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第15話『"村外れ"の人工楽園へ…』

 突発的にセタに名付けられた少女

 "イーシャ"は、


 至福の時間を過ごすことが出来た

 空間…


 セタのいるブルウノス村の宿から

 出て…庭に移動し、ついで建物の

 階上を見上げた


 先程まで自分がいた…セタの部屋の

 窓には何も映らない

 

 そこで直に触れていた温いふわふわ

 の存在、ネムコのノーラが名残惜し

 かった…


 

 そんな夕刻に映える風景を…



 少女と同じ、"ネムコ好き"である、

 シャーマンの女性の幽霊は…


 哀愁を滲ませる夕空に擬態、同化

 するようにしてふわふわと浮かび

 ながら…


 少女のつぶらな瞳を…。じっとセタの

 部屋の方を、黙して見上げる、無表情

 ながらも憂いを醸す表情をみていた


(………)その美しさに魅入られ、

 言葉を発せられず、

 ただ無言で眺め、みつめていた


 その"同士"の眼差しが、無垢なる瞳が、

 その全てが、感情が、情景が……


(一枚の"素敵な絵"になっている

 そんな気がする…)


 シャーマンの幽霊は、

 "絵描きの素敵さん"であるミアとの

 経験から、"素敵"という瞬間的な感情

 と…。感嘆として自然と漏れる表現を…

 学んでいた


(だが、しかし…。その純粋なる

 想いの果て、その結末は…


 この本来はありえない存在である

 自分の"介入なくして"どうなるもの

 やら…)と思いつつ、


(誰にも言わずにその結末を

 みてみたい…)と心中願った


 シャーマンの幽霊は、聴唖であり

 最近村に入ったこのネムコ好きの

 奴隷の少女の存在を知っていた…


 それはセタのネムコの研究場である

 "人工楽園"にて、少女が"何事"かを

 行っているのを…存在を消すことが

 出来る立場から、知っていたからだ…



 そして次の日から、養蚕場で働く

 一人の唖者の奴隷である少女が

 行方不明になった



 ★



 セタは『運動不足の解消の為』


 と、何とも言えない表情でその

 様子を仕事の合間にみていた従者の

 少女に説明をして、ノーラと一緒に

 階段の登り下りをしていた


 そんな中、半従者である男が

 表から砂箱を抱えて戻ってきた


 いつものネムコの砂箱の砂の

 交換を庭で行い、その後、

 今日は村外れまで、砂の中に

 あるネムコの糞尿に塗れた砂を

 廃棄しにいっていた  


 セタは、男とのすれ違いざまに

 お礼を言ってから、階段の踊り場で

 足を止め、振り返ると、


『そういえば…。アイツはどうした?』

  

 と聞いた


 男は抱えていた砂箱を再度持ち直す

 仕草をしてから、


「ああ…。アイツですか?

 実は色々とよくわからなくて…


 この村から居なくなってしまった

 ようですよ」 


 セタは『うぅん…?』とわかりやすい

 怪訝な表情をして


『何かあったのか?』と聞いた


 男は少し考えてから、

「セタ様、一度部屋に戻りませんか?」


 とセタに伝えた


 セタはノーラを抱えると

『わかった…。戻ろう』と返した



 ★



『何があった?』




「…。その…。あまり想像はしたく

 ないのですが……。


 "村外れ"に向かう姿までは発見され

 たようで…。その後、戻ってこず

 行方不明になりました…」



『…"村外れ"?』




「はい…。方向はセタ様の研究場、

 あの…小屋の…」




『……………行くぞ!!!』


 セタは立ち上がると、


 いつもの少年時代のノーラの衣服

 が置いてある隅っこの場にて

 休んで横たわるノーラをチラとみて…


 再度、男の目をじっとみてから


『私の、可愛い"ノーラ"と…

 可愛い"従者"を頼むぞ…。


 私はこれから人工楽園に向かう』



「……はい。本当はついていきたい

 ところですが、従者も含めると

 なると…。そうもいかないですね


 わかりました」



 セタは部屋のドアを開けようと

 した手を握り、ドアの表面を

 ドンッ…と強めに叩くと


『こんなときに"あの幽霊"は…

 何をしているんだ…』と独り言に

 近い愚痴をこぼすと…


『頼むぞ…』と再度男に低い声で

 念を押すように伝えてから

 ドアを開け、廊下を走り、急いで

 階段を下りていった

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