知りうる限りの最強の力
時刻"12:30"
「若殿、その御姿は一体…」
ウルティアの口から零れた素の感情。
それを言葉に表したセリフが自らの姿に驚きを隠しきれないアルフの耳に届く。
「いや、その…おっと。」
この異世界へ来てから初めての2足型形態に若干足元がふらつく。
ただふらついただけで、すぐにその体に馴染む。
軽く肩を回し、両腕を、両足を動かし、両手を握っては開き、首を軽く鳴らす様な仕草を行う。
指先を軽く動かし、何かしら驚いた様子を見せた後、珍妙な動作を行い始める。
その後、アルフの両手に光を集わせると剣を形どらせ、それを握ると軽く振り回す。
アルフの行動を、眉を寄せて首を傾げながらそれを眺めている。
軽い慣らしを終えたのか、光剣を消すとそのままウルティアの方へ向き直った。
「その御姿になり、もう馴染めたのか?」
「ああ。問題ないよ、元々この姿は俺が持ってるスキルの一つのようだ。」
「…となると、若殿の前世は騎士かに姿形を変える事ができる、ということか?」
「うん。それで合ってる! でもまあこれなら、ウルティアに指南を施せるよ。」
そういうと異形の斧剣を手に取り、それをウルティアに差し出す。
座っていたウルティアはゆっくりと立ち上がり、差し出された異形の斧剣を受け取り、両手で握るとそのまま構えた。
ウルティアの構えを見てまず光を両手に集わせ、日本刀の形を模した光剣を一つ作り上げる。
「多分、ウルティアはその武器との相性が悪いんだと思う。」
ウルティアにそう告げ、瞬きしたその一瞬の刹那、手元に持っていた異形の斧剣を手元から弾き飛ばされた。
その一瞬、何が起きたのか理解さえできず先ほどまで異形の斧剣を持っていた両手を見る。
傷はどこにもついていない。だが微かに手が震えていた。
異形の斧剣を弾き飛ばされたその衝撃は確かに感じていたのだろう。
弾き飛ばされた異形の斧剣は宙を舞い、数回転の後、近くの茂みへと突き刺さった。
「次はそれを使ってみて。」
気が付けば、ウルティアは突き刺さった異形の斧剣の方を向いていた。
声が聞こえ、前を向くとそこには先ほどまでアルフが握っていた剣と同じ形をしてる剣が地面に刺さっていた。
ゆっくりと剣…、刀を抜く。
その薄く、透き通った見事な刀身、そしてずっしりと手元に来る重さにウルティアはその刀に少しの間じっと見惚れていた。
「若殿、この剣は…。」
「それは太刀と呼ばれる剣だよ。」
「太刀…、でもこれを一体どこから…」
そう、この太刀は先ほど何もない異空間から取り出し、呆気に取られている隙を狙って出したアルフの所持品の一つだった。
先ほど体を慣らすため、色々とウォーミングアップをしている最中、突然アルフの目の前いっぱいにポップアップが大きく広がった。
そこにはあのゲームで所持していた彼のアイテムが幾つか表示されていた。
ただ、記憶にある限りではすべてを所持しているわけではなかったが…。
その中で、アルフはゲームの一大イベントで入手した武器に目が付いた。
ツ バ キ
" 妖 刀 【 椿 姫 】 "
これは基本的にアンコモン武器となんら変わらない鈍にも近い太刀であるが、
とある特殊な条件を達成した場合のみ、真の姿へと姿形を変えるというイベント武器である。
だがイベント内容が酷く難しく、それを入手できたものはごくわずかと言われている。
またその真の姿へと変えた妖刀【椿姫】はアルフのある事情により、入手だけしてあっさりと倉庫へと放り込まれてしまった。
性能事態はそこまで悪いわけではなく、使い手次第では大きく化けるとされている。
ただ、入手した者自体ごくわずかなため、その姿を見た人は未だに居ない。
ウルティアは軽く2~3回慣らすように【椿姫】を振り下ろす。
あまりにも軽く、そして空を切る手応えさえも感じさせるその刀身の鋭さに、その刀の強さの一部を感じる。
「それじゃあ、始めようか。ウルティア。やり方は簡単だ。今の姿になっている間に一撃当てれればウルティアの指南は終了。」
「一撃、当てる…だけか?」
狼とは違う騎士のような姿になってまだ間もないというのに自らに一撃当てるだけで終了と言われ、
ウルティア自身を軽く見られているのかと首を傾げる。
「ああ。別にウルティアを軽く見ているわけでもないし、下にも見ていないよ。でもこれが一番だと思うから。」
そんな気持ちを読んでいたのか否か、アルフからそう言葉を掛けられた。
「それに剣を打ちなっている中で無駄な部分とか伸ばした方がいい所とか俺なりに指南するつもりだから。」
「…うむ、わかった。では若殿、頼む。」
そう返事を返し、アルフによるウルティアへの剣術指南が始まった。
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≪白き闇との同化≫
熟練度レベル:MAX
白き闇と同化し、"仮初の真なる姿"へと変わる。
"仮初の真なる姿"になっている間、一定以上のダメージを受けると元に戻る。
またこの姿になっている間は、繝ヲ繧ー繝峨Λ繧ー繝翫Ο繧ッで得たアイテムの管理を行うことができる。
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