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第65話『街の宿』

 見るからに高級そうな宿に泊まって

 いるのは…。セタの従者である

 ディルベット、そしてブルーノの

 妹と弟の三人で…


 ファルはその場にはいなかった


 フカフカの大きな寝台の上、

 仰向けになると、ディルベットは


(はぁ~…。"お金持ち"って…

 すっごいなぁ~…。


 セタ様には怒られるかも

 知れないけど…。

 村の宿とは違うなぁ~…


 でも…。高そうなモノが多いから、

 住んだら、掃除が大変だなぁ~…)


 と"ぽかん"と口を開け…

 田舎者丸出しの顔を晒し、心中にて

 独り言を漏らす


 ブルーノの妹と弟も同様にして

 仰向けになると…


「すごぉ~い…天井たか~い」

「うん…。そうだねぇ~」


 と口を半開きにしたまま

 感想を述べた



 ・・・


 一方ファルは…ディルベットが

 財布袋を持っている為…

 少し格好をつけてしまった…

 先ほどの一連の流れから…安宿に

 "自腹"で払って泊まり、


 荷物を大事に抱えながら

 粗末な造りの軋む音のする

 寝台の上で横になって


『あの…フレアのぼんくら。

 殺すのなら、さっさと殺して

 みなさいよ…』と独り言を

 呟いていた



 ★



 少し前の話し…



『お金は"たんまり"あるみたいだから…

 今夜はいいところに泊まりましょ』


 とファルが言うと

 ディルベットは…


「でも…。セタ様のお金だし、

 もうちょっと安いところが

 良いかと…」



『なぁに、大丈夫よ…。

 私が値段を交渉して上げる

 から心配無用…そんなに

 掛からないわ』



「それなら…いいですけど」



「…お姉ちゃん。ワタシは

 どこでもいいよ」

「僕も…お姉ちゃんたちと

 一緒ならどこでもいい」



『泣かせるようなことを言って

 くれるわね…』


 と言いながら、ファルは

 ディルベットが選んだ、

 一番高級そうな宿に入っていく


 そして…値段の交渉以前に

 受付から


「申し訳ありませんが…。その

 "身なり"では、この宿には

 泊まることは出来ません…」


 と言われてしまう


 ファルは食い下がり

『"身なり"よりも…"お金"でしょ?

 ディルベット…この受付の

 お兄さんに、お金をみせて

 あげて…』



「あ、はい…。これくらい

 あります。でも…ちょっと

 安くして下さい…

 お願いします」


 ファルは少女の言葉を聞いて

『ちょっと…』と腕に触れて引き寄せ、

 耳に口を近づけると


(…そんなこと、最初に言ったら

 ダメなのよ…。下にみられるから)


(そうなんですか…すみません)


 と二人でこそこそと話していると


「セタ様の従者の…ディルベットさん

 ですね?…それと連れている二人の

 幼い子供は私のところの人間の…

 まだ名前は付けられていない、

 妹と弟…


 そうですよね?」


 と…。先ほどの受付の人間とは別の

 女性の声がした


 ファルが『……あれぇ?』

 と"嫌な感じ"の声を漏らすと


「…もうひとりの"浮浪者"の方は

 どなたか存じ上げないのですが…


 誰でしたか…?ごめんなさい…

 どこかで会ったような気がしますが

 "まったく"思い出せません」



『………ミール・フレア…ね?』



「……はい。よくご存知で…。街の外から

 来た、浮浪者の方にも名前を知られて

 いるとは…。私も出世したものですね」



『………何で"ここに"いるの?』



「何で…とは。また…。ここは、

 南メイガンの街は…。フレアの縄張り

 ですよ…。私がいるのは当然です」



『……"お偉いさん"のアナタが

 受付(ここ)にいる理由よ』



「……ああそれは、偶然ですよ。

 偶然…。


 村の情報はすべて私に入って

 くるのですから…偶然です」



『その説明で"狙って"ではなく、

 "偶然"と言っている意味が

 全くわからないのだけれど……』



「さて…。こんなところで無駄な

 会話、立ち話も疲れるでしょう?


 …セタ様の従者のディルベットさん

 それとフレアの人間の関係者である

 二人は、このあと汗を綺麗に流して、

 着替えをして、お食事にしましょう…」



『はぁ…。なるほど…

 そういうことね…


 このあとの"処遇"は、

 だいたい想像が付いているけど…

 "浮浪者"にみえる…この私は?』


 ミールは「う~ん…」と

 わかりやすい嘘っぽい声を出して


「………そうですね。やはり…

 浮浪者の方は…ちょっと

 困りますね。もしよろしければ…

 

 パンと温かいスープをお持ちします

 ので、浮浪者らしく外で貪る…。あ

 違った…。

 上品に、お外で優雅にコッソリと

 "召し上がって"下さい…」



『………じゃあ、多めに持ってきて。

 浮浪者らしく外で下品に食べて

 この宿の前をゴミとネズミだらけ

 にしてあげるから、後でアナタが

 掃除と駆除をしておいて…』



「はい…。でも街で野宿というのは

 少し物騒でしょう?

 可愛そうなアナタに…ピッタリの

 窃盗の恐れの無い、安価な宿を

 紹介してあげますよ…」



『………よく知らないけれど、

 フレアのお偉いさん…?だっけ?


 そんなアナタがこんな浮浪者にも

 親切にしてくれるなんて…

 嬉しくて感動で、涙が出るわ、

 ありがとう…


 ところで…アナタは私を殺しに

 来るんじゃ無かったの?』



「いいえ…。いつでもそれは出来ます

 から…。もう少し楽しませてくれない

 と、ツマラナイ…。人生において、

 張りがないというのは…すごく退屈で

 困ります」



『………』



「……何ですか?」



『酒飲みの腐った"アレ"よりは

 マシだけど…

 憐れな女ね…。アナタ…。


 じゃあこの子達をよろしくね…

 明日の朝、ここに来るから…


 今日は悲しいコトがあったから

 美味しものを食べさせて上げて…


 私は何もいらないから…』


 と言い残して、ファルは

 宿から外に出ていった


 ディルベットは追うべきが

 迷ったが…


「いいのよ…。今夜はここで

 泊まっていきなさい。お金は一切

 掛からないから、お土産も買える…。

 主のセタ様もよろこびますよ…」


 とミールは少女に優しく言って

 続いて、ブルーノの妹と弟には


「ほらっ…。あなた達も……

 大好きなお姉さんの仕事場の

 上司が言っていることに

 従っておきなさい…


 言うとおりにしたら、

 二人のお陰で、お姉さんの評価が

 上がり、お姉さんとても喜ぶわよ…」


 と上手い具合に説得し、三人は

 この宿に泊まることにした

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