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黒龍の指導は死ぬ思い

 あれからさらに黒龍『悪食(アクジキ)』と話して随分時が経ったことを知った。


 なんと10年だ。


 おかげで今は15歳。日にちがわからないから14かも。まぁそれはさておきかなりの時間が経ってしまった。母さんに会いに行ったら拳骨じゃ済まなそうだ。


 父さんは、まぁ大丈夫だろう。温厚な父だ。よくあれで狩人などやってると思うほどに優しい父さんだ。


 やはり心配は母さん。


 目の前のドラゴンよりか怖い。想像しただけで身震いが。


 話は戻るが、10年かけてようやく再生した俺の肉体だが、欠損部位以外にもアクジキの血肉や他の墓場に来たドラゴンの血肉を混ぜ混んで再生させたらしい。


 お、面白いことしてんな。いっちょ俺のも使ってくれや。てきなノリで他の龍の血肉も使われているらしい。


 ノリと勢いで再生されたお陰であまり拒否反応は出なかったらしい。


 それに覚醒した膨大な魔力のお陰でスムーズにいったらしいが、そこで誤算があった。色んな龍の血肉を使ったお陰でさらにパワーアップしたらしい。


 個人的にはありがたいのだが、その身に宿すには強大過ぎる魔力が宿ってしまったらしく、封印が得意なドラゴンが封印の魔法を使ってギリギリ封印できたそうだ。


 10段階に封印され、全ての封印を解けば軽く国を吹き飛ばせるらしい。


 自分でも封印を確認したが、かなり高位の封印が施されていた。それこそ魔王でも封印するかの様な封印が10個だ。


 10個の封印が施されてはいるが力が漏れだしているらしく、漏れている力を制御出来ない限りはこの龍の墓場から出せないと言われ、もっか黒龍アクジキと戦闘訓練の日々だ。


「グァッ!」


「おらどうしたかかってこいボウズ。諦めるな。ドラゴン倒してこそ一端の男だ!!」


 この熱血ドラゴンが!ドラゴン倒せなくても一端の男にはなれるわ!!


 このドラゴン、死期を悟りドラゴンの墓場に来たらしいが、来てはや1000年経つが一向に死ぬ気配が無いらしい。今では立派な墓守り。むしろ墓場の瘴気を吸収して若返ったわガハハハハって豪快に笑っていた。


 それで暇なところに俺が落ちてきて面白半分いや面白九分で蘇生実験開始。


 ちょっとやそっとじゃ傷つかない頑丈で七割り龍の面白人間が完成。


 久々の戦闘にハッスル。日々ボコボコにされる日常が始まってしまった。



 ★



「このバカドラゴンがとっと死にやがれ!!」


 右手の上に直径5メートルはある巨大な火の玉を作りアクジキに投げ飛ばす。


 前世の記憶と経験を日々の死闘で吸収することであっという間に魔法が使えるようになった。使えるには使えるが前世まではまだまだ修行が足りない。魔力の収縮も足りないし、魔力コントロールも稚拙だ。だが、有り余る魔力で足りない部分を補うことができる。


「甘いわ小僧!!」


 デコピンで巨大な火球を弾き飛ばして、拳を振り下ろす。


 ふざけた圧力の黒龍の拳が振り下ろされる。命を助けておいて殺しそうな勢いの攻撃だ。


「ふざけんな!!殺す気か!!!」


 黒龍の拳を右手で拳を握り殴り返す。


 龍の拳を殴り返せるとは自分も随分人外になった。


 右腕は黒龍の力が表に出過ぎて黒く染まり、腕全体には鱗模様に赤い線が走って脈動している。さらには龍の力が首の辺りまで赤い線が走り侵食している。そこにさらに全力で身体強化を行い黒龍と殴り会う。


 日々の死闘ならぬガチ喧嘩で得た力だ。漏れている龍の力を最大限使い、龍の気をコントロールすることで衣を作り、攻撃力、防御力共に倍以上に高める事が出来る様になった。


 この技を龍装纏衣(リュウソウテンイ)とアクジキが名付けた。


 龍装纏衣のお陰でただの少年も今や背中に黒龍の翼を生やして空を飛ぶことすら可能だ。体の半分は黒龍の血肉なので龍装纏衣状態だと漆黒に染まる。赤龍と同化して再生させられたせいか深紅の線が入ってちょい格好いい。


