表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/2

ここかい?生命樹…いや、ただの君の記憶の中だよ。

《ノア視点》


…痛い。でも、まだ生きてるみたい。龍神化したらあまり痛みは感じなかったけど…じゃぁアレかな。痛みを感じるほどにボロボロにされたのかな。


《…ノア、起きてみて》


大剣(ローゼムブレイド)で私に斬り掛かってきた時ではなく、最初に出会った時のような、柔らかい声で耳元に囁かれて、目を開けてみる。

…と、目に映ったのは荒れ果てた花畑だった。地面は抉れたり溶岩の様なものが流れていたり、空は美しい青空からぐちゃぐちゃに混ぜた絵の具で描いたキャンバスのように、色んな色が混ざった気持ちの悪い空だった。


…これを、私が…。


《ちょっと、勝手に絶望顔しないでよ。貴女に試練を課すために無駄に硬い貴女を鎮圧したのにさ…》

「し…しれん…?魔女のように…?」

《魔女じゃなくて守護者…。って〝烈〟のやつ、試練の内容言ってなかったの?…てか言う前に斬り掛かったのなら仕方ないわよね…》


…あの時の人格は〝烈〟っていうんだ。烈火みたいな人だったし案外そのままなのかな。彼女の名前って。

にしても試練とはなんだろう。力の制御かな。それとも武器の扱いかな。


《まーどうだって良いことよ。この方がより良い試練の与え方だしね》

「だから試練って…」

《これよ》


そうして、最初に見た天秤の様な魔道具を、目の前の彼女が手に持つと、私の心臓が押さえられたかのように、痛みで動かなくなる。


「っ…っぁ…!?」

《あぁ、別にあなたの意思は……。関係あるけど、やるやらないの拒否権は無いわよ?》


目線を上に上げると、片方の、歪な鉄球が乗っている方には、燃え盛るような炎がのっており、反対には今、まさに彼女が何かを乗せようとしていた。黄金にも蒼海にも見える、綺麗なガラス玉の様なものだった。


《赤色の炎には、貴女の〝意思〟。この場合は次に進む意思だとか、貴女の持つ心臓に、武器の取り扱いの技量…。そして…。〝マチルダちゃん達を思う意思〟〝次は必ず行えるという傲慢にも似た覚悟〟が乗ってるの。

逆に、今私が載せようとしてるのは〝それに釣り合うように仕掛けた負荷〟。言い換えれば心臓に突き立てる剣かしらね?》


どこ吹く風でそう呟く彼女は既にこちらを見ていなく、天秤にしか目線が行ってなかった。それにしても…〝負荷〟って…。なんなのよ…。


《安心なさい。光の中へと消えた時のように、必ず達成すると覚悟を決めてれば、これはただの通過儀礼となるからね。

…ただ、それが口先だけの約束とあらば……。》


死ぬってことね。…単純明快、けれども一度きりしかない次への行ける道。


《乗せるわ。準備は?》

「出来てる」

《ガッツのある女は好かれるのよ》


ガラス玉がもう片方の皿に置かれると、私の胸が一瞬チクリと痛んだが、それ以上のことは何も起こらなかった。

不思議に思い、また顔を上げてみると、変わらずの無表情だが口元が僅かに緩んでいる彼女を見て取れる。


《…これくらいなら別に問題はなさそうね…。私としてはもう少し苦しんでほしかったのだけれどね?》

「十分…苦しんだ」

《そのようね。…ま、私は見た部分(ゲームストーリー)以外は知らないから、貴女がどれだけ知らない箇所で苦しんだかなんてわからないのだけれどね》


相変わらず…意味のわからないことを…。けれども…、口ぶりから、試練ってやつは乗り越えれたのかな…。


《……まぁ、私はこのまま時間が経てば消えるから、手短に言うけれども…》


…消える…?


《信じる信じないは自由。けれども…最後に信じなければならないのは…。自分よ》


……。


《自身の最後の舵取り、それを他人に握らせてしまえば、後は右倣えの行進で救われないことばかりにしかならない》


視界の端で、何かが捲れるような感覚がした。


《1周目は提示された選択肢(ゲームの「脚本」)内でしか行動ができなかった。それどころか…「脚本」に背く選択肢は消された。そうでしょう?》


花々が枯れる感覚がした。


《入り乱れたありもしない時間軸(イベントバナー)、|いつの間にか知っていた背景サイドストーリー、手に入れたはずのない武器類…でも、貴女はまるでそれが手に取るように使えた(ゲームエンジンの動作)…》


世界が、白色になった。彼女の目の色でさえ、黒と白のグラデーションでしかなくなる。


《でもそれらは、世界樹の光に入った後の空白期間(サ終後)で、完全に切り離された。今貴女の手にあるのは、1周目で培った技術のみ。〝神ごとき〟のその力は果たして貴女に扱えるのか…見ものだわ》


ドクン、そう一つ心臓が鼓動すると、私はついに眠りについた。
























《〝零〟視点》


行ったわね。


彼女こそが、ミトラスフィアの記憶の庭(サ終.ver)の主…いえ、いわば、〝私達〟が間借りしていた世界の本当の〝龍神〟。〝私達〟はあくまでもその無数の枝分かれした完全にコピーされた世界で遊んでいただけの人。


…人って言っていいのかしら。ミトラスフィアの塔とかのボスって割と神に届く者たちばかりだけど、それをスコアアタックだとか遊んでたけど…。


まぁ、いいわ。さっきも言ったけど、1周目であった加護は失われた。後は、1周目で引き継げた記憶や武器の扱い方を思い出すだけ。それだけで彼女はオーバースペックの戦闘力を持てる。


ただ……魔女の思想はそう簡単に変えられない。1周目で手に入れれた命も、幾らかあえて切り離す気概でないと……。


〝同じ運命〟を辿るわよ。龍神。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