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剣の魔女と英雄志願  作者: 荒野ヒロ
第一章 二人の冒険者の出会い
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コルヌレーヴァ遺跡へ





 シグナークらは途中の森を抜ける道に辿り着くと、言葉数は自然と少なくなった。このような森の中を通る道は、つねに危険がひそんでいるからである。

 彼らの予想どおり道の途中で三匹のゴブリン(小鬼)と出くわした。弓を射かけてきた相手に対し、かなり間合いが開いた距離からシグナークが籠手のあいだに隠した短剣を投擲とうてきし、その一撃で弓を持ったゴブリンをあっと言う間に倒してしまう。


 木の盾と粗末な鉄の手斧を手にした二匹のゴブリンが怒り、二人に向かって突撃して来たが、レスティアがすばやい動きで前に出ると──決着はすぐについた。

 背負われた大剣が振り下ろされると、盾で防ぐ間もなくゴブリンが肩口から胸を引き裂かれて打ち倒され、もう一匹の攻撃を見切ってかわすと、横薙ぎにされた分厚い刃が薄い革の鎧を物ともせずに切り裂いて、ゴブリンを道端に吹き飛ばす。


 二人は何事もなかったみたいに、投げた短剣やゴブリンの身に着けていた皮袋などを回収して先へと進む。



 森を抜けた先は黄土色の小さな岩と、隆起した地面がでこぼことした地形を作り、歩きづらくなっていた。踏み固められた道はそんな岩山のあいだの悪路を下りはじめる。乾いた土の匂いが風に運ばれ、黄土色の大地にできた裂け目の中を歩きつづけて行くと、狭い道の先に緑色の木々と、灰色の石壁が見えてきた。


 ゆるやかな坂道を上がった先に、石で建造された建物が密集している場所に出た。そのどれもが古く、ほとんどが壊れていて──崩れた建物と壁で、いびつな迷路が構築されている。


 コルヌレーヴァ遺跡に入ってすぐのところでコボルド(犬亜人)と狼の死骸を見つけた。先行した冒険者たちが倒して行った物に違いない。二人は簡単に相談すると、先を行く冒険者らが通らなかったと思われる道を使って進むことにした。


 彼らは慎重にと言うよりは、むしろ大胆に遺跡の中を進んで行った。足音こそ極力殺しながら歩いているが、抜き放った剣を手に、いつでも戦闘に入れる状態を維持している。


 三叉路さんさろに差しかかると、近くの崩れ落ちた建物の跡地から五体のコボルドが姿を現した。その犬面の亜人種は鉄の剣や盾、革鎧や鉄の胸当てなどを装備しており、二人の冒険者を見つけると一声吠えてから襲いかかって来た。


 迎え撃ったのはシグナークが先であった。相手の攻撃を横にかわしながら長剣でのど元を切り裂き、二頭目の攻撃にもすばやく反応し、振り下ろされた敵の剣を受け流す形で弾き、後退させる。

 レスティアも前線に飛び出す勢いでコボルドに一撃を加えた。彼女の攻撃を盾で弾いた片耳の先が切り落とされたコボルドは追撃して、彼女を手にしていた剣で斬りふせようとしたが、少女の姿はすでにそこにはなく、次の瞬間には胸元を斬り裂かれたコボルドが、石畳の上にうつぶせに倒れ込んだ。


 あまりのすばやい動きに、ほかのコボルドたちも小さな戦士から距離を取るため数歩、後ろに後退したが──それがあだとなった。三体のコボルドが密集したところにシグナークとレスティアが同時に襲いかかると、決着は一瞬でついたのだ。


 二人の正確無比な攻撃が相手の腕や首を叩き落とすと、残ったコボルドに反撃の隙すら与えずに二人の攻撃がほぼ同時に、首と腹部を切り裂いたのである。


 二人の攻撃が互いの身体に当たらなかったのは、相手の腕の振りと、得物の長さを把握していたからで、短時間でこれほどの距離感を保って俊敏に行動を決定し得るのは、長年戦いを共にしてきた者同士でないと なかなかこうはいかないのが普通だ。

 二人の洞察力や観察力が人並み以上に優れている証であろう。少女もコボルドの戦利品を奪いながら、シグナークの実力が当初想像していたよりもずっと実戦的なものであることがわかり、不敵な笑みを口元に浮かべて、遺跡の奥に向かって率先して進んで行く。


 

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