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中編4

「*********、****。**、****。」


「****。***。」


「****。*********。」


聞き慣れない言語の会話が聞こえ、微睡んでいた頭に活を入れてサーリヤは自身の張ったテントの中で目を覚ました。


「おはようございます。お目覚めになられましたか?」


「・・・・・・・・・」


無言で見つめてくるグルークと挨拶をしてくるミルルを尻目にサーリヤは答えた。


「あぁ、おはよう。」


そう答えながらサーリヤはテントの入り口を軽く開ける。


真っ赤な夕暮れの日にどこまでも続く砂の世界が照らされて、砂丘の一つ一つが琥珀の如く力強く輝いていた。


「夕刻か。出発まではまだ少しかかるな。飯と今後の予定を詰めるか。」


荷物を入れた袋の中からサーリヤは三人分の食事を取り出しながら、グルークとミルルに語りかける。


「さて、自分で助けたとはいえ、成り行きでお前ら二人を抱え込んじまったから食料の計算が狂っている。砂漠で不測の事態は常に起こりえるから多めに飯は持ち歩ているが限度がある。普通に飲み食いしたら甘めに見積もってもあと二日分しか持たない。そこで今後の横断計画を変えようと思っている。」


「どのように計画を変えるのでしょうか?」


ミルルは神妙な顔つきで尋ねた。


「次に寄る補給地点を早める。具体的にはここから最も近いガナシャの国に寄って食料と水を補給しようと思っている。お前らとはそこでお別れだ。あいにくと俺を拾って育ててくれた師匠ほど俺は面倒見は良くねぇし、金もねぇからな。ちょっとした知り合いが居るから仕事の当てがないかくらいは口利きしてやるから、あとのことはお前らで決めろ。」


グルークとミルルは顔を見合わせる。


「**、****。」


「****。******。*****。」


短い会話を交わしあうと、ミルルは答えた。


「グルークからそういう約束で助けてもらったと聞きました。砂漠で野垂れ死にするだけの運命だった私たちを助けていただき、とても感謝しています。残り短い期間ですがよろしくお願いいたします。」


そう言ってミルルとグルークは頭を下げるのだった。


「・・・・よし。今後のことも決まったことだし、飯にしよう。といっても昨日と同じ乾パンと干し肉の味気ねぇ飯だがな。」


乾パンを齧りながらサーリヤは告げる。


「ガナシャの国までは大人の足で3日かかる。だがこれは昼に砂漠を進んだ場合の話だ。夜に砂漠を進む俺たちは多少は早く進めるだろう。子供の足で進むとはいえ4日ってとこか。だから食料と水はかなり節約しながら進むしかねぇ。特に水はお前らが起きた時みたいにぐびぐびとは飲めねぇぞ。」


ミルルは頷きながら答える。


「食料と水については分かりました。ですが、砂漠を進む速度についてはもっと早めることができるかもしれません。確かに私たちは子供ですが人間の大人と同等かそれ以上の速度で歩けます。奴隷としてつながれていた時も私たちが大事な商品だったからか、他の人々よりは丁寧に扱ってもらいましたし、サーリヤに水をいただけたおかげで体力は大分回復しています。仮に大人三人が夜に砂漠を進むとして、計算するとどのくらいでたどり着きますか?」


「・・・それなら2日でたどり着けるかもしれねぇな。だが、砂漠は普通の地面を歩くのとは違う。砂漠には砂漠特有の歩くコツがいる。結局のところ3日だ。3日かかる計算で食料と水を消費する。それでいいな?」


「もちろんです。私たちはサーリヤのお言葉に従います。」


そう言ってサーリヤのことを見透かすように、にっこりとほほ笑むミルルにやりずらさを感じながら、サーリヤはガナシャの国までの道程を計算するのだった。


「・・・ふぅ。サーリヤのおっしゃる通り普段の地面を歩くのとは勝手が違うのですね。砂に足がとられて息が上がってしまいます。」


サーリヤ達が日が出ているうちは休息を取り、日が沈むと共に砂漠を進むことを初めてから2日が経過していた。


ちびちびと大事そうに水を飲むミルルを見ながらサーリヤは言う。


「俺としては、むしろ助けた時はふらついていたのお前たちが俺の進行ペースについてきていることに少し驚いているがな。俺は幼いころから砂漠の国の育ちだし、これでもそれなりに長い期間この砂漠地帯を仕事場にしている。砂漠をまともに歩いたことのない奴が下手な横断屋よりも歩けているところをみたら、見習いの横断屋どもが泣くぜ。・・・それよりももっと驚いていることがある。」


そう言ってサーリヤとミルルよりやや先行して歩くグルークに視線をやる。


「獣人連中が俺より鼻がきくことは分かっているが、あいつの野生の魔獣より広い範囲で先に気付く力は尋常じゃねぇぞ。これもお前らの種族特性ってやつか?そもそもお前らはどんな種族でどんな所に住んでいたんだ?お前の兄貴は喋るのが苦手なようだったから要領を得なかったが。」


「私たちの種族については私たち自身もよく分かっていません。私たちの種族は文字を書いて記録を残すことをしないので。しかし、種族の中での口伝では私たちの先祖様はかつて神々に仕える誇り高き白き狼だったそうです。ですがいつからか神々からの不興を買い、下界たるこの世界の森に追放されたそうです。この地で良き行いをしたものは、再び神々に仕え、悪しき行いに身を染めたもの者はすべてが鉄でできた森で永劫の責苦を受けると私の両親からは幼い頃によく言われたものです。」


そう言ってミルルは少し遠くを見つけるような顔をしていたが、ハッを顔を引き締めると再び話し始めた。


「少し昔のことを懐かしんでしまいましたね。・・・ええと、私たちが住んでいた場所とグルークがなぜサーリヤより早く獣に気付けるかでしたね。まず私たちが住んでいた場所はオーロウの領域と呼ばれる森に棲んでいました。ですが森があった場所はこの大陸ではないと思います。詳細は分からないのですが、ここに運ばれて来るまでにずっと船に乗って運ばれている感覚がありましたから。もとの住んでいた場所からどれ程離れたところに連れてこられたはもう分からないですね。次にグルークが獣を早く見つけることができる理由ですが、それは彼が鍛えられた狩人だからです。私たちの種族の男は皆が幼い頃から狩人としての技を大人たちから叩き込まれます。様々な狩場で気配を読み、獣たちの痕跡を見逃さない術は彼が最も得意としていることです。私たちの種族の男たちの格言は『黙して、語れ』だそうですよ。狩場の中で音を出さないように仲間たちで連携するためでしょうね。そのせいか今よりもずっと小さかったときはグルークもお喋りだったはずなのに、いつの間にかあんまり喋らなくなってしまいました。」


そう言って少し残念そうにしているミルルの話を聞いていたサーリヤだったが、先行していたグルークの足が止まったことに気が付いた。

なんとかコツコツと進めております。作者です(汗)

この世界では他のファンタジー作品のテンプレに漏れず様々な種族が生活しています。

それぞれの特徴を活かした個性のあるキャラクターを生み出したいですが、

いまいちイメージ力が足りません。

まぁ追々頑張るとしましょう。

今はしっかりと物語を完結させることを目標に頑張ります。

あと、更新ペースも上げたいね!次回は11/28更新予定です。よろしくお願いいたします。

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