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7 カルア=ユースタット

平民育ちで正義感の強い青年は同じクラスになった子を睨みつけるように見つめる

彼の名前はカルア=ユースタット


ユースタット家はよく有る一般家庭だがこのマリアージュ学園は中等部から外部の生徒を受け入れている。

将来、家の為に入学を決意した。

初等部からの進級生徒はとても多く初等部は金持ちの御坊ちゃまやお嬢様達がほとんどというのもあり気位が高く外部生徒には嫌な目線を向ける者がほとんどだ。

中等部へ入学するために必死に勉強した。

それこそ1位は当たり前だ、貴族達の鼻をあかしてやると意気込んでいた。


それはテストの順位発表。

この国の王子にあたるレオ=キングレミスと上位を争うものかと思っていたのだ。

奴より上の点数を取り鼻で笑ってやると

だが1位には予想にも無かった名前が上がっていた。

ミーシャ=バレットフォルン

その名前に不快な表情を浮かべ叫んでいた


「なっ!!!何故だ!!!」


自分の名前は3位、

キングレミスより上の順位を取る名前、女のような名前だがバレットフォルン公爵家の話は少しだが聞いた事が合った。たしか男兄弟の公爵家

何故こんな者が1位の座に座っているのだ!


「ミーシャ=バレットフォルン!!」


姿を表せと言うかのように叫んだ。

名前に反応する声がした

ちいさく「えっ」と言う間抜けた声の方へ歩けば回りの生徒達も道をあける


そいつは思ったより小柄な男だった。

睨みつければ怯えたような表情をされた

脇に立つ二人は見た事が有るオレが成績を抜きたいと思っていた男

レオ=キングレミスと

これまた有名な公爵家の

ハルト=フィルスタットだ

バレットフォルンの前に立とうとすれば二人が庇うように前に立つ


「邪魔をするな!」

「ミーシャに何のようだ外部生」


話を聞く通りのプライドの高そうな王子って所だな。外部生、そうだ、こいつらはこうやって平民を見下す。そんな男よりも上に立ち怯えるバレットフォルンにちいさく舌打ちした。


「そうやって守ってもらっているのか?良いご身分だな、ミーシャ=バレットフォルンお前のような奴は認めない!覚えていろ!」


こんな奴を認めてたまるか。

そして次の日自分のクラス表にその名前が乗っている事に驚きどうやら昨日居た二人とはクラスが分かれたようだ。

ミーシャ=バレットフォルンという男を俺は観察する事にした

クラスの学級委員決めは委員長に立候補した。

バレットフォルンはなにを考えているのか興味なさそうになにかぼんやりしていた、それがまた気に入らずに副委員長に指名してやった。

バレットフォルンはふいにびっくりした顔をして小さく落ち込んだように見えた、してやったりと思っていた。


休み時間になれば何故か在学生や外部生の女共に囲まれて身の回りの事を色々と聞かれたが貴族だろうが女性を無下に扱う分けには行かずなるべく優しく質問には返す。

バレットフォルンに話しかける者は居ないらしいが訪問者が顔を出す。

奴らA組だと言うのに・・・気付けば他クラスからも女子がその姿を追い集まって騒々しくなる

レオ=キングレミスとハルト=フィルスタットがバレットフォルンに会いに来たのだ。

バレットフォルンは気を使ったのか荷物を抱えながら廊下へ出て行き女子の群もそれを追いかけて行った。


中等部に入学してから1ヶ月立って色々バレットフォルンへの印象は変わったと言えよう

レオ=キングレミスとハルト=フィルスタットは外部生徒を見下している事は見て分かる、キングレミスは態度に隠さない、フィルスタットは女性へは柔らかいがやはり男子生徒へは優しく無いのだ。

バレットフォルンはというとどうやらそこらの貴族とは違うイメージになっていた。


委員の仕事はそつなくこなしている気がする、いや、意地を張った、俺等よりよく働いてくれているのだ。

バレットフォルンはいじめられているわけではないが印象のせいか近づく者がいない。ほとんど休み時間は問題の二人が側から離れないと言うのもあるがすこし羨ましそうにグループになるクラスメイトを見ていることが多い気がする。

我が強い二人と違いバレットフォルンは控えめな少年なようだ。

俺の回りには何故か女性がいつもはりつき委員の仕事の時もそうだ、教師は申し訳なさそうにプリントなどもバレットフォルンに頼み込みバレットフォルンは嫌な顔一つしている所を見た事無い。

