「アクエちゃんたち精神操作された者の恨み、ここで晴らさせてもらうっす! 『ウォータースピア』!」

「吾輩、絶対に許せないであります! 『ロックソード』!」

「あたし、めちゃくちゃ怒ってるし! 『ウィンドブレード』!」

「観念するのですわ! 『ニードル』!」


 アクエ、ソイリィ、ウィンドニー、そしてツーリの水槍・岩剣・風刃・棘が追撃する。


「がはっ!」


 避け切れず、先刻のように〝闇人形〟を出すものの、破壊されて、ダダーク本人の全身に突き刺さり、吐血する。


「これで終わりだ! はあああああああああ!」

「ぐはっ!」


 俺が正拳突きと共に飛ばした衝撃波がダダークの身体を貫く。


 奴は吐血しつつ落下、なんとか着地するものの、ふらついている。


「まだまだあああ……!」

「しぶとい……!」


 ダダークの身体が再生していき、腹部の穴も塞がっていく。


「だが、少々魔力を使い過ぎた。一旦戦略的撤退させてもらうとしよう」

「させるか!」

「逃がさないわ!」

「ハッ! ここで仕留める以外の選択肢はないよ!」

「倒す~」


 放たれた衝撃波・氷柱・猛炎・雷撃は、だがしかし。


「「「「!?」」」」


 全て弾かれてしまった。


 見ると、〝空間〟に〝罅〟が入り、隙間が出来ており、そこからダダークが顔を覗かせる。


「これが〝魔王〟と呼ばれる俺様の力だ! てめぇらと違って、俺様は〝次元〟に隙間を開けて、〝亜空間〟に移動出来るんだよ!」


 勝ち誇ったダダークが頭を引っ込め、姿を消す。


「力を蓄えたら、今度こそてめぇらを皆殺しにしてやる! もう精神操作とかどうでも良い! 全員殺してやるから、楽しみにしてやがれ! ヒャハハハハハハ!」


 〝空間〟に開いた隙間が無くなり、〝罅〟も消滅してしまった。


「待ちなさい!」

「行かせないよ!」


 アイシィとファイフィが飛ばした氷柱・火炎は、罅があった場所を素通りしてしまう。


「せっかく追い詰めたのに……!」

「チッ! 次元に隙間とか、そんなのどうしようもないじゃないか!」


 アイシィたちの言葉に、俺は「いや」と、呟く。


「拳で殴れば、大抵のものは破壊出来るんだ。仲間を、みんなを、世界を守るために、俺はこの拳を振るおうと思う」

「師匠……!」

「ハッ! さすが先生だね!」

「コーチ~、格好良い~」


 俺が、ダダークが姿を消した辺りを真っ直ぐに見据えて、腰を落として右拳を後ろに引くと。


 ぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぁ


「! また来てくれたんだな! ありがとう!」


 先程よりも更に大勢の微精霊と小精霊たちが再び出現、俺の身体にくっついて、魔力を提供してくれる。


「はあああああああああ!」


 超巨大衝撃波を〝超極細〟にまで凝縮、ダダークのように〝次元〟に〝隙間〟を作るんだという強い意志と共に放つと。


 パリン


 金属が割れるような音と共に、〝空間〟に〝罅〟が入ったかと思うと。


「なんでてめぇが開けれるんだよおおおおおおおお!?」


 一気に広がって崩壊、巨大な穴が開いた。


「くそっ! こんだけでかいと、塞ぐのに時間が掛かり過ぎる!」


 ダダークは、巨大穴を通って、亜空間からこちらへと戻ってくる。


「こうなったら、望み通り今すぐ決着つけてやるぜ! 変な希望なんて持たないことだ! 俺様は〝コア〟がある限り、何度でも再生するからな! てめぇらが勝てる確率はゼロだ! せいぜい絶望しろ! そして死ね!」


 ん?


