集会
時刻 "21:00"
まだまともに歩ける状態ではなかったため、ラーヴァリアに背負われる…基御姫様抱っこという男にとってはなんとも情けない形となって目的地である俺たちの住処へと向けて飛んでいた。
左半身に触れるフサフサした翼と2つの柔らかな膨らみにアルフは若干顔を赤らめていた。
「どうかなされましたか?」
『気にするな。』
などの短い会話を何度か繰り返し、気が付けばちょっと先に目的地が見え始めた。
それに合わせてラーヴァリアも段々と下へ高度を下げていく。
住処の入口付近ではアダントやエフィを始め、侵蝕汚染区域で見た上位者の1人、アドゥレラとその側近らしき猛々しい存在感を放つ、まさに武を体現した黒いサソリと蜂を合わせたような人型をした蟲。
そして上半身が少女、下半身が鳥、西洋に出てくるハーピーとそっくりな子たちが2匹、そして何やら豪華そうな衣服と鎧を身に付けた男性とその護衛と思わしき女性の騎士等が円を描くようにそれぞれ座っていた。
ゆっくりと降下してきたラーヴァリアとアルフの存在に気付いたアダントが申し訳なさそうな表情を浮かべた。
アルフはゆっくりと首を横に振り、そのままラーヴァリアの傍に座る形となった。
見る者全てが新しい人物たちのため、まずは情報収集のために各ポップアップを表示させることにした。
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ヴェルゼ・ルルイ Lv86
名前:アドゥレラ
種族:甲蟲種・魔蠅族
ランク:A
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まずは上位者の1人、アドゥレラについての簡易的な情報。ラーヴァリアと同じAランクか。
んでその側近さんはっと…
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スコールド・ビー Lv78
名前:ゴドゥラ
種族:甲蟲種・蠍蜂族
ランク:B
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ふむ、ランクはBでレベルは78と。
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ハルピネス Lv43
名前:アーキ
種族:鳥獣種・春鳥族
ランク:B
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ハルピネス Lv44
名前:ウーキ
種族:鳥獣種・春鳥族
ランク:B
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他に比べてこの子らがやけに弱いな。
多分上位者たち全員が呼ばれているはずだと思っていたが、違ったかな?
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名前:オードン・アレイクサン
年齢:46歳
種族:人間種 成体(男)
Lv:55
冒険者ランク:A
職業:領主
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おぉう、領主だった。
え、この会議に領主が参加してるってことは結構重要そうだな…。
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名前:ジュレアナ・ヘンドリア
年齢:26歳
種族:人間種 成体(女)
Lv:52
冒険者ランク:B
職業:聖騎士
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うん、この人も強いんだろうなと思ってたけど、結構な高ステータスのようでいらっしゃる。
全身鎧で身を包んでいるけど、結構良い体付きしてると思う。
あの髭面な領主は腰に長剣を携え、その傍にいる聖騎士様はレイピアを構えてる。
一応全員の情報はわかった。
まあここに呼ばれた理由も大体察しはついてるがな。
などと内心で頷いているアルフを余所に、彼らもまたアルフに注目していた。
静寂が支配する中、一番最初に口を開いたのが領主のオードンだった。
「アダント殿、この子狼がご子息か?」
『ああ、そうだ。どうだ、我が息子は。可愛いだろう?勇猛だろう?くくく。』
『さらに自分以外を思いやる優しき心を持つ銀狼なのよ、うふふ。』
「ああ、そうだな。で、この時間に我らを呼び集め、更にはその自慢の息子をこの重要な会議にご子息を参加させる意味はなんだ?それに上位者のシェラディ殿は参加しておらぬようだが。」
「シェラディ様は今、大事な時期なの!そうなの!」
「シェラディ様は今、大変な状態なの!そうなの!」
"シェラディ"と呼ぶここにはいない上位者の最後の1人。
どうやらアーキとウーキがシェラディの代わりとしてここに参加しているようだ。
それにしても上位者本人が来れないほどの状態とは…などと疑問に思っていたところ、アダントの一言によって解消した。
『そういえば今のこの時期は産卵期か。彼女の卵たちの経過は順調か?』
「はいなの!そうなの!」
「順調なの!そうなの!」
『そうか…、それはよかった。』
"なるほど。産卵時期で卵を産み、その卵を守るためにその場から離れられないってことか。"
「それは大変だな。ここに来られない理由も納得した。すまぬな、ハルピネスの子らよ。」
「大丈夫なの!そうなの!」
「問題ないの!そうなの!」
「改めて、今ここに全員集まったな。では早速問題に入ろう。」
ここでアルフの予想が的中した。
まず、オゥクロプスたちの侵攻による各土地、エリアの被害状況の報告。
やはりここ以外にもかなりの被害が出たようで、特にオードンの治める領地での被害が大きかったようだ。
領地から少し離れている各村、その中に構えている冒険者ギルドは4割程の被害を受けた。
一部の村は壊滅したところもあるという。
急遽、ジュレアナ率いる騎士団とアドゥレラ率いる甲蟲種たちが協力し合い、オゥクロプスたちの殲滅に打って出たことにより、被害拡大は何とか抑えることができた。
その後、迅速に被害にあった村へ食糧の支援、また医療設備を配置した。
またこちら側はアドゥレラたちが周辺の村に留まって周囲を警戒し、別の襲撃に備えた。
"ほんと、ここでは魔族たちと人間たちの共存関係が叶っているんだな…。"
魔物=敵 という認識が地球では常識だった。
そんな中、いきなり転生先で魔族たちと共存し合っている風景を見せられれば誰だって驚くだろう。
ちなみにミノタナトスに関してはアルフたちの所だけに出現していたようだった。
他の場所では存在すら疎か、オゥクロプス以外の生物の気配すら感じなかったという。
状況報告も問題なく順調に進んでいき、そして本題と思わしき部分に差し掛かる。
『では最後の問題だ。本日、侵蝕汚染により侵蝕汚染体の上を行く存在が出現した。我が奴と相まみえたのはほんの一瞬であったため、詳しい内容は話せぬ。ラーヴァリアも同様だ。そのため、奴とまともに戦闘を交えた我が息子に来てもらったのだ。』
「なるほどな。だが、侵蝕汚染体の上を行くヤツだと。ただでさえ侵蝕汚染の明確な対処法がない今の現状、侵蝕汚染体にも手こずっているというのに…!」
『ではアルフ、説明をしてくれるか?』
"だろうと思った。"
ということで、アルフは奴の見た目と名前、そして奴が現れた経由について事細かく話していく。
最後まで話し終えたと事で、全員の表情に曇りがかっているのに気が付いた。
「奴に見られるのも見るのもダメ、更に自由自在に奴が触れた所から小規模の侵蝕汚染が生まれると。はは…、話を聞く限りでは怪物以上だよ…。」
『我も不意を突く形で倒したからな。奴とまともにやり合うリスクが大きすぎるか。』
「こわいのー…そうなのー…」
「やばいのー…そうなのー…」
各々思うことを呟いているようだ。
アーキとウーキは互いが抱き合いながら呪淵体・獣に怯えていた。
"実際、あれだけってわけじゃなさそうだしなぁ…。またあいつが来た時のために対策しとかなきゃ…"
ジュレアナが斧槍を持ってましたが、その後の話からレイピアを持っていたらしいので訂正します。
それに合わせてオードンの武器も買えます。(2021/08/23 修正)
オードン:レイピア→長剣
ジュレアナの武器:斧槍→レイピア




