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第90話『ネムコを中心に廻っている』

 セタの居ないブルウノスの村の宿

 その最上階の奥の部屋


 ネムコのお守りという"重責の任"を

 仰せつかったディルベットは…

 セタの寝台で、ゴロゴロとする…


 セタ様の真似をして、ネムコ達を

 安心させる為…という理由で

 "あえて"そうしている


 ノーラもイーシャもマイペースに

 変わりなく過ごしている…


 少女は、ノーラとイーシャを撫でながら、


(セタ様…。本当に…婚約するのかな…

 どうしているかな…)


 と主人を想う気持ちはいつもの

 通りだ…


 ブルーノの妹と弟の名前を

 考える余裕、(いとま)は今は無い…


 姉弟は今、セタの半従者である坊主の

 男と一緒に養蚕場の見学に行っている…


 桑の葉を一心不乱に食べる幼虫…

 孵化が近づき繭になり、人の手に

 よって殺され…生糸に変わる 


 ディルベットはネムコを撫でる手を止め

 窓の外をみる…


 細い路地を挟んでみえる…

 建物の上。橙色の桑の葉が描かれた

 白地の旗が風を受けて、はためいている


 姉弟の"本当の姉"であるブルーノ…

 それと、セタの身代わりとして"セタ様の

 部屋"に引き篭もる、口数の少ない

 メルコインが属する組織…

 

 二人が務めているフレア商会の旗だ…


 ディルベットは旗の揺れる外の

 様子を見ながら、


(可愛い"二人"が戻ってきたら…。

 お守りを代わってもらって…。

 洗濯をしまって…部屋の窓をすべて

 閉めないと…

 

 あと…。その後は…。

 なんだろうな……?


 セタ様のことを想いながら、また、

 この場所で、こうしてぼんやりと、

 ゴロゴロしていようかな……) 


 と、ここで扉を小突く音… 

 ディルベットが「はっ!」と驚き

 寝台からおりて、扉をゆっくり

 開けると…


 この村の神官であるクリスが、

 立っていた


「はぁ…。あの…クリス様?

 どうしました…?…あの、

 セタ様は今…」


 とここで、クリスは

「ああ…。知ってますよ…。先程、

 お父上から"詳しく"教えて

 もらいました」



「お父上…?セタ様の…

 あっ…"おじさま"ですか?」



「そうです!…それで、この宿の前で

 ウロウロとしていたので、

 連れてきました…。娘であるセタ様

 のことも、そうでしょうけど…。

 ネムコの方も、"すごく"…

 気になるようですね」


 とクリスが横を向くと…

 セタの父親であるアル・ブルウノスが

 ゆっくりと歩いてきた


「正直に言ってしまいましたが、

 あくまでも一人の意思で来た…

 という形式にしたいのでしょう」


 気づくと…ネムコ達は尾を立てて

 クリスの足元にスリスリと顔を

 擦りつけて歓迎の挨拶をしていた


 特にイーシャはクリスが

 お気に入りのようで、


「久しぶりね…。会いに来て

 くれないから、コチラから

 来ちゃったの」


 とクリスはしゃがみ込むと、

 笑みを浮かべてイーシャを撫でて

 顔を近づけて、匂いを嗅ぐ


「うん…。本物だ…。アナタの代わりに、

 アナタの匂いが付いた本をいつも嗅い

 でいるのよ…。罪深い獣だわ…」


 クリスがイーシャと戯れているのを

 みて、ノーラは、アルの方に向かうと…

 アルは大きな体躯を縮めるように

 屈んで膝をつくと、迎え入れる

 ように手を伸ばし、無言で

 ノーラを撫でる…


 宿の廊下に広がる…ネムコと戯れる

 この村の長と、神官の図…


 ディルベットにはこの光景が

 とても不思議に思えた…


 そして(セタ様がみたら…どんな

 反応をするのかな?)


 という感想を持った後、


(今、この村は…"ネムコを中心に"

 廻っている)


 そんな少し大げさな感覚を

 心中にて呟いていた

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