やっちゃえ(半年ぶり2度目のCM自粛)
ニュースで日産がCM自粛の話題をしていた。
だが実はこのCMの自粛は今年に入って2度目だ。
スポーツ新聞などはちゃんと状況を調べていない。
数々の問題が発覚している日産だが、最初に断っておくと筆者は「不祥事を起こそうが、基本的には全てのメーカーに対しては中立的立場」であることを表明しておく。
私は企業そのものに対しては設計関係で人命に関わる重大な欠陥でも生まない限りは一切の評価を下さない。(人災にしか思えないようなモノを発生させておいて、その上でまともな謝罪も行わないような東と京みたいな名前がついた電力会社のような存在にでもならない限りは)
だから東芝に対しても、日産などに対しても一応中立的な見解でもって語ろうとは努めている。
私にとって問題視すべきは商品と商品パッケージングと商品サポートの方だ。
なので、自動車でいえば「車種」単位の批評しか基本的には行わない。
よって今回の主題は「車種」に関わる問題である。
正確には「その車種に搭載されたある機能」の問題であり、車自体の問題ではない。
今回の不祥事については、実は別の視点で見ることで国交省がどうして重い腰をあげたかという理由がわかると思うので、「車種」という存在を通してちょっと解説したいと思う。
去年の11月に発生した事故のことだ。
日産の新型「セレナ」が「自動運転中」に追突事故を起こし、ディーラーの社員が書類送検した話。
実はこれ、国交省は「なんか怪しくねーか?」と重大インシデントではないかと調査を開始していたのはあんまり語られていない。
極一部がニュースにて取り上げ、なんだかよくわからない自動車批評家が「自動運転中にブレーキが働かないなんてありえない!」だとか書いていたが、一方で「まさかとは思うがブレーキ性能に大きな偏りがあるんじゃないか?」なんて予言めいたことを言っていたりした。
この事故で国交省はすぐさま日産に命じたことがある。
それは「自動運転という呼称の宣伝を取り下げろ」である。
新型セレナが出るまで、「日本至上初の自動運転機能搭載!」と高らかに宣伝されていた。
実際にはプリウスなどの一部オプションで似たようなことが出来るのだが、それを日産は「自動運転」だと言い張っていた。(多少の機能的パワーアップはあったが、筆者は普通に運転サポートだと思ってたが)
新型セレナ自体の車としての能力はミニバンとしては平凡だと思う。
ステップワゴンやノア、ヴォクシーと比較してこれといって驚くほど凄い性能ではない。
ボディの設計自体が1世代古いのが気になる程度。
しかしコイツが出る前から特許系技術者は新型セレナについて評判のよくない噂を流していた。
それは「自動ブレーキ機能が他社より劣っている」という話だった。
どうして劣っているかについては単眼カメラとセレナなどでネット上で検索してみていただければいくらでも情報が出る。
筆者は二種免所持者の関係上、自動ブレーキやオートマ、CVTなどは肯定派だが、クルコンですら否定的な人間なので興味が無く、当時は話を聞いて「そうか」といった程度でしか考えていなかった。
まず1つ、セレナの自動ブレーキは二種類あるということだ。
1つが「緊急時の自動ブレーキ機能」だが、これは1つ前のセレナと同じものであり、他社より1世代遅れている。(現行車は2017年6月以前のモデルのみ該当だが、当時はこっち)
よってコイツの性能は正直話にならない。
私は仕事を通して彼らの話はこれについてのことだと思っていた。
事故が起こって、国交省が正式に検証を行うまでは。
で、だ。
追突事故について「自動運転中であった」という調査結果を得た国交省は、すぐさま各社のミニバンを集めて独自に試験を開始する。
それは簡単に言えば「抜き打ち検査を行い、各メーカーの自動ブレーキがちゃんとしているかどうか見定める」というものだった。
結果を言うと、まずトヨタ。
トヨタの場合、ミニバンはアルファード&ヴェルファイア、そして今ではプリウスより売れてトヨタを支える看板者の1つとなったノア、ヴォクシー、エクスクァイアの一族と、これまた売れまくってるシエンタ、そしてエスティマが集められる。
自動ブレーキにおいてトヨタが「よほどのことがない限り停止できる」と評していたのはノア、ヴォクシーとシエンタ、そしてエスティマであったが、これらは概ね発表どおりの性能であった。
一方、「停止できないが衝撃を大幅に緩和できる」としたアルファード、ヴェルファイアは実際にその通りで障害物として設置した設置物に低速だが激突する結果となった。
究極のミニバンとかいって販売している車のシリーズだけぶつかるというのは何かの皮肉なのかわからないが、少なくともアルファードなど以外は通常の乾いた路面ではちゃんと停止できうることがわかっている。
