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僕は過ちを正すため、過去に飛んだ  作者: クロヤギ
一章燃える財閥とあり得べからざる今
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第1章EP01運命の歯車が狂った日

なろうデビューです!!

第1章東山財閥編


東西南北にそびえる4つの大企業。

東の東山財閥

西の西峰財閥

南の南平財閥

北の沢北財閥。

第二次世界大戦後に急成長を遂げ今や日本トップクラスまで上り詰めた財閥群である。人呼んで日本四大巨塔である。


どの企業も専門分野はあるものの沢山の他分野にも手を出し、食品から電気製品までありとあらゆるものを日々販売している。


日本の国家資金の3割近い額をそれぞれ所持しており、このいずれかに就職さえできれば将来は安定と家族総出で1流レストランでパーティを開くほど幸せな事と一般的には言われている。




〜大阪府、西峰財閥内にて〜11月17日。


「社長!やりました!新しく発売された最新式携帯のスティックフォンは今月だけで見事な黒字を出しました!」


威勢良く社長の机をバン!と叩き、笑顔の似合う男、附馬ふまは経理が精算した紙を見せてきた。


彼は西峰財閥にて、営業課で係長を務めている。

なにより、今回黒字を見せた普段は棒みたいに細いけど、使いたい時のみボタン一つで棒がスマホに変わると言うスティックフォン。

棒といってシャーペンより短い長さで必要時にはマジックペンとしても使用できる優れものを考案したのであり、この黒字は彼を認めるのに十分過ぎるものであった。


「附馬、よくやった。お前の昇格を視野に入れておくよ。今後も期待してるから頑張ってくれ」


「は、はい!」


社長のその言葉を受け附馬は笑顔で部屋を出て行った。


「にしても、これは凄いなぁ」


西峰財閥の社長、西峰隼人は白髪が頭の半分を支配しており、若干50といったなかなかのおじいちゃんだが、父である西峰崇の代よりも会社を盛り立て、数多の事業に成功した天才である。


その隼人は先ほどのスティックフォンの売り上げ額の書いてある紙を見ながら頰を緩めていた。恐らく民衆からのスティックフォンに対する需要は非常に高く、必然的に価格設定も高まっていく。それがまた良い。

そして、ライバルである他の財閥よりも早く新型の携帯を売って、さらに利益を上げられたことが嬉しいのである。


今の日本はインフレを迎え、物価が高くなり、紙幣の価値は減ってしまい、企業にとっては不利であるがあまりに好調な販売スタートに心が踊ってしまうのだった。



しかし、そう思ったのもつかの間、あの吉報からわずか1週間ほどたったある日。


スティックフォンを購入したご家庭から次々とクレームが届いた。その事は瞬く間にマスコミに広がり、返品天国が舞い降りた。思っても見ない事態に隼人は頭を悩ませた。


「社長!今回の事態はどうなされるおつもりですか!?」


隼人は数多のマスコミのインタビューを全力で無視し、その日出社した。



「え、君もかね?」


手元に渡された辞職届を見て、隼人はハァとため息をついて言う。


「はい。これらの事態は全て私たちの責任です。私が全て責任を負います。」


そういったのは西峰財閥営業課係長の附馬だ。

附馬が抜けてしまうと、営業課はまさかの全員の退職が決定して、大きな人員不足に陥ってしまう。最初は部長、副部長、課長と徐々に辞めていき、最終的には附馬しか、残らなかった。その附馬も辞職届を提出した。

それだけは避けたかったのだが、彼らの意思は強く、やめると言い張ってしまったので隼人は諦めるほかなかった。


スティックフォンの発売はその日のうちに販売が停止され、回収作業が行われた。

ご購入された全ての人に返金し、いくつか法的措置に取ろうとしている人もいた。しかも運が悪いことに誰が告発したのか西峰財閥の悪い噂が沢山報道された始めた。事実、隼人は事業を確立するために黒いこともやってきた。

だが、立場上マスコミには全て虚言だといわざるを得なかった。

一ヶ月後には日本四大巨塔と言われた西峰財閥は倒産してしまう事態となり、隼人は莫大な借金を背負って家が回収された挙句、持っていた家具等も全て失ってしまった。それでも借金は払いきれないほど溜まっていたのである。


12月24日


街はクリスマスムードになっていく中、ボーボーのヒゲを生やした時の人、西峰隼人は汚い裏路地に腰掛け、小銭を投げ入れてくれる人を見ながら過去を振り返っていた。


時は36年前、隼人が高校3年の時だった。

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