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第30話『目玉の真珠と…。幽霊の気づき』


「おーい!セタ!こっちだ!

 こっち!珍しいヘンテコな物が

 売っているぞ!」



『ん…?。サラ。どうしたんだ?』


 ブルウノスの村とは違い

 南メイガンの街は活気があり、

 フレア商会の旗がこの街の商いの

 趨勢を示すように各商店にはため

 いていて、商会を中心に栄えている

 ことが誰の目から見ても感じられる


 人混みの中、神官の立場を忘れ

 たサラが、そんなフレア商会とは

 別の、怪しい黒と白の斑模様の

 幟付きの露天の前にて無邪気に

 手を振っている


 どうやら、何かを見つけたらしい



「こいつだ…。姉さまも言っていた

 "目玉の真珠"だ…」



『うん?…何だコレ…ちょっと

 (気色悪いな…)』と途中から

 小声でサラに伝えるセタ


 "目玉の真珠"とは、大きめの白い

 真珠に黒真珠が埋め込まれている

 宝飾品で、先を見通すことが出来る

 目を持つ=未来に落ちている幸運を

 逃さずに拾うことが出来る


 という謎の理屈の触れ込みで、

 他の品とは別に、もっともらしく

 丁重に売られていた


「まあ、いいじゃないか…

 こんな機会は二度とないかも

 知れない。一つ買っていこう」


(サラは私以上に、珍しい"モノ"が

 昔から大好きだったな…)


 とセタは思い出し微笑んでから、


『うん…。ああ、まあ、サラの

 "好き"にしたらいい』と伝えた


「………では、二つ貰おう!

 何かの記念になるだろう…」


 そう言ってサラは露天商から

 品を買い取ると、セタに

「ほいよっ」と手渡した


 セタは見た目の気味の悪さから

 苦笑しながら受け取って、その

 真珠を握りしめると、


『ありがとう…。感触は良い

 感じだ…』と返した


 その何とも言えないセタの表情を

 みて…サラは少し考えてから、


「…あの、ごめん。ちょっと

 はしゃぎすぎた…。護衛を

 撒いたと思ったら、気を

 許してしまって……」


 といった


 セタは『違う違う…。そんな

 ことは気にしていない。むしろ

 嬉しいんだ…』と否定して、


 サラの手を軽く握ると…


『ただ…。"この手"は、

 離さないでくれ…。はぐれたら

 私は"よく"道に迷ってしまう…。

 

 知っているだろう?』


 セタは昔から考え事をして歩く癖が

 あった。その為か、気づくと道に

 迷ってしまうことが多かった


「…ああ。そうだったな…。

 すまない。じゃあ、最後に

 懐かしいところに行こう!」



『ああ、わかった。案内して

 くれ…。街のことはあまり

 憶えていないんだ』



「…そうか」



『そうだ。私は、素直だろ?』




「…そうだな。昔から」




『行こう…。時間が惜しい』




「ああ…」




 ★




 その頃、セタのいない

 宿の部屋ではノーラとイーシャが

 寝台の上にて寝転び並んで、

 毛づくろいをしていた


 その様子を見ていたシャーマンの

 幽霊の女性は、ふと…何かを

 感じるようにして、思い出した


(ああ…。そうだった。精霊たちは、

 あるがままの想いと純粋さに惹かれて

 いくのね…


 だから、肉体的には死んだあとも、

 精霊たちはこうして、幽霊である

 自分についてきてくれている…)


 そう思ってから、シャーマンの幽霊は、

 目の前にいる小さな獣の存在が、

 ネムコの精霊そのものであり、その寄り

 添う純粋さの象徴はセタである…という

 認識に至った


(人間がみせる純粋さに、何故

 惹かれるのか?惹かれてしまうのか?)


 幽霊の女性は、シャーマンとして

 生きていた頃よりも、よりその

 疑問を強く持っていることを自覚した


 そして全く別のことを違う思考から

 考えていた…


(それは…。つまり…。いや………

 そんなはずはない…。けど………


 もし、その純粋なる象徴である

 セタが変わってしまったら…


 純粋とは別の存在になってしまったら

 ……。ネムコへの愛情を失って

 しまったら…。それはありえない

 ことではあるが…。もしそのことが


 "達成"できたなら…


 セタの願う方向に、コトが進んで

 行くのかも知れない…。ただ、

 その確証はない…。だから、

 この発想は、今は胸のうちに秘めて

 おこう…)


 気づくと窓の外は灰色。早足の雲に

 覆われていて、ひと雨来そうな状態


 階下の宿の庭では少女が干していた

 洗濯物を急いで取り込んでいた

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