更なる殲滅
時刻 "1:00"
ディアブロアがアルフの遠吠えに合わせて雄たけびを上げる。
自らの体の内から溢れ出す強い闘志、体の動きにキレが増し、体が軽く感じる。
逆にオゥクロプスたちは狼狽え、動きが大きく鈍っている。
そのため、ディアブロアの突進を避けようとするも1匹が逃げ遅れ、そのまま弾き飛ばされる。
樹木と岩に叩き付けられ、低いうめき声を上げながら崩れ落ちた。
アルフはただの遠吠えを上げたわけではなかった。
今あげた遠吠えは、≪闘志を震わす遠吠え≫と呼ばれるスキル。
これは≪遠吠え≫のスキルツリーから派生するスキルの一つで、遠吠えを聞いた者の能力値を変動させる。敵であるなら能力値の弱体化、自分と味方であれば能力値の上昇という効果を持つ。
ただ一つクセのあるスキルで、自分と味方の能力を上昇させる効果は敵の数によって変動する。
今現在、アルフの熟練度レベルにおいて、敵の数5体までが上限となり、1体につき自らの能力値は5%上昇し、味方の能力値は3%上昇する。
つまりは自らの能力値は最大25%、味方の能力値は最大15%上昇する。
敵の能力値の弱体化は10%と数は関係ない。
そして今回はオゥクロプスの数は4体。
元は5体だったが、少女救出の際に"致命の一撃"により1体を殺している。
つまりは≪闘志を震わす遠吠え≫によってアルフは25%、ディアブロアは15%と最大値上昇となっている。
アルフが少女の救出に手間取っていたのはこのスキルを取るか否か迷っていたためであった。
「グォォオオオオオォォォオオオオ!!!」
アルフの≪闘志を震わす遠吠え≫により能力値が上がったディアブロアは1体のオゥクロプスを弾き飛ばした後、その場で力強く飛び、落下の勢いを付けて地面へ着地する。
大地が大きく揺れ、オゥクロプスたちは立つことさえままならずそのまま地面へ次々と転んでいく。
アルフは空中へ飛んでいたためその影響を受けることなく、そのまま地面へ転んだオゥクロプスへと飛び移る。
そのまま前爪で唯一の目を抉る様に切り裂いた。
「フゴフゥアアアアアアッ!」
目を潰され、アルフの姿を、気配を見失い、痛みにもがくようにジタバタと暴れ始める。
だがその瞬間、オゥクロプスの意識が消える。
アルフは目を潰したと同時に隠密を発動させ、自らの気配と姿を見失わさせ、強制的に"致命の一撃"を喉に叩き込む。
だが、喉元を噛み千切ろうとしたがそのまま切断され、生首となったオゥクロプスの頭は宙を舞うように飛ぶと地面へゴトリと堕ちた。
"俊敏にステを思いっきり振った結果がコレだよ!"
そう、レベル2になり、ステータスの値も大きく変わった。
そのため、強烈な一撃を与えるどころか、ダメージオーバーとなり、喉元を噛み千切る程度で済まなくなり、そ噛み千切った衝撃で首を切断するというとんでもない業になった。
気が付くと地ならしが止み、オゥクロプスたちが起き上がっていた。
だがそれを見計らってディアブロアが背後から1体のオゥクロプスを角で貫く。
オゥクロプスの胸から3本の角が貫かれ、そのままオゥクロプスを持ち上げると首を左へ振って突き刺したオゥクロプスを飛ばした。
力無くオゥクロプスが転がりながら樹木へと叩き付けられ、そのまま絶命する。
3分も経たずに2体のオゥクロプスがやられ、生き残った1体のオゥクロプスたちが力任せに棍棒をディアブロアへと振り下ろした。
ディアブロアは避ける動作もせず、その一撃を受け止める。
オゥクロプスは一撃を与え、にやりと口元が歪む。
だがそれはすぐに絶望へと変わった。
直撃した場所は左肩から突出した骨の鎧で、渾身の一撃だったのにも関わらず無傷だった。
「グオォォオオォォォオオ…!!!」
そのまま左肩でオゥクロプスにタックルをかまし、避けれずに直撃し大きく吹き飛ばされた。
岩に背中から叩き付けられ、その衝撃を受けきれずに岩が砕ける。
雄叫びを上げ、吹き飛ばしたオゥクロプスに3本の角を突き出したまま突進していく。
何とか起き上がったオゥクロプスだったがもはや立ち上がるだけで精いっぱいのようで、避けきれずに突進してきたディアブロアの3本角に胸を貫かれる。
「フゴォォァァァア…ッ!!」
口から吐血し、そのまま力無くディアブロアへと寄りかかる様に崩れ落ちた。