次にホンダ。
オデッセイ、フリード、ステップワゴンなど自動ブレーキ搭載車が集められたが、現行車種はホンダが説明する通り、きちんと停止できることがわかった。
特にステップワゴンが停止できるというのは筆者からすると驚きであるが、少なくともホンダのミニバンも問題なかった。
そして問題の日産。
日産は現行セレナ(2017年6月以前)と現行エルグランドなどで試験を行ったが、結果は「障害物によっては全く感知できない」
その場合は自動ブレーキでも、自動運転でも全く停止できない。
それどころか「自動ブレーキ」が働かないケースがある。
ネット上でも個人が実験している映像があるが、状況によっては本当に全く感知できないのでマジでこいつら「欠陥品やろ」ってレベルである。
そもそもが新型セレナの説明書を見てみるとおかしいのだ。
「自動運転中でも手動でブレーキを踏んで停車してください」なんて書いてある。
それ「自動運転ちゃうやろ!」って突っ込みいれたくなるが、そもそもディーラーの社員が書類送検された理由は「正確な操作を説明しなかったのに加え、本来使用してはいけない状況で使用した」ということだった。
その「正確な操作を説明しなかった」とは、マツダが似たような事故を起こした時のような「アクセルを踏んでも安心」ではなく……
「自動運転機能中に手動ブレーキを踏む」という操作である。
どこも自動運転ではない。
当然にして、この結果を重く受け止めた国交省は「自動運転」という言葉を取り下げろと命じ、そしてここから約2ヶ月ぐらいのCM自粛をしたのが1度目、そして今回の不祥事で2度目だ。(今回と同じで日産のCM自体の完全自粛ではなく、矢沢サンが出てきて技術だのやっちゃえだの言ってたアレが放送自粛)
実は「日本発の自動運転機能搭載車」は「取下げによる無効」となったので、「史上初の自動運転機能付き自動車」というのは存在しないことになっている。
現行セレナはカタログも訂正され「運転サポート機能」に改められ、CMでもすげー小さく「運転サポート機能」と書き換えの文章が入った。
矢沢栄吉が手を離しているCMに若干の修正が入ったのだ。
だが今回の不祥事の判明。
間違いなくコレがキッカケだと筆者は考えている。
国交省が怪しむような行動を彼らは起こした。
実は新型セレナは2017年の6月に突如日産が「自動ブレーキ性能が向上」とかいって性能評価試験の映像を出したのだ。
例の事故から半年ほど経過してのことである。
しかし問題は「一体いつから向上したのか不明」という怖さ。
通常これらは「リコールものだろ」と言いたくなるのだが、2016年8月から販売されたロットと、自動車関係の専門家いわく「2017年5月より販売されたロット」では自動ブレーキ性能が天と地ほど異なるということ。
それを「メーカーが認めつつもリコールしなかった」という点。
例の事故は「マニュアルを無視して用いた」ことで起こった事故だと言い切った割に、日産が起こした行動は意味不明である。
他社メーカーの殆どが「激突しない」という結果によほどプライドが傷ついたらしいが、一方でこれらを用いてセレナの安全性を強調する日産に対し、自動ブレーキテストが再び行われることになる。
ここで2017年5月以降のセレナは最高クラスの得点を出した一方で、自動車評論家などは結果をみてある部分を指摘している。
それは「以前から気になっていたが、そもそもブレーキの制動距離に個体差がありすぎる」という話。
テストごとの自動ブレーキによる走行時の誤差は当然にして走行時の環境がいつも若干異なることから、テストにおいても微妙な誤差として生じていく。
一方、日産の場合は「固体毎にブレーキ制動に明確な誤差がある」ということが顕著に見られたのだ。
不祥事の事件判明前からすでに「臭い」を漂わせていて、最高得点を出したセレナでもそれが指摘されていたのである。
この結果を見て国交省が怪しまないわけがない。
今回の不祥事では国交省は「内部告発があった」と主張し、日産は「そんなものは確認できなかった」と主張しているが、私が思うに日産の話の方が正しいと思う。
恐らく抜き打ち検査の直接的行動理由は内部告発ではない。
試験や試験結果を見た自動車評論家ですら気づく問題を、専門家による検証チームが見逃すはずがない。
時期的にも違和感が無い頃合であるし、今回の不正直発覚は個人的には別口の問題から尻尾を出して掴まれたと判断している。
こういった噂のような内部告発めいたものというのは日常的に連絡が来るわけだが、劇場版パトレイバー2の後藤さんの言葉を借りるならば「確たる証拠は何もない」ということでなかなか動きにくい。
