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第97話『悪くない。同じように』

「ね。セタ…。さっき出てきて

 挨拶した人さ…

 セタの代わりの人?

 なんだよね?」



『ああ…髪の色と質がそっくり

 だから、という理由だがな…』



 クロがセタに尋ねたのは、

【セタ様の部屋】と記載されたプレートの

 付いた、階段を上がって正面の部屋から

 出てきたメルコインのことだ


「へぇ~…。

 前の代わりの人は、もっとセタみたい

 にすらっとしてて。

 その…。うん。特別に"アレ"だった

 から…。ちょっと驚いたよ…。

 少しシャイだけど…

 いい人なのはわかったよ」



『ああ。そうだな…。メルコインは

 いいヤツだ。ちいさな体に、あの

 髪。金色のネムコみたいだろ?』



「……うん。そうだね。

 セタがそういうならそうだと

 思うよ」



『天気の人…と、サラはうまくいって

 いるのか?』



「あの…」とクロは言い淀んで、


「その…ごめんね。さっきから、

 その話し…。"サラの大好きな"…

 人のこと。セタはもう平気なの?」



『ああ…。別になにもないぞ。

 もう平気だ。サラやクロ、そして…

 私の代わりとしてサラと結ばれた

 天気の人…。最初の名前は、ウーノスで…

 "本当の名前"は何だったか?』



「…アミス」



『…』



「アミス・ロッド…」



『そうか………。いい名前だな…

 うん。すごくいい名だ……

 すべてが揃って、似合っているよ…』


 セタは、ベットの端から立ち上がり

 窓台に乗って毛づくろいするノーラと

 イーシャをみてから、日の差し込んで

 いる窓の外をみる


 太陽を遮ることを止めた雲が鈍く

 動いていて。フレア商店の橙色の旗が

 陽の光を浴びながらなびいている


『なあ。クロ…。"しばらく"

 ここにいるのか?』


 とセタはクロに聞いた



「うん…。そのつもりできたよ」



『いいのか?…サラには言って

 あるのか?』



「ううん…。言ってない…。

 書き置きだけはしてきたよ…

 セタのところにいって、

 戻るとだけ…ね」



『…サラは、』とセタは言ってから

 口を閉じ、しばし考え…



『ファル…。どうするべきだと

 思う?』と扉に寄りかかっている

 ファルにきいた


 ファルはこの部屋に入ってから

 一言も発せず、セタとクロの会話を

 黙ってきいていた


「そうね…」とファルは発してから 


「別にいいんじゃない…

 歓迎するわ…。と、さっき下で

 クロに言ったのよ…」



『ああ…。そうか…。まあ、

 それでいいなら。クロの好きに

 してくれ。私も歓迎するよ…』



「うん。ありがとう…セタ。

 ごめんね。サラのこと…

 考えさせてしまって」



『いいよ。まあ、サラが悪い………

 というのは冗談だ…。人間生きて

 いれば色々あるのだろう。


 出会いと別れ……。


 いいこと、わるいこと。

 楽しいこと。苦しいこと…

 悲しいこと。辛いこと…。寂しいこと…

 虚しいこと。ネムコと触れ合って

 気持ちいいこと。心安らかに、

 穏やかになること…

 あとの感情はなんだろうな…


 なっ?…ファル?』



「ええ。そうね。そうでしょう。

 それ以上は何も無いわ」


 淡々と答えるファル


 その声を聞いて、セタはまた空模様を

 ぼんやりとみてから、窓台のネムコ達に

 優しく触れた後。わずかに視線を落とし、


『そうだよな…。これからもずっと

 サラは何も悪くない…

 絶対に悪くないんだ…

 あいつは、一生。いいヤツなんだ…』


 と…。唱えるように、独り言のよう

 にいった


 自分に言い聞かせているような

 神妙な面持ちのセタに、


「…うん。そうだよ…。

 僕もセタと同じ気持ちだよ…

 サラは何も悪くないよ…


 サラは僕の優しいご主人さまで…

 いい人で…。

 これからも、ずっと…。一生ね」


 とクロも"同じように"返した。

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