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初恋

作者: 三鑰

恋した事が無い中学生男女のお話。

初々しい青春の恋愛を目指したつもりです。

これは青春恋愛小説です。

もう一度、これは青春恋愛小説です。

なんつーか、ソイツは変なヤツだった。

なんにもわかんねーし、なんにも喋らねーし。

授業中も休み時間もなんかノートにめっちゃ書いてるか窓の外眺めてるしかしてなかったし。

体育はいっつも見学だし、テスト始まったらずっと休んでたし。

そんなんだから、クラスで浮いててさ。

何回もクラスのヤツらに絡まれてたしさ。

いや、俺も何回か絡んだことあるし。

悪口言われても、カバンとか隠されても、表情ひとつも変わんねーしさ。

てかまず前髪長すぎて顔見えねーし。

ずっと変なヤツって、思ってたんだよ。

んで、1回俺さアイツのノート取ってみたんだよ。

書いてる時に、こうガッと。

したらアイツ珍しく焦ったのかバッて顔上げて、俺と目ぇあったんだって。

いつもは全然見えない顔が見えてさ、めっちゃ可愛かったんだよ、ソイツ。

俺ソイツから目離せなくなって。


その日からソイツが別人みたいに思えて。

ただ髪を耳に掛ける動作だけでも、すげーきれいに見えて。

窓の外見てる横顔すらも、めっちゃ美人に見えて。

気付いたら、アイツの事目で追ってて。

んで、アイツが絡まれてたらなんでか勝手に体が動いて、助けちまって。

そっからかな、アイツと喋るようになったのは。

アイツ、声も可愛くてきれーでさ。

なんつーんだっけ、鈴みたいな声?だっけ。

まぁ、そんな感じで。

そっからちょっとづつ仲良くなって。

笑顔とかも見れるようになって。

そんで笑顔もめっちゃ可愛いの!

これが、俺の最初で最後の恋だった。


んで、今忘れもん取りに教室に帰ってきたんだけど、アイツの机の中なんかノートあるの。

見ていいやつか?

そう思いノートを取り出すと、表紙には「小説」って書いてあった。

は、小説?

アイツ小説書いてんの?

パラパラと見てみるときれいな字で結構なページ数書いてあった。

「ふーん…ちょっとだけ、ならいいよな」

好奇心に負けた俺は、読み始めた。


多分30ページ位読んだところで小説は途切れた。

小説の内容は、いわゆる学園モノ。

高校生の、青春恋愛小説みたいなの。

結構面白かった。

んで、内容がこのクラスで起こった事とリンクしてて。

だからアイツずっとノート書いてたのか。

面白い出来事をその場で書くためにか。

1人で納得して、またノートを机の中に戻す。

そして忘れ物をちゃんと取り、教室を出る。

明日も忘れててくんねーかな、なんて思いながら。




今日はノートは無いと思う。

ちゃんとカバンに入れてたの見たから。

…明日に期待だな。



今日もノートは無いと思う。

ちゃんとカバンに入れてたの見たから。

…明日こそ…。



今日もノートは無いと思う。

ちゃんとカバンに入れてたの見たから。

…もう見れねーのかな。



今日もノートは無いと思う。

ちゃんとカバンに入れてたの見たから。

…なんかもう無理な気がしてきた。



そしてあの日から1ヶ月位たった。

まぁその間1回もノート見れなかったけど。

でもその1ヶ月で結構仲良くなれた。

まぁそれは置いといて。

今回も忘れもん取りに戻ってきた。

「あ、あるじゃん」

そしてノートがあるのに気付いた。

俺は少しばかりの嬉しさを噛み締めながら俺はページをめくった。



今回で完結したらしい。

最後は衝撃的だった。

まず主人公の女の子と男の子は両片思いで。

最後主人公の女の子が事故で死んで、それを知った男の子が後を追うように死ぬんだって。

それで、叶わなかった2人の恋は、天国で叶うー、見たいな内容だった。

まぁそこそこ面白かった。

途中もなんか色々あった。

クラスメイトが大怪我したり、主人公の事虐めてたヤツらが成敗されたり色々。

それで俺は読み切った、と言う満足感を感じながら帰った。







小説を読み切ってから、また1ヶ月が経った。

まぁなんかあったって言ったら俺の友達が骨折したくらい。

しかも利き手らしく、大変そうだなーって思う。

アイツはアイツで小説は書かなくなってて、前のが書き終わったからなのかわかんねーけど、ちゃんと真面目に授業中受けてるし、休み時間寝てるし。

相変わらず体育はやってねーけど。

あ、あと担任が変わった。なんか若い男の先生になった。

それくらい。



そしてまた1ヶ月が経った。

なんかアイツの事虐めてたヤツら別でなんかやらかしてが停学処分くらったみたい。

まーしょうがないな。

んまソイツらが居なくなっても変わらず俺はいつも通り過ごしてたけどさ。




そしてまた1ヶ月が経ち、卒業も近づいてきた。

俺は志望校への推薦を貰って、まさかの彼女と志望校一緒で。

あ、あとアイツと連絡先交換した。

貰った時は嬉しすぎて小躍りしたわ。

よし、受験に向けて、頑張らないとな。

今の俺は、もう小説の事なんて、忘れてしまってて。




そうして受験が終わり、高校に受かり、晴れて高校生になった俺。

全てが上手く行き、有頂天になっていた俺に、衝撃の事が舞い込んできた。

「アイツが交通事故で亡くなった」

そう聞いた時、時が止まったように思えた。

でも不思議と、悲しくはなかった。

そして俺の脳裏には、あの小説の事がよぎった。

…確かあの小説は、両片思いの男女が主役で、片方が死んで、それで、もう片方が死んで。

そこで俺は気づいた。

なんだか嫌な汗が大量に出てきた。

俺は自分に落ち着けと唱えながら1つ1つ内容を思い出していく。

主役は、両片思いの男女。

女の方はいじめられてて、そいつらが成敗されて。

男の方の友達が骨折して、担任の先生が変わって、恋敵が出てきて、2人で同じ高校目指して、2人とも受かって!

そしたら女が死んでっ!

それからっ!男の方が後を追うようにっ…!






…あ、ヤバ。

閲覧ありがとうございました。


甘酸っぱい青春恋愛小説でしたね。

甘酸っぱい青春恋愛小説でしたね?


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