その「確たる証拠」たりえるものを自ら提示してしまったということだ。
だが私としては実はもう1つ気になることがあった。
それは四輪業界よりも二輪業界の話だ。
バイクを所持する者なら聞いたことがあるだろうが、実はバイクには「初期整備」というものがある。
正規ディーラーで購入した場合は店員が最初のセッティング等を見てくれるのだ。
問題は、この初期整備の重要性で、安い整備士もいないバイク屋で新車を購入した後、コレをやってなかったために不良品をつかまされたと騒ぐ者たちがいる。
ブレーキが利かないとか、クラッチが繋がらないとか、割と「初期不良」と判断されてもおかしくないような症状が起きて「だからバイクはちゃんとした整備士がいるところで買え」とオッサンライダー達が叫ぶ理由ともなっている。
余談だが、筆者としても若者のライダーが始めてバイクを買うという場合は「免許取得キャンペーンなどを活用して新車を正規ディーラーで買え(特にホンダ)」と主張している。(そのほうが中古でわけわからない商品購入して修理費や消耗品の交換などにお金を払うより支払い総額が絶対に安いから)
特にホンダの理由は最近のホンダドリームの対応の悪さと、サポート面の悪さのためだが、スズキ、カワサキ、ヤマハは中古でも逆輸入車などでもレッカー移動無制限などの自動車サポート関連のサービスがつくのに対し、ホンダは新車しか面倒を見てくれないというのが理由の1つ。
逆輸入の新車すら面倒を見ないというのは現状では4大メーカーでホンダでしか確認できない。
なので、ホンダ車のバイクに乗る者として、最近のドリームは明らかに他社よりサポート能力で劣っているので、大型車でヤマハに売り上げが負けただとかいう話も「車の性能じゃなくサポート面が充実していないから買い控えされてんだよ」と叫んでいたりする。
それはいいいといて、私はここに疑問を感じる。
二輪も四輪も工場出荷前にテストを行ってから市場に出回るはずだ。
事実、この間ホンダが出してきたアフリカツインにおける特番では、1台1台有資格者がテストして出荷するものが流れていた。
だがなぜか、二輪特有の現象として初期整備を行っていないと割と高い頻度で初期不良めいたものが発生するという現実があり、同じく工場出荷前にテストを行う四輪では全く聞かないような動作試験時のチェック漏れのような不良が初期整備を行う整備士からも「多い」と指摘されているのだ。
それって大丈夫なの?って話。
バイクの場合、車と比較すると趣味の乗り物とされる。
だからオッサンライダーほど自分で整備できて、youtubeには初期整備を自分でやって「うわっ、ブレーキのワイヤーにグリスが盛られてねえ! これじゃブレーキまともに動かないぞ!」なんてやってる動画をアップロードしていたりするのだが、四輪自動車で上記のような話は聞いたことが無い。
今回の件でいい機会だし、ちょっと二輪全体も抜き打ち検査してくれないかな。
国産バイクメーカーは四社全てにおいて日産以上に怖い所があるんだよね。
車種別の性能に対する信頼性はあるが、出荷された新車に対する個体別の信頼性が低く初期整備が必要というのは個人的に以前から疑問に思っていたのだが、ニュースや雑誌などで工場出荷前に何をチェックしてどうあればならないのかということが細かく情報が出た影響で、なお更に国産四大メーカー全体の二輪車の工場出荷前の試験状態が気になった。
私の所有車を例にすると、納車時点から5速から6速に繋がらないことがあるCBに乗っていて、ドリームの人間もその現象を確認しているが、これについてなんらサポートがなく、私は次期マイカーの選定を再び行わなければならなくなっている。
これを修理するとエンジン関係全部バラさないといけないんでお金もかかる一方、新車購入なのにそれに対する補償も無いので、「マジでちゃんと試験してんのか?」って思ってる。
それでいて次期マイカーもホンダにしようと思っているが、理由は設計思想的な部分が筆者にとってホンダと最も相性がいいからだが、1つの種類としてのホンダのバイクの性能の優秀性を、サポート体制と工場出荷前の点検等による固体別の不具合によって損なうというのはやっぱ納得できないものがあるよね。
しかもCBは頑丈な影響で繋がらない際にものすごい衝撃が走ってもクラッチが壊れたりしないから余計に始末が悪いが、高速道走行中に5速から6速に繋がらずにその衝撃でエンストしかけた時、死を覚悟したのでマジでちゃんとやれよってな話。
これ書いていたのは数日前でしたがスバルもやったようで。
ただブレーキ性能でスバルが問題になった事はなかったですね。