そんなバレットフォルンは部活で園芸部に入ったのを女子生徒達の噂で耳にした。

どうやら部員は居ないらしいが裏庭で菜園を始めているらしく彼のファンらしい女の子達は普段近寄らない裏庭を影から見守る姿を何度も見かけた。

あとは少しでも時間があれば図書室で様々な勉学に励んでいると言う事だ。


俺が悪かったのだが始めは近づけばブラッドフォルンは小動物のように怯えていた。

その事に関してしっかり謝罪をした


「すまなかった。貴族と言って勝手な印象を付けて睨みつけたり声を荒げた」

「頭をあげてください、そうだったのですね、僕こそ嫌な印象を与えてしまっていたのであれば申し訳有りませんでした」


逆に頭を下げられてしまった。


「僕はその・・・なんでか皆に避けられてるみたいで、ユースタット様のような理由なのでしょうか?見た目が怖いとか・・・あるのでしょうか?」


すこし悲しそうな表情にズキリとくる。


「怖いだなんてことは!ただ以前恐れ多くて話しかけられない女子生徒が行っていた気がする」

「えっ!?そ、そうなのですか!?」


驚いたように距離を詰められてドキリとする

バレットフォルンの見た目は怖いなどとは聞いた事が無い

彼の兄は王子と呼ばれるだけあり体格もそうだがカッコいいと言われているようで対して弟のミーシャは

流れるような美しい金色の髪にターコイズカラーの三白眼はとても可愛らしいと有名なのだ。

麗しの子猫と呼ばれているだなんて本人は知らないだろうなと苦笑してまう。


女性のように小さいとは言わないが男にしては小さめといえよう、男であるいじょうは小柄なのは精神的ダメージに関わる事かと思うので言うわけにはいかないが、あの体格のいい男二人と並べばそれこそその小ささは一目瞭然だ本人がそれを気にしているかは分からないが。


そんなバレットフォルンは差別はしないまったりした性格故に元から居た生徒もとい外部生にも好感はかなり高い人間と言える。


放課後学級委員の仕事で二人教室に残っていた日の事だった


「いいのか?あの二人を先に帰らせて」

「うん?」

「いつも一緒だろう?」

「だって委員の仕事有るし待たせちゃうのもね」

「そうか」


二人が一緒に帰ろうと声をかけに来たのはつい先ほどだったが

提出物の確認作業や集めたノートを届けに行くというクラスの仕事が残っているとバレットフォルンは二人に先に帰ってていいよと言っていたのだ。

去り際二人に睨まれたのは言うまでもない。


「ユースタット様にお願いがあるのですが」

「?どうした」


何やらもじもじして頬を赤くさせるバレットフォルンに自分まで赤くなってしまう

な、なんだ!?


「僕とお友達になって欲しいのです」


いっしゅんポカーンとしてしまった。

お友達?


「い、嫌だったら断っていいんだけどっ!その、僕同じクラスでユースタット様も知っての通りお友達居なくて・・・ユースタット様は同じ学級委員だし僕に普通に話しかけてくれるでしょ?」


緊張しているのか声が震えている、こういう顔はたまに見かける

安心させるように気がつけば頭を撫でていた


「ユースタット様、僕子供じゃないのですが・・・」

「!!!!す、すまない!!!」

「撫でられるのは嫌いじゃないのですが恥ずかしいです・・・」

「あぁ、俺もバレットフォルン様とは友人になりたいと思っていた。是非よろしく」


少し照れくさくよろしくと言えば花が咲いたように目を輝かせた。

これであの二人は堕ちたのか・・・今更ながら思った。


「僕の事は名前で呼んでください」

「わかった、ミーシャと呼ぼう。ミーシャは俺の事をカルアと呼んでくれ」

「はいっ!」


うん・・・これは可愛らしい。

ミーシャは俺の癒しかもしれないな

あの二人が居なければもっとミーシャと楽しい友情ライフをおくれたのかもしれないと思うと少し残念でもある。

ミーシャは嬉しそうにしばらく花がとんでいるように見えた。


「そう言えばもうすぐ体育祭だな、ミーシャは体育は得意か?」

「僕は平均くらいです、あまり目立つ事も無いと思います」

「そうか、成績は凄いがさすがに運動はって所か」

「カルアくんこそどうなの?」

「まぁまぁっていうところだな、まぁ、運動はあの二人が強いだろう・・・」

「たしかに・・・カルアくんも凄いよ、運動も勉強も凄いんだから」

「勉強トップが何を言うか」

「そうかな」


控えめに笑うミーシャは時々寂しそうな顔をするあの二人もそれに気付いているのだろうか?

ただ考えてみれば勉強が出来れば運動も出来ると言う事ではないただ俺のライバルはあの二人へと変わったのだけは分かった。

いろいろと負けたく無いと思ったのだ。

王子だろうが公爵だろうがそこは関係ないのだ、それに権力で俺をあの二人が潰す事が無いのは分かっている、それをミーシャが望まないだろうからな。


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