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ドロシーに迫る危機


「これで以上だな」


「へへっ、あんたのとこの武器ようやく買えて良かったぜ。そういえば三億で買った奴隷はどうしてんだよ。たっぷり堪能してんのか?」


「用は済んだ。お前と話す必要もない」


「ちっ……」


 帝国に武器を売りに行くと、必ずこんなくだらないことを一回は聞かれる。ドロシーの美貌もあってかそういう下世話な話に興味があるのかもしれないが、こっちとしてはうんざりしてしまう。


 ……でも、ドロシーの結婚指輪を作るためにも金は必要だ。汚い金かもしれないけど、それでも俺はドロシーの幸せのために頑張り続けるしかない。


「さて、次は……ここか」


 気持ちを改めて、次の顧客が指定した場所に向かう。俺の客は大体人通りの少ない場所での取引を望む人が多く、今回も同じく人気のない場所に呼び出された。ただ、今回は初めて取引をする相手。もしかしたら金を払わずに武器を奪い取ろうとする輩かもしれないから、俺は気を引き締めて客が来るのを待つ。


「お待たせしました、エリック・モンゴメリー」


「ああ」


 数分待たされて客がやってきた。服装を見た限り、高貴な身分らしき好青年でおそらく貴族だと思われる。今までも武器をコレクションしたいだとか、部下のためにとかで顧客に貴族はいたので、貴族が客だとしても驚きはない。


「それで、要件はなんだ。どの武器が欲しいんだ」


「いえいえ、私はあなたにちょっとしたビジネスの話がしたいのですよ」


「ん?」


「私の専属武器職人になりませんか? もちろん、それ相応の報酬はお支払いしますよ」


 ああ、たまにいるなこういうやつ。お金を持っているから、俺を自分の配下に置いときたいのだろう。けど、俺は誰かの下につくつもりはない。


「断る。そもそも、お前は誰だ。身分も明かさない奴なんか信用できないだろ?」


「おお、それもそうですね。私は、ディラン・ブライアー。ブライアー家の当主をしています」


「ディラン・ブライアー……!?」


 その名前を聞いて、俺は驚きを隠せなかった。だって、ドロシーを奴隷に貶めた張本人であり、彼女が恐怖に怯えている奴だったんだから。


「おやおや、もしかして妹から私のこと聞いていましたか?」


「お、お前……!」


 どうやら俺がドロシーを買ったことも知っているようだ。こいつ、一体何が狙いなんだよ……まさか、ドロシーを取り返そうとしているのか?


「そうお怒りにならないでください。私はビジネスの話がしたいだけなのです。あなたの武器は大変評判がいい。ですから、これから帝国がより勝利を収めるためにも、私たちと協力して欲しいだけなのですよ」


「ふ、ふざけるな! ドロシーを貶めたお前なんかの要求を聞けるわけないだろ!」


「そうですか。では、彼女が危険に晒されてもいいと?」


「て、てめぇ……」


 遠回しに、ドロシーへ危害を加えると脅してくる。多分、俺がどこに住んでいるのかももう把握しているのかもしれない。だからこそ、こんな余裕の態度をとってくるんだろう。


「どうしますか?」


「……」


「まぁ、いますぐ回答しなくても構いませんよ。一週間くらいは待ちましょう。どのみち、答えは決まっているわけですし」


 ドロシーのことで脅せば俺が思い通りになると確信しているんだろう。実際、今の俺にはこいつのいうことを聞く以外の選択肢はない。くそっ……ドロシーが幸せに過ごすには、こいつの存在はあまりにも邪魔すぎる。


「……考えさせてくれ」


「ええ、いいですよ。では、一週間後にまたここで」


 そう伝えると、ディランは裏路地から去っていった。今この場であいつを殺ることも考えなくはなかったが、おそらく部下が何人も身を潜めて隠れている雰囲気を感じたからそれは出来なかった。


 ……これからどうする。ドロシーに危害を加えられるくらいなら、あいつの要求を聞くしかない。でも、ドロシーがそのことを聞いたら……また、トラウマが蘇って気絶してしまうかも。


 でも、俺がするべきことは決まっている。ドロシーのことを、絶対に守り抜いて幸せにするって。そのために俺ができること……それを、色々と考えないと。

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