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第9話『いつかの飼い主と…遮る足音』


「はぁ~。今日はもう止めた…

 今日はもう何も書かない……」


 ここはブルウノス村の宿の一室


 セタの部屋からファルの居た一室を

 挟んだ部屋にて暮らしているクロは、

 溜息のあとにふぅ~とひとつ息を吐い

 てから…


 静かに窓を開ける…。


 風が室内に僅かに入ってきて…

 クロの艶のある長い黒髪を撫でる


 クロの部屋の寝台には、今日も

 いつものように疲れて眠り込んでいる

 サラが居て…

 

 まるでセタの部屋で寛ぎ休んでいる

 ネムコ…。"でかい"ノーラの様に

 もみえる


(ネムコであったはずの僕が、

 今は飼い主の側なのかな…?)


 とクロは思ってからクスリと笑い…

 音を立てないようにして寝台に近づくと


 サラの傍らに寄り添う猫のよう

 にして一緒に休むことにした


(僕を愛し育ててくれたあの子は…。

 あの人間は…。元気だろうか?)


 人間というモノを知るにつれ…

 クロは人間の悲しさをわかって来た


 でも、あの子のあの瞬間の…


 純粋無垢な、残酷な現実の中での

 悲しみだけは、永遠に知ることが

 出来ないのだろう…

 

 ということを悟るようにして想うと…

 クロの頬には、自然と小さな涙が

 伝っていた…


(ありがとう…。僕は今、

 優しい飼い主の元、


 幸せに生きているよ…)



 クロが少し眠ろうと目を完全に

 閉じた…。その瞬間


 パタパタと廊下から足音が聞こえた

 この足音はいつもの少女に違いない


 今はセタの従者となった身分であり

 セタとノーラの世話をする役目の

 少女…。名前はまだ無い


(何かあったのだろう…。

 でも今は眠ろうか…)


 とクロは思ったが、ふつふつと

 好奇心が湧き出ては眠気を勝り、

 ぱっと目を開けると、寝台をゆっ

 くりとおりて


「サラ、ちょっとごめん。少しだけ

 …。足音の理由を聞いて、特に

 何も(関係)無いとわかったら、

 すぐに戻ってくるよ…」


 と小声で深い眠りの中にいるサラに

 伝えると、部屋を静かに出た

 



 ★


 

 ファルの居た部屋を通り過ぎる…

 ファルはもう居ない…

 すでに旅立っていて、今回は

 

 "少し、出掛けてくる"


 とクロとサラにさらりと言い残して

 から、宿を、村を出ていった…


 "見送りは一切いらない"


 そう言っていたので、部屋の前で

 ひとまずのお別れをすることに

 なった


 いつものことなのだ…


 今後も、きっと…。戻っては去って

 去っては戻っての繰り返しなのだ…


 別れの切なさを残してファルは旅に

 出て、そしてまたいつものように

 新たな旅愁を携えてこの村に、この

 宿に、帰ってくるのだ…


 

 ・・・



 クロがセタの部屋の前に着くと…

 部屋のドアは開けっぱなしになって

 いて、中には少女とセタとネムコの

 ノーラがいた


 見る限り(いつもどおりだ…)

 何かあったわけでは無いのだろう…

 か???


『おっ…。クロ?。どうした?

 ノーラに触りに来たのか?

 それとも、逆に触られに来たのか?』


 セタは冗談を言って、微笑んでいる


「えっ…?あぁ…のね。うん…

 ちょっと急ぎ足の足音が聞こえて、

 来てみただけ…。何かあったの?」



『いいや…。何もないぞ。恐らくは…

 な?』とセタは少女をみる


 セタの従者である名無しの少女は

 何かを考えながらも、セタの膝の

 上で寛いでいるノーラを撫でている


「…。やっぱり何かあったの?」

 とクロが念押しをして聞くと、


 セタは『う~ん…』と唸りながら

『…。まあ、なんだろうか?見間違い

 だとは思うんだけどな…』


 といいながら今度はノーラをじっと

 視界にとらえてから、再度クロをみて


『下に居たらしいんだ…。ネムコが…

 ノーラと同じような生き物が…な』


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