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第1話『ずっと幸せに…からの来訪者』

 目的を果たした後の人間の暮らしは、

 抜け殻の末の蛇足、無意味な延長と

 なるのか…?

 というのは"愚問"だろう…


 主たる目的が無くとも…大切な存在の

 為に生きる。その存在を守る為に

 "自分"を強く持ち、少しでも長く同じ

 時間(とき)を共有出来るよう長生きをする…


 それは現在進行系の日常と、

 その延長線上…


 目に見えにくいものだから、

 "明確な目的"のようにはみえない


 が…。意識していない底流にて、

 静かにゆっくりと流れている…

 無意識での"生きる目的"理由となる


 ・・・


 セタは今日も、元奴隷少年であり、

 現在はゴロゴロと喉を鳴らしセタに

 寄り添い甘えている…明るい灰色の

 長い毛を纏った"ふわモフ"の小さな獣


 異世界の猫である"ネムコ"となった

 ノーラを…。我が子のように可愛がり、

 優しく撫でている


 二人は一緒に歩き、一緒に眠り、互いの

 愛情と体温を実感、確認し合いながら休み


 …食事をとり、日常を共に過ごし、ノーラ

 にとっては異世界の土地で"猫として"

 大好きなセタと"一緒に"暮らす…


 何不自由なくその日々は今のところ

 は続いている…


(この幸せがずっと続いてくれれば

 いいのにな…。)


 とセタが穏やかな表情のままフラグ

 めいたことを心中で呟いていると…

 ドアをノックする音が聞こえた…


("この音"は…。…うん?…誰だ?)


 とセタは"いつもの"坊主頭の長身の男の

 "配慮したノック音"ではないのに気づく


『入っていいぞ…』とセタはドアに向けて

 伝えるも…。ドアが開かれることは無く

 誰も入ってこない……


『うん…?』とセタはノーラを撫でる手を

 止めて寝台から下りて立ち上がると


 首や肩を慣らしつつ、ドアの前まで歩いて

 内開きのドアを開ける


 すると…。「うぅ~ん」と唸りながら両手

 の指を頭の側面、おかっぱの髪の中に

 入れてかきあげる仕草をしている背の低い

 ぽっちゃり体型の女性がいた


『おっ…。どうした…?何故入ってこない?

 聞こえなかったか?』

 

 とセタが疑問を言うと


「あっ…!ごめんなさい…。扉を小突いた

 あとにふと…少し意味のない考え事をし

 てしまって…。まったく別のことに意識

 がいってしまったようです…」


 と髪の中に入っていた手と指を

 頬まで下ろして、両頬をおさえながら

 女性はいった


『そうか…。まあ私も考え事をしている

 と他のことや、今しようとしていたこと

 を忘れてしまうことがある…。まあ、

 よくあることだ。それに…"創作をする

 立場の人間"なら尚さらだ…』


 セタはそう伝えると女性に入室を促した


 ・・・


 ぽっちゃり体型の女性が入ってくる…

 と…。その後ろにネムコ好きのシャー

 マンの女性の幽霊がいた…


 彼女は現在、元いた隣のムラには戻らず

 に、このブルウノスのムラの宿に

 泊まっている…


 というよりも、大好きなネムコと、

 同じネムコ好きの"同士"であるセタ

 の居るこの宿に留まっている


 セタは『おい…』とドアを閉める前に

 小声でいって『今はダメだ…。あとに

 しろ…』と伝えるも


「"同席"させて下さい…。ちょっと、

 その御方のお話が聞きたいんです」


 と幽霊はセタに言った


『ふぅん…。ううん…。わかった…

 では…

 

 "正直に"話すか…』


 とセタはぽっちゃり体型の女性に

『すまないが…。私には何故か幽霊が

 見えていて、今ここにいる。


 で…。一緒に話しを聞きたいと言って

 いるが…大丈夫か?

 …別に悪い幽霊じゃない』


 女性は寝台で寝ている猫のノーラを

 ぼんやりと眺めながら、ちらとセタを

 みて…


「幽霊?ああ、いいですよ…」と淡々と

 した口調でいった。まだ考え事の状態

 から抜けきれていない様子だ


『いいのか?…』


「いいです…。普通の人には決して

 みえない存在がいるのも"素敵"だと

 思います。


 ここにはセタさん"含めて"

 不思議な存在がいっぱいいますね…


 すっごく、羨ましい…」


『そうか…。不思議は良いものなのか…』

 とセタは述べてから、軽く振り返り


『いいってよ…』と幽霊にいった


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