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僕は過ちを正すため、過去に飛んだ  作者: クロヤギ
一章燃える財閥とあり得べからざる今
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EP15話本当の正義

ノベ●バより、一足先に公開させていただきました!

いつも読んでくださる読者の皆様。本当にありがとうございます!


ーーーーーーーーーーーー


「おーいガリ勉!ちゃんと俺の宿題やってきたよな??」


朝、教室に入った少年、西峰隼人(9)は友達の分の宿題を持った重たいランドセルを背負い、重い足取りの中、ドアという地獄という名の入り口に足を踏み入れる。


中に入って自分の席の前に来ると、隼人の前に坊主頭の子が立ってきた。


「おい、返事しろよな」


その子はそういうと、シャーペンを取り出し、隼人に向ける。


「ッッ!」


隼人は持っていたランドセルを力の抜けた手から落とし、驚きながら数歩後退し、床に腰をつけた。


「へへ。やっぱりお前の反応面白いなぁ。昨日お前の手にこれを思いっきりぶっ刺しただけあるなぁ。だよなぁ?怖いだろ?」


少年は隼人の腕に巻いてある包帯を見ながらニヤニヤして言った。


そう、この前日に隼人はこの少年から暴行を受けていた。

それも悪質で、嫌がる隼人を縛り抵抗できない状態にさせた上で、腕にシャーペンを思い切り刺して、直径1センチほどの穴を開けたのだ。


この少年、河本は血も涙もない人間、いやサイコパスといったほうが近いかもしれない。

隼人に限らず、人が苦しんで泣き叫んでいる声を好み、その際に出血した血を舐めるという尋常な人がしないような行為までするようなやつだった。

先生に言うのは禁止されていた。母には事故と言った。


今思えば、なんで俺は立ち上がらなかったのだろうか。


そう、後悔もしている。


そして、隼人はこの一件から、「先端恐怖症」を患ってしまったのである。


「む、無視はしてないよ!聞こえなかったんだ…」


隼人は涙目で訴える。

そして、急いで先程落としたリュックの中から河本と、他にも言われていた全員の分の宿題を出し、差し出す。


「し、しっかりやったよ…」


隼人は河本の持っているシャーペンに意識を向け、怯えながら言った。


「…」


河本は差し出した宿題のノートを取ろうとしなかった。

それどころか、分かりやすいほどに顔が不機嫌を表していた。


「…つまんねぇ」


誰にも聞こえないような声でそう言うと、シャーペンを持ったまま、隼人へと近づいていく。


「な、なんでこっちくるんだよ!宿題はやったよ!あと、全部あっているはずだ!塾の先生にも確認してもらったし!」


隼人は必死に弁明する。しかし、河本の足は止まらない。


「いやぁ、俺ねぇ、汚い字が大っ嫌いなんだわ。お前の書いたノートの字きったねぇーじゃん。だから、罰」


河本はニヤニヤしながら言う。


「そんなことあるもんか!だって、君は僕のノート見てないじゃないか!」


「いつも汚ねぇから今日も汚いに決まってんだろ?」


隼人の目の前に立った河本はそう言うと、シャーペンを持っている手を持ち上げる。


来る!


隼人は覚悟した。


その時だった。


「いい加減にしなよ。僕さっきから見ていたけど彼は悪くないじゃないか」


持ち上げた河本の手を知らない男が掴む。


「あ?誰だお前」


河本も少し動揺しながら聞いた。


「今日から転校してきた小鳥遊 修斗だよ。よろしくね」


小鳥遊は優しく笑って言った。


「と、とりあえず離せよ!」


河本は掴んだ手を振りほどこうともがくが、その手はしっかりと掴んで離れない


「いじめなんて、無意味なことはしないほうがいいよ。人生の損だからね」


小鳥遊のその言葉からはその場の空気を圧迫する力を持っていた。


「わ、わかった!もうしないから!」


河本がそう言うと、小鳥遊は手を離した。


ーーーーーーーーーーーー


「小鳥遊くんありがとう! 」


放課後、小鳥遊の机の下に行き、隼人は礼を言った。


「いやいや、礼なんて大丈夫だよ。災難だったね」


小鳥遊はそう笑ってくれた。


そのまま荷物を持って去っていく小鳥遊の背中がとても大きく見えた。


俺も、あんな男になりたいな。


隼人は心の中でそう思うのだった。



あれから1週間後、いじめの存在が発覚し、隼人は転校した。

やはり、小鳥遊は笑って送り出してくれた。


「隼人くん。坂本龍馬のこんな言葉知ってる?」


転校の日、小鳥遊は隼人にそう問いかける。


「人の世に失敗ちゅうは、ありゃせんぞってね」



それから半年後、転校先の学校で小鳥遊が事故で入院したと聞いて手紙を出したが、返事は二度と帰ってこなかった。



ーーーーーーーーーーーー


「思い出したか?」


隼人は今一度、小鳥遊に問いかける。


「…」


小鳥遊は何も言わなかった。


「だから俺は知ってる。君が誰よりも強くて、優しくて、人をいじめるようなやつじゃないってことも。君がいじめられていたことも俺は中3になって初めて知ったよ」


隼人は続ける。


「人の世に失敗ちゅうは、ありゃせんぞ…だろ?修斗君。君が言ったんだ」


「俺は人なんかじゃない。悪魔だ」


小鳥遊はそう呟く。


「そうかもな」


隼人はそれを肯定することにした。


小鳥遊の頰は緩み、苦笑いのようなものを浮かべている。

まるで、全てのことを諦めてしまった人のように。


「俺に価値なんてあるわけないよな…」


小鳥遊はそう、泣きそうな声で言った。


「そんなことありませんよ」


そんな小鳥遊にさっきまで話を黙って聞いていた風魔が言った。


「人の価値なんて、そんなの〝概念(もの)〟でしかないんです。だから、今、ないなら作ればいいんですよ。〝もの〟なんですから」


「俺は自分の価値なんてそんなものの作り方なんかしらねぇよ」


「無理に作ろうとしなくていい。」


ネガティブに応対する小鳥遊に隼人は言った。


「ただ、歩いてればいいんだ。止まってさえなければ自然と価値は出るものだ。それに、過去も未来も絶対にお前を捨てないから」


隼人の言葉を聞いたはずの小鳥遊だが、ろくな返事もせずその場でまた泣き出してしまった。


この後、隼人と風魔は小鳥遊から今までのことを謝罪された。



パズ●ラで進撃の●人コラボ3弾来て欲しい進撃の●人オタクです。

知識はやばい自信があります。


ここまで読んでくださった読者の皆様に一言

「駆逐…してあげないっ!」


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