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第79話『しばらくそのまま』


『なんだそれ?…』


 とセタが意味がわかりながら

 曖昧にして返したのは…


 部屋の窓から見える雲行きに対し

『これから、雨が降るのかな…?』と

 呟いたあと、振り向くと…


 背後に浮いていたシャーマンの

 女性の幽霊が(元気でしたよ…)と

 返答にならないカタチで伝えたからだ


 セタはその対象が、

 "天気の人"であり、セタの身代わり

 であった、かつて宿に住んでいた…


 今はサラの従者、そしてサラの恋人

 であるアミス・ロッドのことを

 言っているのだとわかり…

 あえて曖昧にして返したのだ


(前の神官さんとは、連絡をとり

 あっていないのですね?)


 前の神官さんとはサラのことだ…

 幽霊の悪気ない"感じ"の質問に…

 セタは重い溜息を付いてから


『ああ…。悪いか?…』


 と窓際から移動して、

 寝台端にストンと脱力気味に

 やる気なく座ると


『忙しいだろうから…"すこし"

 間をあけているんだ…。いずれ

 あっちから何かしらの"アレ"が

 あるだろう…。


 だから"しおらしく"

 …待っている』


 と答えた


(その様子…

 とても寂しそうですね…)


 セタは容赦ない幽霊の鈍感さ

 というべき性格に苦笑し、

 視線を床に落とすと…


 自嘲のかわいた笑いの後…


『ああ、寂しいのだろう…

 この私は…。いつまでも…

 ずっと』


 と"遥か昔"と呼べるくらいに思える

 過去に途絶えてしまった関係…

 唯一の幼馴染のことを想った



 ・・・


 

 曇り空が晴れることは無く

 空から雨が降ってきた


 セタは雨音のする窓の外を

 みて、ついで沈黙が流れていた

 しんみりとした室内の寝台の上…


 いつもの場所で気持ちよさそうに

 休んでいる二人のネムコ…

 我が子のノーラとイーシャをみて

 から、浮いている幽霊に目をやり


『なぁ…。ところで…

 お前は誰がどこにいるのか?


 わかるのか?』


 と"ふとした疑問"を口にすると…


 幽霊は(はい…。対象によります

 が…。わかりますよ)と答えた


 セタは『ほぉ…。そうか…。

 その対象にはネムコは入って

 いるのか?』


(はい。もちろんです…。精霊を扱える

 天気の人も入っています)


『ほぉ…。では"素敵さん"は…

 入っているのか?』


 素敵さんとは絵描きのミアトーレ

 のことだ


(いいえ…。ミアはその力が微弱、

 弱すぎます…。彼女は精霊がみえる

 だけで、扱える人間では無いからです)



『ふぅ~ん…。なるほどな…

 ではミアと同じように、精霊の扱えない

 私もわからないのだろう?』



(…………はい)



『そうか…。ではネムコは精霊なの

 だろうな…』



(はい…。ネ…コの精霊が結晶化

 した存在がネムコです…

 その存在は強力な"意思"の強さ

 があるので、わかります…)


 セタはネムコが精霊なら、自分も

 精霊使いなのでは?…と思いながら


『……だったら、イーシャが

 いなくなったとき…。真っ先に

 お前に聞いておくべきだったな…』


 と少しの皮肉を込めて言った



 幽霊は淡々と(そうですね…)

 と返し、セタは不機嫌な

 表情を"わかりやすく"晒し、


『つまり…


 私達が懸命に探していたとき…

 お前は黙って、みているだけ

 だった…。と言うわけか?』



(……いいえ。そういうわけでは

 ありませんよ。


 ただ単純に…。極力"運命に"

 関わりたくないだけです。


 この見えない透明な存在は、

 本来はこの世にいてはいけ

 ない存在ですから…


 どうか…わかってください)


 セタは沈思黙考の後、


『………………わかった。

 でも、私がお願いする時は

 答えてくれ…。ネムコが

 いない生活は、考えたくない』


 といった


 幽霊は、


(はい。…わかりました

 可能な限り、ですけど…

 セタの為なら…)


 と返した




 ★



 セタは寝台の上、

 ごろんと横になり


(ほんとに…。破茶滅茶な奴…

 信念の無い奴だったな…)


 と自分を捨てて村を出ていった

 サラのことを考える


 もちろん、本当にそう思っている

 わけでは無いのだが…。好きだから

 こそ皮肉を言いたい、悪態をつきたい

 気持ちにさせる存在ではあった



(…もう、忘れよう。ただの幼馴染だ…

 そう…。ただの、親友だ…

 私達は…ずっと)


 うとうとして目を瞑り、しばらく

 寝て休んでから…また起きると


 外の雨は止んでいるようで…

 日の落ちた暗がりの様子から、


(ああ…。もう夜になるんだな…

 あっという間にそんな時間に

 なったのだな…)


 とぼんやりとした思考の中で呟く


 ドアを小突く音がして

 ディルベットが一人、夕飯の迎えに

 やってきた


 セタの表情(ようす)から、いつもと違う

 "何かしら"を察していた従者…

 ディルベットは、先を歩く階段の踊り場

 にて振り返ると…


「セタ様…。今日は"一緒に"

 休みませんか?」


 と伝えた


 急な提案に、セタは

『おっ…』と発し反応してから


『ああ、いいぞ。だが…

 今夜は眠れそうに無いかも…

 

 さっき眠ってしまったからな…』


 と答えた


 ディルベットは微笑んでから


「では…。"一緒に"

 眠れない夜を…

 過ごしましょう。起きてましょうか?」


 と伝えた


 セタは『そうだな…。う~ん』と

 しばし考えてから


『…わかった。お願いしようかな』

 

 と返し、ディルベットの頭と髪に

 触れてから肩に手をやり…

 引き寄せ、抱きしめると…


(ありがとう…。

 私の従者…ディルベット)


 と優しく、小さな声で

 そっと伝えた


 足元にいたノーラとイーシャは

 その二人の様子を不思議そうに

 見上げ、眺めていた


 ディルベットは、ネムコ達の存在に

(子ども達が、待ってますよ……

 行きましょう…)と伝え、


 セタは(そうだな…早くしないとな)


 と返しながらも、応じずに…

 しばらくそのままでいた

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