王道(ベタ)の欠片~お食事をしましょう~
かなり短めですm(_ _)m
先日、ついに やんごとなき皇子殿下が大食堂に ご降臨あそばされた時には驚いたけれど、持ってきてくれたラング・ド・シャっぽいお菓子(形は違うけど)は、まさに天上の味だったから また来てくれても構わない。皆に注目されちゃうのは困るけど。
……嘘です。強がりました。一人の食事はちょっぴり寂しかったんです、是非また御来駕あそばしませ。ませませ~。
そんな願いが届いたのか、大食堂に時々 ご降臨あそばされるようになった殿下が、目の前でお上品に庶民的な食事を御賞味あそばし……もういっか、食べている。
(なんだか凄い絵面かもしれない)
天使もかくやという可憐な皇子が、ファーストフードかショッピングモールとかにあるフードコートっぽい場所で天丼を食べるの図。なんという コレジャナイ感。
「この甘しょっぱいタレ、癖になりそうだね」
(あ、お口に合いましたか。よろしゅうございました)
にこにこ と食べる姿に、私はナゼか精神的ダメージを受けていたけれど、本人が気にしていないなら何も言うまい。うん。私もタレの掛かった天ぷらの衣やご飯、美味しいと思うよ。
そんな風に現実から目を逸らしながら目の前のチーズハンバーグを口に運ぶ。
「アーシャも美味しそうだね?」
「ん」
ドミグラスソースの掛かったチーズハンバーグは以前からの好物である。こっちにもあって良かった。お供はパンではなくご飯である。
「食べる?」
こちらに興味を持っていたみたいだから、弟にでもあげる気分で 何の気なしに一口分をフォークに刺してウォルセンの口元に差し出してしまった。きょとんとして目を瞬いている。そんな姿も可愛いとかズルイ……で は な く 。
(しまった! やらかした かもしれない!!)
周りも一瞬、ざわっとした気がする。変な汗が出てきた。ほんの数秒間が、ものすごい長さに感じるほど思考が空回りした。よし、謝って引っ込めよう。
「あ、ごめ……」
「ありがとう」
上流階級の人からしたらお行儀の良くないことなのに、ウォルセンは満面の笑みで ぱくっと食べてくれた。
「ごめん。マナー違反だった」
「構わないよ。とっても美味しかったしね」
彼の笑顔のお陰で空気がちょっと緩んだけど、これからは 本当に気をつけた方が良いかもしれない。
……と、思っていたりもしましたが。
その後、時々 一口をねだられるようになった。何故だ!!!
どうも、王道で仲良しな 小話でした。
……なんか、ごめんなさい。
そして殿下は《はい、あ~ん♪》の魔法(?)を知りました。主人公が やらかさなければ、意外と知らないままだったのに……
[設定かなぁ?]
《地球的食べ物》
過去の転生者や転移者たちは頑張ったんだよ。それはもう頑張ったんだ……!! 秘境を巡り、魔物や魔獣と戦い、見慣れぬ食材や現地人との軋轢や偏見とも闘って。
納豆もあるけど、ライスランドでしか食べられないらしい。残念。