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第100話『扉の向こうと…膝上の手』


 イーシャは玄関の扉の前で鳴いていた…

 灯りを床に置きセタが『どうしたんだ?』

 とイーシャを拾い上げると、

 今度はノーラが鳴いた…


(外…扉の向こうに何かいるのか?)


 と思うと…嫌な予感がした。


『何かいるのか?イーシャ…ノーラ』


 抱えあげてさっさと部屋に戻るべきだ。

 と思いながらも足が動かない…


 すると…階下の地下から

「すいません…あのどうかしましたか?」

 と声がして、細身の男が上がってきた


『らしくないな…聞こえなかったのか?』


 とセタが伝えると、

 細身の男は床にある灯りを手に取り


「すみません…。最近だいぶ(感覚が)鈍って

 きているようで…。何かありましたか?」



『イーシャが…ネムコが扉の前で

 鳴いていた』



「……そうですか。でも……

 何故でしょう?外にいるんでしょうか?

 鍵は掛かっていますから、大丈夫ですよ」


 セタは男の軽い反応に少し苛立ちながら


『それはそうだが…気になるな』



「う~ん…。しかし、ネムコが外に逃げて

 しまったら…特に夜は大変です。今は…

 開けられないですよ」



『ふぅん…。それもそうだな…。ところで

 ディルベットは"ちゃんと"下にいるのか?』



「…え?はい。いますよ…

 寝てます」



『そうか…ならば戻ろう』



「外に気配は無いですよ」



『うん…今は…もう無いな』


 セタは自らの足が動くのを確認する


「すみませんでした…。先に気づけず…

 このあとは大丈夫です。しっかり

 見張ってますから安心してください』



『ああ…頼んだぞ…。

 だがな……』と言い淀むセタに


「どうしました?…」と男


 はぁ…とため息を付いて、

『…いや…まあ。しょうがないよな…

 幸せなことは良いことだ…』

  

 と独り言のようにいってから

 イーシャとノーラを器用に

 抱えると…


『すまんが、部屋まで灯りを頼む…』


 と男に伝えた。



 ◆



 その夜。


 セタは(痛みなく…?この手…

 切り落とされた…?…温もりが…?

 ハァ…あるか?…あったか?)


 と起きてすぐ、自らの手の実感と

 所在に安堵するほどの酷い夢をみた。


 それを「ふぅん…」とセタの

 膝枕の上で聞いたファルは、


「そう…それでアナタは謎の現象に

 より両の手を失い…

 指先での無神経で自然な"アレ"を

 失ったと…」と素っ気なくいった。


 セタは膝上にあるファルの髪と頭を撫で

 ていて、ファルはその手に優しく触れて

 動きを止めさせた


 "無神経で自然なアレ"について

 セタは言及せず、ただ


『まあ…でもよかったよ…夢で』


 と返すと、


「ねぇ…アナタは、誰かが

 いないと生きていけない死んでしまう

 存在なのかしら?」


 とファルに問われた。

 その意味を薄っすらと考えていると

 ネムコが視界に入る


 まだ寝ているようだ。


 核心を突かれたわけではないと

 信じ込ませるように思いながらも

 どこかココロがそわそわした。


 いつか無くなる日が来ることを

 想像すると…怖くなる


 死ぬとは違う意味だ。きっと…


 そんなことを考える。


(いや………どうかな?

 どうにも、まとまらない…)


 ただ今のところで言うと…

 幸せだな…と。うつつをみる


 "観念"という次元には辿り着けず、

 その意識だけがここにある、という感じだ


『今が夢なのかもしれないな…』


 ファルをみて少しだけ笑う


「答えには…。全然なってない…

 でも、セタはそれでいいのよ…

 そう思う…」


『…………』


 セタの無言にファルは


「きっとね。昔と違って…

 私は、アナタの核心をついて得るモノが

 無くなったのよ…。

 ただの疑問をぶつけて、話しを聞いて

 もらって…。それでどうなって欲しい

 とは思わなくなっている自分がいるの」



『………ウン』



「意味わかんない…でしょ?」



『なんとなくはわかる気がする』



「そう…なら。それでいいのよ」



『そうかな?』



「そうよ。間違いないわ」


 二人は笑って、ネムコが起きた。

 大きなあくびをした"二人の"

 小さな獣はセタとファルの間に割って入る。


 ノーラとイーシャは甘えた声で

 食事を求め。ファルは「もういいわ…」

 と起き上がり、セタは

『よし…行こうか』と応じた。



 ・・・



 セタとファル…そして二人のネムコが

 トコトコと歩く廊下


 セタは昨夜のちょっとした出来事に

 ついてファルに伝えるのを忘れていた。


 ふとクロが「おはよう」と出て来ていた

 "過去の毎日"を思い出す。


『クロがいないと…』と言い出してから

 言葉に詰まるセタに


「バカね…」とファルは返した。


 結局その日は、言えずに終わってしまった。


 何か嫌な予感がしたからなのか…

 それとも、別の本当の理由があるのか?

 それは自分でもわからないが…


 セタはファルにいずれ気づかれる、すでに

 気づかれているかもな…と思いながら

 心に抱え込むことを決めた…


 その晩の深夜だった…。


 村の外れにあるセタのネムコの研究所、

 "人工楽園"が火事により燃えていたのは…


 ネムコをディルベットに任せて

 ファルと細身の男と共に現場に向かうが

 時すでに遅し…。その後、ファルに最近の

 変化"夜のこと"を話すに至った。

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