表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/101

第35話『ちょっとした王様的"孤独"と比べて』


 雑木林を抜けた場所にあるぽっかりと

 空いた平原。枯れた芝生のなだらかな

 丘の上で春を待つ枯れた葉無しの大木


 その丸裸の寄らば大樹の陰にて一人

 あぐらをかいて休む何とも言えない

 表情のセタに、



(ちょっとした王様的"孤独"を

 感じているのですか?

 セタ"様"は…)


 とシャーマンの女性の幽霊が

 話しかけた



 セタは『はぁ~』とわかりやすい

 疲れた息をひとつ吐き…

 ぼんやりと中空をみながら


『そうみえるか?…だがこの孤独は、

 幽霊には敵うまい』


 と言ってやる気なく微笑んだ



(……そうですか?


 結構楽しいですよ…。肉体を捨て

 去るのは…

 

 生きていた頃よりも、潔い存在

 になれている気がします)



『…ほぉ…そうか。


 まあ、自分だけの楽しみや幸せ

 のカタチがあれば、それで

 いいのだがな…』



(………ああ、そうだ。

 セタ様。そんなことよりも、

 髪の毛…結局切らないのですね

 もったいない…)



『ははっ…。以前にこの場所で、

 そんな話をしたな…。


 だが、私の従者は大反対だ…


 いつもの手入れの時間が少なく

 なるのが、寂しいと…

 切ない瞳で、訴えるように

 言っていた。


 素直なものだ…。私はその

 こだわりと情熱に負けたよ』



(……なるほど。そうですか。

 非常に残念です。セタ様と

 同じ髪型になれたのなら、

 楽しかったのに…)


 セタは目を開けて、幽霊を視界に

 とらえると…


『いるはずのないお前まで、

 私に"様"をつけるな…』


 と…。消え去りそうな

 小さな声でいった


 幽霊は、

(わかりました…。セタ)


 と返し、しばしの沈黙の後、


(旅にでも出たらどうですか?

 あの逞しい盲目の旅人の

 ように…)と伝え、


 セタは『ふっ…』と息を吐き、


『ファルのことか?…

 まあ、昔、旅に出ようと考えた

 ことはあるが…それはネムコの

 為だ…。目的が達成出来たので

 もう旅に出る必要はない…』



(つまりセタは、"ムラ"で

 ずっと過ごすのですか?)



『そうだな…。そうなるだろう…

 きっと。…何か問題でも無い

 限りは…。うん。そうなる』



(それは幸せですか?)



『……まあ、ノーラと一緒なら

 どこにいても幸せだろうが…

 もちろん、イーシャも、

 他の皆も…』



(セタがいなくなれば…

 多くのムラの人間が悲しみ、

 そしてムラを離れるでしょう…)



『ならば、消える前に"偉大なる"

 セタの金色(こんじき)の彫像を、

 ムラの出入り口に建てておこう…


 この像はしぶとく図太く

 まだ辛うじて生きてます。


 という注釈付きで…。それなら

 誰もムラを離れられないだろう…』



(それは"本気"ですか?)



『んなわけ、あるか…

 精一杯のつまらない冗談だ』



(…そうですか。つまらない)



『…ああ、つまらないことだ

 そんな悲観的にモノを考える

 のは、私らしくないし、

 人生をつまらなくする…』



(…………セタ。終わった様ですよ)


 セタが小屋の方に目をやると…

 先にファル…。そして少ししてから

 二匹のネムコを両脇に器用に抱えた

 ミール・フレアが小屋から出てきて


「セタ様!ネムコ達を離しても

 大丈夫ですかぁ~?」


 とミール・フレアがはっきりと

 大きな声で言ったので、


『大丈夫だ!』とセタが大きく返すと、

 地に降りたノーラとイーシャは、

 トコトコと歩いて、セタのいる

 大木の方へ向かい…


 大木の根元にいるセタに辿り着く

 と…ノーラとイーシャはセタの元

 に寄っていつものように体と顎を

 擦り付け…


 セタも『よしよし。ん~世界一

 可愛い子達だ…。私は幸せだ…』

 

 とフワモフの毛を撫でて触れて

 癒やしを得る


 その光景をみて、

(羨ましいな…)と呟く幽霊に…


 セタは、


『たとえ楽しみがあっても、 

 …死んだ後の世界は、孤独は…


 温もりが無くて、冷たくて、

 ひどく寂しいだろ?』


 と憂いのある切ない表情と

 視線で尋ねると…

 

 幽霊は「そうですね…。見ている

 だけなのは、嫌ですね」と返した

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