 何故か巨大穴から跳躍、少し距離を取ったダダーク。


「うおおおおおおおおお!」


 両拳を握り咆哮を上げるダダークから、漆黒の魔力が膨れ上がっていく。


「はあああああああああ!」


 ダダークを真っ直ぐに見据える俺が全身の力と魔力を溜めると、仲間たちが皆、背中に手を当てる。


「師匠、もう一度使って下さい!」

「ハッ! あたいのをもう一回あげるよ、先生!」

「サンダリも~、また協力~」

「もう一回アクエちゃんの力、あげるっす!」

「吾輩、まだこの程度じゃ御恩をお返し出来ていないでありますから!」

「おっちゃん、何度でもあたしの使って良いから♪」

「貴方のためなら、わたくし何回だって協力させて頂きますわ!」


 もうほとんど魔力が残っていないだろうに、みんな無理しやがって……


「みんな、本当にありがとう!」


 右拳を光らせながら、俺はアイシィに問い掛ける。


「アイシィ。ダダークが言う〝コア〟ってのは、〝核〟のことだと思う。アイツの身体のどこに〝コア〟があるのか、感知出来るか?」

「はい! ……あれ? 身体のどこにもありません!」

「え!? じゃあ、周辺はどうだ? どこかにあるはずだ」

「感知範囲を広げますね。……周辺……国内……他国……せ、世界のどこにもありません!」

「何だと!?」


 一体どういうことだ!?

 

 ダダークが口角を上げる。


 〝コア〟がある限り、何度でも再生すると奴は豪語している。

 しかし、その〝コア〟が見つからなければ、本当に無敵になってしまう。


 いや、そんなの有り得ない!

 何か、カラクリがあるはずだ。

 考えろ! 考えろ!


 ……そういや、さっき、違和感を覚えたんだよな。

 なんでわざわざ移動したのかって。


 ……あ!

 そうか!

 もしかしたら……!


「一体、どこに〝コア〟はあるのやら」


 そう言いながら俺が、身体の向きを〝空間〟に開いた巨大な穴へと変えると。


「!」


 慌ててダダークが、巨大な穴の前に飛んできた。


「確定だ! 奴の〝コア〟は、亜空間の中にある!」

「「「「「!」」」」」

「チッ! だが、それが分かったところで、どうしようもないだろうが! てめぇらは俺様の最強魔法に敗れるんだからな!」


 更にダダークの魔力が膨張する。


「はあああああああああ!」


 負けじと俺も力を込めると。


 ぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぽわぁ


「! 最後の最後まで本当にありがとうな、お前ら!」


 数が多過ぎて〝光の奔流〟にしか見えない微精霊と小精霊たちが再度現れ、俺の身体に触れて、魔力を注入してくれる。


「師匠! すごいですよ! 世界中の微精霊と小精霊たちが集まっています! 属性も棲み処もバラバラの彼女たちが、ただ師匠だけのために!」


 言われてみると、様々な色の彼女たちはとても綺麗で、集まったその姿は、まるで虹色の太陽が出現したかのようだ。


「何をやろうが、無駄だ! 俺様に殺されるんだよ!」


 両手を翳すダダークが、一際大きく咆哮すると。


「『ジェットブラックヘルビーム』!」

 

 地獄を思わせる巨大な漆黒の光線が放たれる。


「行くぞ! はあああああああああ!」


 と同時に、俺も超巨大衝撃波を飛ばす。

 通常の衝撃波と違い、虹色の輝きを放つそれは――


「なっ!? 俺様の『ジェットブラックヘルビーム』が――」


 ダダークの巨大漆黒光線を呑み込んで。


「そんな馬鹿な!? この俺様が!? ぐはっ!」


 ダダークを空高く吹っ飛ばし、その背後の〝空間〟に開いた巨大な穴の中へと飛んでいき、その中に隠されていたダダークの〝コア〟を破壊して。


「ギャアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


 落下したダダークは、頭部と四肢のみとなっており、地面にバラバラに転がったそれらは再生能力を完全に失っており。


「……良かった。こんなおっさんでも、少しは役に立てたかな?」


 俺は、仲間たちと共に、魔王討伐を完了した。

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