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第72話『諦める夜の…お姉ちゃん"さん"』

 ブルーノは宿に戻ると…

 ファルの部屋に向かった


『……あら、"お姉ちゃん?"

 さん…。どうしたの?』



「ちょっと、内緒のお話しが…」



『あら、どうぞ…入って』



「どうも…」



 ・・・



 寝台端に座るファルと

 椅子に腰掛けるブルーノ


「あの…ファルさん。

 ちょっとお尋ねしますけど…

 "異性の方"で…お付き合いして

 いる方はいますか?」


 ファルは『うん…?

 話がみえないんだけど…

 どういう意味?』


「いや…その。とにかく

 異性で付き合っている人は

 いませんか?」



『いや…いませんよ…

 で…"コレ"はどういう意味なの?

 答えた以上は、教えて…』



「ええと…。それはまた今度で。

 ひとまず、そのことを聞きたかった

 だけです。へへへ…。じゃあ、

 失礼しまぁ~す…」


 ブルーノは椅子から立ち上がり

 部屋を出ようとする


『ちょっと…待ちなさい』


 とファルが言って制するも


「ごめんなさい…待たないです。

 ほんと…あとで必ずわかります

 から…ごめんなさぁ~い!」と

 逃げるようにブルーノは去って

 いった



(なんなのかしら…?

 いったい…)




 ★



 

 ブルーノは自室である

 "セタ様の部屋"と掲示された

 セタの身代わりが居る部屋に戻り…


「お~い…身代わりのメルコイン

 さぁ~ん…。いるぅ~」と本来の

 "軽い調子"で声を掛ける


 二段ベッドの上から、

 金髪で小柄の女性が顔を出し


「なぁに…?」と答える



「元気ぃ?…今日さぁ、

 野宿さんの一人がねぇ……」


 そのタイミングで、扉が

 開き…


「お姉ちゃん!…おかえりぃ~」

「おかえり、おつかれさま」


 とブルーノの妹と弟が

 入ってきて声を掛ける


 ブルーノは「ただいま…二人は

 セタ様のところに行ってたの?」


「ううん…。ワタシは、きょうは

 ディルベットのお姉ちゃんのところに

 行って、お仕事をてつだっていたの…

 そのあとお話ししていたの…」


「僕は、せのたかいお兄さんといっしょに

 ネムコの砂をかえるお仕事をしたよ…

 お兄さんカギを作るのがとくいなんだ…」


「そうなんだ…。二人とも

 別々に動いて、働いて…偉いね」



「ううん…。エライのは…

 ディルベットのお姉ちゃんだよ」

「うん、お兄さんも"さいしょ"

 こわかったけど、やさしいよ」



「へぇ…」とブルーノは

 二人の勢いに押されそうになる


 こんなにも自分の妹と弟が

 "しっかり"していたとは

 夢にも思わなかった…


(私と一緒にいたときは…

 いつも私を頼って泣いたり

 いじけたりしていたのに…)


「ここの暮らしにも慣れてきた

 ということね…」


「うん!がんばる!」

「うん…もう大丈夫」



「そう…。じゃあ、部屋に戻って

 寝なさい。お姉ちゃんは、

 この人とお仕事の話しがあるから」


 二人はメルコインをみて

「おやすみなさい!」

「おやすみなさい…」

 と伝えて部屋を出ていった



「今日は私も隣(の部屋)で

 眠ろうかなぁ~…どう思う?」



「……どっちでも」



「あ、そんなことよりも…。

 さっきの続きよ…。それでね…

 "野宿の人"が…」


 と…そのタイミングでまた

 扉が開き…


『あら…部屋を間違ったかな…?

 ここは"ダレの部屋"かしら?』


 とファルが惚けていった


 ブルーノとメルコインは

 そのファルの様子に…黙したまま


『何も返答が無い…ということは

 やっぱり…あってたのかな?

 中に誰もいないみたいだし…

 

 "おとなしく"寝ていようかな…』


 と中に入ってブルーノの前を

 通り過ぎ…寝台に腰掛けて

 横になる…


(大胆不敵だ…)と

 ブルーノは思いながら、

 寝台に近づいて端に座って

 横になっているファルをみて


「あのぉ~…。すみませぇ~ん

 そこぉ…私の寝床です」


 以前は二段ベッドの上が

 ブルーノの寝床であったが…


 ブルーノが外から帰る度に

 メルコインが二段目を占有している

(されている)ことが続いた為…

 仕方なく交換をした


 ファルは嘘っぽい欠伸をしてから、


『ああ…別に私は寝るのはどこでも

 構わないから話しを続けて…。


 "野宿の人"が…どうとか言ってた

 ような気がしたけど…。それ以上は

 何も聞かないように"努力"するから、

 安心して』



「………」


 ブルーノは無言のまま、

 端から立ち上がると

 メルコインと視線を交わして


(どうしよぉ…)と目で訴える


 メルコインは(明日にしたら…)

 と小声で返すと、


『……"今日の方"がいいと思う…

 今日のことは今日の内に行う

 のが、"流れとして"

 正しいのよ…。ああコレは

 独り言よ…気にしないで』


 と下でファルが声を出す


 ブルーノは「はぁ~~~~」と

 大きなため息付いて、


「参りました…。話しますよぉ…」


 と小さく言って、再度寝台端に

 腰掛けると…


「メルさんも…。降りてきてよぉ…

 隣に来てちょ~だい」


 といった


 メルコインは「うん…いく」と

 返して梯子を使わずにスルリと

 軽快に寝台の二段目から降りると、

 ブルーノの横に付いた…


「ちょっとぉ~。なんか

 すっごい密着してくるんですけどぉ~

 どういうことぉ…?」


 と嫌そうにするブルーノに


「セタ様の真似…」と伝える

 メルコイン



「ああ…。そう…じゃ、別にいいよ。

 でも話しにくいから、少し離れて」



「わかった…ちょっとだけ」


 ほんとにちょっとだけ離れる

 メルコインに…。ブルーノは

 再度ため息を付いて


「もういいよ…。色々と

 諦める夜なのねぇ~…

 今日はぁ~…」と嘆く


 ファルはいつもとは違う

 ブルーノの本来の語尾がダレた

 感じの言葉使いを聞きながら


(何だか、ブルーノのお姉ちゃん

 "さん"は…あの酒飲みの母親に

 "素の部分"が似ているわね…)


 と思った

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