剣術指南と新たな発見
時刻:譎る俣縲??托シ:包シ夲シ難シ
ウルティアと剣を交え、無駄な動きを指摘しながらそれをそぎ落としていく。
ウルティアの体付きからミノタナトスの持っていた斧剣を振り回すよりかは刀の方が合うと思っていたが、実際にこうして何度も刀と打ちあう度に感じる手応え。
「そうそう、その調子だよ。でもまだまだ硬いよ!」
「ぐっ…!」
まだ力の入れ方に慣れていたいため、所々体が強張ったりして刀の振り下ろしに勢いが乗らず、威力も全然出ない斬撃を繰り返していた。
その度に力が入りすぎている部分や入っていない部分を徹底的に攻撃し、力の分配を意識させた。
久々の人型形態、かつ光剣による対人だったのか、アルフ事態も多少興奮気味ではあった。
W.Wでの立ち回りが徐々に思い起こされ、アルフの動きも次第と精錬されていく。
「左足に力が入りすぎだよ! ほら、右手への注意がおろそかになってる!」
「ぐうう…っ、ぬうううん!!!」
「おっと! やっぱり意識していれば防御面は完璧だよ、ウルティア!」
「ぬううう、だがあの斧剣よりかは手応えが実感できる…!まだまだいくぞ、若殿!」
「どんどん掛かってきて! そして己だけの戦闘スタイルを見つけるんだ!」
それからどれぐらい時間が経ったのか、気づけば辺りに夕陽が差し込んでいた。
ウルティアは休憩を挟まぬ長時間の刀の打ち合いに疲れが出たのか、肩で息を吸っていた。
それを見て一息つき、そっと構えを下ろす。
「よし、今日はここまでにしよう。」
「はあ…はあ…、一撃さえも我が刀が若殿に届かぬとは…。」
「仕方ないさ、これはさすがに経験と場数の差が出てたからね。でもウルティアの刀はすごくいいよ。」
そう、ウルティアの防御はより一段と磨かれたようで、意識していない部分への攻撃にも即座に反応するようになっていた。
そして何より相手の攻撃を受け流す際の力のコントロールが恐ろしく上手い。
アルフの攻撃を即座に見切り、最低限の力と動き、そして受け流す向きを即座に判断し隙あらば弾き返すパリィさえも狙っていた。
事前にウルティアに
「あ、刀という武器は基本、相手との武器との打ち合いに全然向いていないからできる限り相手の攻撃を受け流すことを意識した方がいいよ。」
と伝えていたが、まさかここまでできるとは思わなかった。
白き闇との同化を解き、元の銀狼の姿に戻るとウルティアの近くに寄るとその場に座る。
ウルティアも椿姫を地面に差すとゆっくりとその場に座り込んだ。
「お疲れ、ウルティア。ほんと防御面に関しては逆に俺が参考にしたいぐらいだったよ。」
「がはは、それは嬉しい。だが、終ぞや若殿に一本も取れなかったのは悔しかったぞ。」
「でも多分そう短くないうちに一本取られるんじゃないかな。」
「今日は感謝する。また指南の手ほどきをよろしく頼む。」
「任された!」
そんな会話をしていると遠くからエネラ先生がやってきた。
どうやら晩御飯の準備が出来たらしいので呼びに来てくれたとのこと。
気が付けば腹の虫もお互いに鳴り合っていた。
2匹はゆっくりと立ち上がると、エネラ先生と共に晩御飯が用意された部屋へと向かっていく。
その途中、何度かウルティアとの打ち合いの時を思い出していた。
元々ウルティアは4足歩行で、ディア・ブ・ロードへと進化してからは2足歩行へと姿を変えたが、4→2へと変わったことで立ち回りに対してぎこちなさがあると思っていた。
だが実際はそんなことはなく、むしろそれぞれ俺の攻撃に合わせ、2足歩行形態時と4足歩行形態時の立ち回りを意識し、上手く力を地面に流して攻撃を流していた。
軽い攻撃ならそのままの状態で、重い攻撃なら攻撃を受けた瞬間に刀と手、そして腕や足をうまく使って地面に3点から4点付けて力を地面へと流していた。
まあでも攻撃を受けた際に、まずは受けた衝撃と力をうまく分散しなければ成立しないわけだが…。
『そこは経験と場数の差だよなあ…。』
と、ウルティアに対して言った言葉が自分にも返ってきたのを感じて恥ずかしくなった。
『まだやりようはあるってことかな。俺も、ウルティアも…これからだ。』
「若殿、どうした?」
「若様?」
気が付けば思考にばかり気にかけ、動かす足を止めて立ち止まっていたようだ。
急いで2匹の元へ駆け寄り、”何でもないよ”と声を掛けて再度歩み始めた。




