2話 同類項
2話です!
あの会話から……毎日俺は、音羽にアタックし続けた。しかし何回やっても断れ続け、はや1週間が過ぎた。
放課後。教室を見ると派閥で分かれている。高2の俺らの新クラスの勢力もはっきりしてきた。まぁ俺はトップなんだが。
「お疲れさまやな」
そういって話しかけてきたのが、有川亮二。俺の1番の理解者であり親友だ。もともと俺はこういう性格だったから敵も作りやすかったが、亮二は理解してくれて、助けてくれた。ちなみに、
”りょう” ”れい”と愛称で呼び合っている。
「りょうこそお疲れなんじゃないのか?」
「あぁ……彼女のことか」
「あらあらお二人さん、隠れて何を話しているの?」
こいつは、上本紗耶香。俺の元カノであり、りょうの今カノである。
「紗耶香……これは男の大事な話だ」
正直いろんな感情あるから、こいつと話すのは気まずい。俺のこの言葉は、どっか行けという意味だ。
「別にりょうが彼氏なんだからいいじゃん」
「まぁそうだな、うん」
それ言われると何も言い返せない。
「それよりあんた今度は音羽? 懲りないね」
「うるせぇ。別にお前には関係ないだろ」
もともとおまえのせいだけどな……
「ま、そだね。でも音羽は私の親友だからさ」
「……そういやそうだったな」
紗耶香は音羽と仲良しだったな……盲点だった。
「まぁ迷惑かけないようにね?」
紗耶香からすごい圧を感じる。
「わかったよ」
「じゃ俺らそろそろ行くわ」
険悪な俺らを見かねてか、りょうが助けてくれた。
「おう、楽しんで」
俺は思ってもないことを口にしながら見送った。りょうはたぶん紗耶香が俺のことを嫌ってるから苦労しているんだろうなぁ……申し訳ない。
りょうたちが教室から出ていって気が付くと俺だけになっていた。
「……帰って、作戦でも練るか」
そういってバッグを持って、帰ろうと思ったらドアが開いた。
「あ」
最近よく目にする顔だ。学年1の美少女さん。
「何よ。私は忘れものを取りにきただけよ」
音羽はそう言うが……
「嘘つけ……お前ずっと廊下で聞き耳立ててただろ」
努力した俺の観察眼をなめるんじゃない。
「さぁなんのことかしら」
音羽はそう言って、参考書をバッグに詰め込んで、ぼそっと言った。
「で何だ要件は?」
「実はあなたに聞きたいことがあってね」
「……何だ」
「あなたは”こっち側の人間”じゃないかなって」
「こっち側?」
まさかこいつ……
「あなたが急に近づいてきたから調べてみたの。あなたは昔、紗耶香と付き合ってたわよね?」
「そうだな」
思い出したくない過去だ。
「別れてからあなたは性格も変わり、成績などもよくなった。そこで私は思った。あなたは完璧な男を目指してると……」
「そんなアホな」
そう言いながらも音羽の推理力に驚いていた。
「普通ならそう思うわよね。でも私とすごく被ったのよ」
「……お前も努力してここまで来たってことか。”完璧な女”を目指すために」
何があったのかは知らないが、俺と同類だとはな。
「察しがいいわね。そこで一つ提案があるの」
そう言って、間をおいて音羽は提案する。
「お互いの目標をかなえるために、協力関係になりましょう」
「なるほどな」
実にうまく考えた案だなと思う。ちらっと窓の外を見ると、もう空は暗くなり始めていた。
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