第22話『ラナの手料理と…おばかさん』
宴が終わった…
ラナの手料理が振る舞われて
サラとラナは帰っていった…
ラナは明日にこの村を離れ、
養老院に戻るようだ
予感。予兆…セタは男からの
ラナの来訪の知らせを聞いて
何となくそんな気はしていて
新しい家族であるイーシャの毛色を
模したスカーフをラナにプレゼントした
(間に合ってよかった…)
と内心安堵のセタ
丁度試作品が出来上がって
ラナ"お婆様"に渡すことが出来た
ラナはお礼を言って
「また来るからね…。朝にちゃちゃっと
サラッと出ちゃうから、見送りは本当
に不要だからね」
と言って「じゃね…。セタと可愛い
子どもたち」と茶目っ気たっぷりに
手を振って笑顔で別れた
・・・
夜明け前から動くサラは、出立の
準備をしているであろうラナに声
を掛けてから、祭壇に向かおうと
思ったが…
ラナの部屋を覗くと…。ラナは
ぐっすりと眠っているようだった
サラはラナに長年連れ添っていた
従者に対し、
「ラナ様をお守りください。私も
母であるラナ様のご無事を…この場所
で、世の安寧と共にずっと祈っています」
と伝え、ひとまずの別れとした
ラナは従者からのサラの言伝を聞き
「そう…。ならそれでいい…
あの子はこの村の神官…。うん。それで
いいじゃない…」と返した
ラナは起きていたが…、出立の朝は
サラにはあえて何も言わずに出よう
と決めていた
感傷に浸るのが怖かったからじゃない
ただ遠くから、大人になっていく我が子
の成長を願い、見守っていることを言葉
にせずに伝えたかった…
ラナは冬なのに麦わら帽子をかぶって
そこにセタにもらったスカーフを巻いて
従者と人力車に乗って、護衛の兵と共に
養老院へ帰っていった
・・・
その一週間後
ファルがブルウノス村にふらっと
戻ると…。お土産に拾ってきた
貝殻が一枚余ってしまった
養老院に帰ってしまった"ラナの分"だ
そんなわけで、ファルは新しいセタの
家族になったイーシャに余った貝を
プレゼントした
「イーシャ…。いい名前ね」
『私もそう思う。瞬間で付けたから
迷いがない』
「そう…。まあそれはひとまず置いて
おいて。相変わらずなのね?…
この、"ど"密着の距離は?」
寝台にて並んでかなり密着して
座っているセタとファル
そんなことを言いつつも、
いつものセタの"距離感"で安堵
しているファルがいる
『ああ…。悪いか?』
「寂しさ反動から、なのかな?」
『それはある…。絶対にある…
ファルがいなくて寂しいとは
誰にも、言っていない…
だが…。やっぱり心のどこかでは
寂しいと言っている』
「そう…。じゃあ、どうする?
何をする?」
セタはファルの肩に手を回し
体を引き寄せてから
『これ以上は…何もしない』
ファルはセタに身を預け
「こうしているだけでいいのね?」
『ああ…。これでいい』
「ねぇ…。ところで、サラとは
口吻をしているの?」
『…………………うん。まあ…今は
儀式、習慣のように毎日…。
子供の頃から、大昔から知っている仲、
ただ一人の、友人、親友だからな』
「正直者…。嫌いじゃない」
『ありがとう…』
「"私と"はしないの?」
『うん…。なんでだ?
別に今、それをするような状況でも
心境でもないだろう?』
「状況がどうとか関係ない…
だって私とセタは仲がいいし、
友人でもあるし、親友でもあると
思う。
"恋人"でも"婚約者"でも
別にいいけど…」
『…………うん…。そうか?
そうなのかな?』
「そうよ…。他の人もそう
思ってる(サラは除いて)」
『ふ~ん…。そうか、じゃあ、
しようか?』
「"じゃあ?"って…何?
セタは、何かの"オマケ"に
口吻をするの?
あなたは、そんな不貞な人間なの?」
『いや…。その…。
まあ、…すまん。…すまない』
その"らしくない"発言を聞いて、
ファルはセタの胸から顔を離した
「わかった…。しないでいい…
ちょっと、離れてくれない?」
『………すまない』
と言いながら離れないセタ
「じゃあ、私から離れます!」
とファルは強引に立ち上がった
ファルが立ち上がると、それに
反応してノーラとイーシャが
ファルの足元に移動して
顔を擦りつけながら歩いて回った
ファルはしゃがんで床に膝をつき
手探りでノーラとイーシャを交互
に撫でながら
「ふわふわで気持ちいいね…
セタよりもずっと優しいし…
あたたかい…
大好き…。一緒に旅に出ようか?」
と話しかけた
セタはその様子を見てわかりやすい
溜息をつき
ファルは「おばかさんなんだから…」
と小さな声で呟いた
その後、ノーラとイーシャはそんな
二人のことなどお構いなしにファルと
セタに自分の素直な気持ちを愛くるし
い動作にて表現し、回っていた