貫いたオゥクロプスをそのまま持ち上げ、左の方へ頭を振りかぶり、オゥクロプスの躯を飛ばした。
「フ、フフ、フゴフアァァァアアアアアア!!!!」
とうとう1体だけとなったオゥクロプスは怯えるように背を向けてその場から逃げようとした。
だがその瞬間にはアルフの"致命の一撃"が入り、首が飛んだ。
首を失った体はそのまま走り続けたがその数秒後には次の一歩を踏み出す力もなくなり、そのまま前のめりに倒れ転がっていく。
―ポンッ
<Lv13のオゥクロプスを倒したことにより、経験値:180を取得しました。>
<Lv14のオゥクロプスを倒したことにより、経験値:90を取得しました。>
<Lv13のオゥクロプスを倒したことにより、経験値:80を取得しました。>
<Lv12のオゥクロプスを倒したことにより、経験値:160を取得しました。>
<Lv11のオゥクロプスを倒したことにより、経験値:140を取得しました。>
<レベル2で取得できる経験値の上限に達したため、レベル3へと昇格が可能になりました。>
全ての戦闘が
今回は"魂を喰らう者"をオンにしていないため、全てが経験値に振られ、また自分よりも高レベルな敵を倒したため、あっという間にレベル3への昇格が可能になった。
一部レベルに比例して経験値が低く取得したのは、ディアブロアが倒した際に入ったPT分割経験値ボーナスのためだろう。
角に付いたオゥクロプスの血液を振り払うように頭を強く振りかぶる。
ある程度の血液が3本角から飛ばされ、周囲に飛び散った。
『…これで全部か。』
念のため、周囲に"気配察知"で探るがここにいる者たち以外の気配は感じない。
ディアブロアはゆっくりとアルフの所まで歩み寄り、静かにアルフを見下ろす。
「グゥゥ…。」
片目だけが開かれ、その瞳から感じられる気持ちは一つだけだった。
『…それは俺じゃない。礼を言うなら、あの子に言ってくれ。』
ディアブロアは静かに頷き、黒い蜘蛛たちから治療を受けている少女の元へと向かっていった。
アルフは骸となったオゥクロプスを1か所に集める。
だが…
『…あれ、1体足りない?』
あの時は6体の姿を確認した。
だがここに集めた死骸は5体のみ…。
いや、それに経験値も5体分しか入手していない…。
"…まさかっ!"
その時、
「フゴォォオアアアアアアア!!!」
『なっ!?』
「えっ?」
茂みから突然飛び出してきたオゥクロプス。
一番最初に突進によって吹き飛ばされたオゥクロプスだった。
死んではおらず、反撃できる機会をずっと窺っていた。
そして全てを片付け終え、安堵していたこの瞬間を狙って、少女たちへと襲い掛かった。
突然のことにディアブロアも対処に遅れ、走り出した時にはもう棍棒は少女のすぐ前にまで迫っていた。
もう誰もが最悪の光景が脳裏に過る中、その光景の通りになることはなかった。
突如、小さな黒い何かが飛び出し、オゥクロプスへとその小さな足で蹴りを繰り出した。
オゥクロプスの頭がミンチのように吹き飛び、蹴りを繰り出した勢いを乗せて体を回転させ、もう片方の足で頭を失った体へと蹴りを繰り出した。
今度は上半身が肉塊となってはじけ飛び、残された下半身は蹴られた衝撃で吹き飛ばされる。
―ポンッ
<Lv12のオゥクロプスを倒したことにより、経験値:70を取得しました。>
<すでに経験値は上限まで達しているため、取得できませんでした。>
2度蹴りをかまし、地面へ着地した黒い獣はゆっくりとアルフの方へと向き直る。
その姿を確認してアルフは安堵した。
『若、油断しちゃだめだぜ?』
『…すまない、オルダスさん。助かった。』
今回紹介するスキル
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≪闘志を震わす遠吠え≫
熟練度レベル:1
この遠吠えを聞いた敵は能力値を弱体化させる。
敵の能力値:―10%
敵の数1体に付き、自分、または味方の能力値を上昇させる。
敵の数上限:最大5体まで
自分 :+5%(最大値:25%)
味方 :+3%(最大値:15%)
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