「ガハハハハ。愉快だ愉快だ。こんな殴り合いが出来るようになるとは涙が出そうだ!」


「うるせぇ!こっちは死ぬ思いだ!!」


「ここまで楽しいのは勇者と戦った時以来だ!」


「早く死ね!耄碌(モウロク)ドラゴンが!!」


「言うではないか小僧。若返った力見せてくれるわ!!」


 口元に膨大な魔力の圧縮を感じる。


 龍の咆哮、ドラゴンブレスだ。


 闇の炎が口元に具現する。


「死ね小僧!!」


 闇の炎のレーザーが放たれる。下級龍は圧縮が甘いので範囲攻撃になるが、上位龍の咆哮は貫通力と殺傷力重視の咆哮。これは受けに回ると死ぬ。死ぬだけなら良いが、この世から消滅すらあり得る。


 それにあの耄碌ドラゴン。死ねって言いやがった死ねって。勝手に面白九分で蘇生させたくせに殺そうとしやがった。いや滅せようとしやがった。


「このバカドラゴンが!!」


 身体中から黒い龍の気を溢れ出させる。龍装纏衣以上に難しいかったのは龍の真の力の発動だ。最上位のドラゴンのみが可能な能力。


 そのドラゴンの名の力。


 俺は半分は黒龍『悪食』の血肉なのでアクジキの力を受け継ぐことができた。本家に比べれば幼稚も幼稚だが。


『悪食』の力は単純。それは喰らうこと。


 全てを喰らい、吸収し、排出する。


 単純だからこそ強力。


 龍装纏衣を纏う状態から放出へと変化。


 漆黒の龍の気が龍の頭部を型どる。


「喰らえ」


 アクジキの放った龍の咆哮を漆黒の龍が喰らう。咆哮を喰らったそばからその力を解放する。解放とともに龍の気が膨れ上がり、漆黒の龍が巨大に変化。さらにアクジキの龍の咆哮を喰らい尽くさんと動き始める。


「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛」


 全身に激痛が走る。


 オーバーヒート。許容量を超えた。


 頭部の血管が切れ血を流し、目から、鼻から、首から血が流れる。最も酷いのは力を制御し続けている右腕だ。右腕は皮膚が爛れ、肉が見え、内出血で真っ黒く変色している。


「くそったれー!!」


 気合い一貫。許容量を超えながらもドラゴンブレスを喰いきった。


「ハァハァハァ」


 全身に力が入らない。右腕は少し動かしただけで激痛が走る。


「まさかブレスを喰われるとは思わなかったぞボウズ」


「このバカドラゴンが、殺す気か・・・」


「死闘の果てこそ成長があるもんだ。ま、ワシはそんなの無いがな。ガハハハハ」


 ドラゴンに言われたくねぇ。こっちはちっぽけな人間だっての。許容量が違うわ。


 アクジキが笑いながらも回復魔法を掛けてくれるが効果が弱い。


 人間の魔法と違ってドラゴンの魔法は力業の部分が大きい。弱い魔法もえいやっと魔力を込めると人間の上位の魔法に匹敵する。


 なにせ膨大な魔力があるのだ人間の様に少ない魔力を効率的に使うために精密な魔法式は必要ない。


 それにドラゴンはその自前の再生力があるので元々回復魔法には頼らない事が多いので回復魔法系はあまり発展していないらしい。


 実際俺も再生力がかなり上がった。ちょっとの傷は直ぐに再生するし、それこそ腹を貫通するような傷を負っても魔力が充実していると1日で完治することもあるくらいだ。


「3割りしか力を出してないとは言え、これだけやれれば十分じゃろう。そろそろここを出てっても良いぞ」


「ホントか!?」


 ようやくか。長かった。再生に10年、力のコントロールに2年。前世の記憶があっても2年かかった。その分存分に魔法の練習もできたので色々出来る様になった。


 まだまだ前世の記憶の人達やアクジキには敵わないが、そこら辺の雑魚には十分以上に通じる力は身に付けれた。


 これからの事に夢が広がるが、難関は母さんだ。12年もいなかったどれだけ怒られるか・・・身震いしかしない。あぁいっきに帰りたくなくなってきた。

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