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第85話『否定出来ない…愛すべきもの』

 セタはゆっくりと目を覚ました


 ふとしたことから、自分が生きている

 ことを感じる瞬間が(ああ…いつも

 "ここに"あるのだな)と気づく


 歳月を経て、自室と化していた村の

 宿の最上階。その一番奥の部屋、

 寝台の上…


 小さな獣。ネムコである、ノーラと

 イーシャが仰向けになっている自分の

 両脇に居て…


 それは、"私の心情"を読み、

 寄り添うように…。感触はあたたかく、

 柔らかく、優しい心地を纏っている


『ノーラ…。イーシャ……そんな

 可愛い、優しい、お前たちが…。

 大嫌いだ……』


 そう言いながら、セタは涙を浮かべ

 放ってしまった最低の言葉を…

 下唇を噛んで、否定をする…



 ・・・


 ユーレイはいった


(貴女が、セタが…。


 ネムコを…

 誰よりも尊い存在の、

 "可愛い"ネムコ達を…


 本当に"嫌い"になれば……

 もしかしたら、その"魔法"が、

 解けるかもしれませんよ…)


 セタはしばらく考えてから、

 ひとつ息を吐いて、 


『………それがオマエの、

 "気づき"か?』



(はい…。そうです)



『…そのありえない"思い"が。

 ネムコを変えることになると?』



(確証はありません。可能性の話です)



『………フフフッ。そっか。

 よくわかったよ…。ならば、

 そうはならない…。望むようには

 ならない…ということだな…』



(まあ…。そうでしょうね。

 貴女がそうなることは予想できない

 よほどのことがない限りは…)



『………………』


 

(こんなことを言ってしまって、

 セタは、"苦しい"ですか?)


 セタは、ユーレイの言葉に

『違う…』と否定をし、

 わかりやすい溜息をついてから、


『もう、すでに苦しい状態だ…』


 と返すと…。揺り椅子から立ち上がり


『戻るぞ…。もうここでの"コト"は

 お終いだ…。いつもの通りに

 行こう!…』


 と歩いて、ネムコの研究場であり

 自分だけの人工楽園である小屋の

 扉を開けた



 ・・・



 セタがいつものように寝台の上で

 ネムコと戯れ、ゴロゴロとしていると…


 扉を小突く音…の前に、バタバタと

 した足音で廊下にいる存在に気づく


(なんだ…?)


 とセタが扉の方を見ながら、ネムコから

 そっと手を離して、足を床におろし、

 寝台に腰を掛ける


(うん…。何もない…入ってこないのか?)


 とセタが思案していると


 コンコン…と慎重に扉を小突く音…


『入っていーぞ!』とセタが声を掛けると

 扉が開く…


 そこには、困惑の表情を浮かべる

 従者のディルベット…。そしてその少女を

 妹を見るような目ですぐ後方で見下ろして

 いる坊主頭の男…



『どうした…?

 入ってこないのか?』


 セタの言葉に少女は「はい…」

 小さく頷くと歩を進め、セタの

 真ん前に立ち、


「あの………。その………」


 と言葉に詰まる


『どうした?…"らしく"ないじゃないか

 私の従者…ディルベット』



「あたし…。あ…。ワタシは…

 セタ様が…幸せであれば…

 それで…いいんです。


 …でも」



『うん?…唐突に?

 どうした…?』



「……やっぱり、"ネムコ以外"には

 渡したくない」



『……………ああ。そういうことか』



「…セタ様!」とここで男が

 間に入って声を掛け、


「お客様です…。セタ様の婚約者…

 いや、婚約する"予定"の方ですか?」



『おお…。そうか。来たか…

 会いに行こう』と言ってセタが

 立ち上がると、


「………ちょっと待って

 ください!」と少女はセタの着ている

 ノーラと同じ色のローブの裾を引っ張る


『…なんだ?ディルベットよ…』

 と見下ろすセタに、



「髪を整えてからです…。これは

 従者の大切な役目です」とディルベット



『おお…そうだったな。では

 頼むぞ…』と返すセタに、



「では、セタ様、"そいつ"が終わったら

 "下に来ます"とお客さんには、

 伝えておきますよ!

 

 あっ、出来たら…時間をたっぷり掛けて

 上げて下さいよ…ディルベット"さん"」


 と男は言って、階下に降りていった

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