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第25話『クロとファルのこと』


 必然性の無い"遊び"を入れることが

 人生においてはままある


 殆どの人間が合理主義の権化たる存在

 にはなりえないのだから、それは自然

 の成り行き、当然であると言える


 現実を見つめ、張り詰めてしまう心

 には、遊びによるゆるやかな融解が

 必要なのだ



 今夜のノーラは、イーシャがクロの

 部屋で泊まることになったので…

 久しぶりにセタと二人きりになった


 その状態になったノーラは、甘えモード

 全開で、いつも以上にゴロゴロと喉を

 鳴らして甘えだす


 そんなノーラの可愛気のある全力な姿

 と様子を見て


(なるほどな…。新しく来たイーシャの

 手前、遠慮をしている…。もしくは少し

 だけ…。自分の存在や立場、立ち位置を

 イーシャよりも大人に見せようとして

 いたのかな?)


 と微笑ましく思いながら

 ノーラの奥深い本当の個性と、人間に

 もあり得るような心慮を知ったような

 気がした…


(変化は悪くない…。普段気づけ無いこと

 が、このように気づけたりするのだから、

 クロには"感謝"だな…)


 クロはノーラ以上にイーシャのことを

 気に入ったようで、イーシャも元ネムコ

 である今は人間の姿をしているクロの

 ことをセタよりも好きになっていた


(相性だろうか…?…まあ、本来イーシャ

 はネムコが好きなのであって、私のことを

 誰よりも好きなわけではないのだろう…


 …きっと。


 それはほんの少し寂しい事実だけど、

 同じネムコ好きの同士だ…。私に何か

 あったとしてもネムコである、ノーラの

 ことを"ネムコ愛"で守ってくれるはず…


 仲良くしたいよな…)


『ノーラ…』


 とセタはノーラを小声で呼ぶと

 ノーラは「あ~ん」と鳴いて

 愛撫を求めた


 しばらくするとノック音が聞こえた


『いいぞ!』とセタ声を掛けた


 ドアが開いて、イーシャがまず

 入ってきた。そしてクロがあらわれ


「…セタ、やっぱり戻るって…。

 やっぱり、イーシャはノーラが好き

 みたいだよ…。それにやっぱり…


 "セタの元"にいる方が、安心するん

 だよ…。ふふん。残念残念」


 と微笑ましい様子でセタに言った

 

 セタも同様に微笑むと…

『そうか…。じゃあ、少しだけだった

 な…。ノーラ…ごめんよ。でも…

 イーシャは悪くないよな…。同じ

 ネムコ好きだから、仕方ない』


 とイーシャにとられる前に、ノーラを

 抱えてその顔に自分の頬をあてて、

 すりすりと優しく擦りつけた


『ノーラぁ…。ううん…世界で一番

 可愛いよ』


 そのセタのむき出しの愛情表現の

 様子をみて、クロはくすりと笑った


 クロは、何だ自分がこそばゆく恥ず

 かしくなりながらも、とても平和で

 嬉しくもなる…そんな癒やされる

 感じ、心地がした 



 ・・・



『どうした…?クロ…?

 "何か"あるのか?』



「ううん…。何でもないよ…

 何もない…けど、


 ちょっと最近のお話をしようよ」



『立ってないで、椅子でも、私の

 隣でも座ったらどうだ』



「じゃあ、今夜はファルにでも

 なったつもりで…」


 とセタの座っている寝台端、

 その隣に腰掛けるクロ


「…ファルに怒られないかな?」



『さあな…。アイツは嫉妬深い

 から。まあでもクロなら

 許されるだろう…』



「最近ファルと毎日くっついて

 いるけど、夜だけは別なのかな?」



『うん…。まあ、そうだな…。

 戻ってからは、一日だけ一緒に

 眠ったきりで、あとは口吻をして

 おやすみを言って…終わり、

 という感じだな』



「……へぇ~。夜は寝ないにしても

 何かすごいね…。大変?」



『いいや…。アイツは、ファルは

 いずれ旅に出る。それまでに温もり

 のある思い出を作っておきたい、

 という"お互い"の理由がある…


 だから苦になることなんて

 微塵もない』



「ふぅ~ん。そうなんだ…」



『……何だ?さては、サラとの

 "触れ合い"において何か心配事

 があったのか?』



「う~ん。………別にないよ」



『本当か?…クロの悩みのタネは

 だいたいがサラだろう?』



「まあ、そうだけどね…。でも

 僕とサラの間で解決出来るように

 しているから、今のところは

 大丈夫…。本当にダメになったら、

 ファルか…セタ、かな?」



『ほう…。ファルも役に立つのか?』



「…ちょっと失礼だよ。ファルの

 考えは深いよ…。とても深いし、

 とてもためになることが多い」



『私以上に頼りになるのか?』



「…いや比べることは出来ないよ

 ただ役割が違うのかも知れないね…


 "陰と陽"という感じ、

 

 陰はファルで、陽はセタ…」




『そうか…。その役割にはあまり

 興味は無いけど。そういうモノ

 もある、というのは覚えておこう』



「セタ…。その考え、とらえ方が、

 "陽"なんだよ』



『……そうか。まあ、いいや』



「で、"本題"なんだけど…」



『ん?…さっきは何でもない…

 何もない、と言っていなかったか?


 サラともとくに何も無いのだろう?』



「ごめんね…。何でもない、何もない

 と言っても、セタなら勝手に察して

 くれると思ったから…。まあ

 僕なりの信頼の…"故"だよ」



『………そうか。まあ何でも

 いいけど…。で、何だ?』



「隣にいる、ファルのことだよ」

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