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これからもっとドロシーを甘やかします


「おお、ドロシーちゃん目を覚ましたのか! ほんと良かったなぁエリック!」


「あ、ああ」


「ん、なんだどうした? 二人とも顔が赤いし、熱でもあるのか?」


「い、いやそういうわけじゃない。な、なんでもないさ」


 ドロシーと初めてのキスをしたばかりということで、俺たち二人はジャックに不思議だと思われてしまうくらいに顔が真っ赤になっていた。少し時間が経ったってのに、まだ全然元に戻らないや……。


「そうだエリック。街に来てた騎士たちが警備なのか知らないがまだ街をうろついてやがる。貴族もまだいるかもしれないから、念のためにドロシーちゃんはこのローブを着ていった方がいいかもな」


 確かに、ドロシーがディランという人に見つかってしまったら厄介なことになるのは目に見えている。それなら念には念を入れてジャックの言う通りにした方がいいな。


「さすがジャック。何から何まで頼りになるよ」


「お前らお得意様がいなくなるのは俺としても困るからな。それじゃ、無事に帰れよ!」


 そうして、ジャックからもらったローブをドロシーに羽織ってもらって、俺たちは帰路に着いた。やはりジャックの言う通り街には騎士たちがあちこち歩き回っていて、街の中は緊迫した空気が流れている。


「手、離さないでくれドロシー」


「う、うん……」


 そんな街の中で、絶対に守り抜くと決めたドロシーの手をぎゅっと握りながら俺たちは街の中を歩いていく。幸いにも騎士たちはあまりやる気がなかったのか、警備は思ったよりザルで早めに街を出ることができた。


「思ったより簡単に街を出れて良かった。これなら早く家に帰れそうだ。大丈夫、ドロシー?」


「う、うん……平気だよ」


「でも、騎士たちあんまりやる気なさそうで助かったな。てっきり厳重な警戒をしているのかと思ってたけど」


「お、お兄様は……強引な人だから、あれも無理やり進めたのかも……。だ、だから……騎士の人たち、あんまりやる気がないんじゃないかな」


「なるほどな。……なぁドロシー、まだ話したくなかったら言わなくていい。お兄さんと……何があったんだ?」


 正直、そのことを聞くのは迷っていた。ドロシーにとって思い出したくもない記憶だろうし、喋るのだって辛いだろうから。でも、ドロシーから話を聞かない限りドロシーが置かれている状況を把握することができない。これから絶対にドロシーを守るためには、知らないといけないことだ。


「……嵌められたの。戦争を続けようとしていたディランお兄様に」


「嵌められた……?」


 ドロシーは俺の手をぎゅっと握り返しながら話してくれた。


「お兄様は皇帝に取り繕って、自分の都合のいいように裏で操っているの。戦争も、お兄様が積極的に進めようとしているから……全然終わらない。それを私は止めようとしてお兄様に反抗したら……私が信じていたメイドを利用して、私は騙されて奴隷商に連れて行かれて……。わ、私が嫌いな人も多いから誰も助けてくれなくて……」


「……ドロシー、ありがとう。もう充分だよ」


 やっぱり、ドロシーにとってあのディランという人は彼女を奴隷に落とした張本人というわけか。話すだけで辛くなることを話してくれたドロシーをぎゅっと抱きしめて、俺はドロシーの頭をポンポンと優しく撫でる。


「よし、これからもっとドロシーを甘やかす」


「ふぇ?」


「今まで以上にドロシーがしてほしいことをできるよう頑張るってことさ。俺にできることなら、なんでもお願いしてくれ」


 まだまだ俺はドロシーを甘やかしたりない気がしたから、俺はそうドロシーに宣言した。辛い思い出を忘れることはできないだろうけど、それでも今を楽しく生きられるようしてあげることが、俺の使命みたいなものだし。


「な、なんでもいいの……?」


「もちろん、ドロシーがしたいことをなんでも言ってくれ」


「……そ、そしたら……今日、い、一緒のベッドで……ね、寝てほしい」


「……え」


 てっきり俺は好きな料理をたくさん作ってほしいとか、欲しいものを買って欲しいとか、そういうお願いが来ると思っていた。けど、ドロシーは俺と一緒に寝ることをご所望してきた。こ、これは……なかなかに思い切ったお願いだな。キスをしたから、ドロシーも吹っ切れたのかもしれない。


「わ、私……ね、寝てる時もエリックがすぐ近くにいて欲しい。だ、だめ……かな?」


「……了解。それじゃ、今日の夜は一緒に寝よう」


 なんでもいいと言ったのは俺だし、それを断るわけにもいかない。それを承諾すると、ドロシーは小さく微笑んでくれた。この笑顔がもう二度と失われないように、これからもっと頑張らないとな。

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