終わりからの始まり
?????
"…なんだこれ?"
気が付くとそこは真っ黒な空間に居た。
足に地面は付いていない。どうやら浮いているらしい。
移動は…できないと。
身体、手足を動かすことは出来るらしい。
ただ歩くような動作をとっても前に進んでいる感じはしなかった。
"うーん…、これは夢か?"
ただ夢にしては意識もはっきりしすぎている。
動くことは出来ないし、かといって何も起きない今の現状にどうするべきか悩んでいると…
―ポンッ
>貴方は大好きなウサギのぬいぐるみと共に寝ています。<
>寝る際に、ウサギのぬいぐるみはどこに置いていますか?<
①自分のすぐ横
②近くに置いてある机の上
③抱きしめるように一緒に寝ている
④大事な戸棚の上に
"…これは見る感じ、心理テストか何かだろうか?"
変なサウンドと共に突如、目の前の空間に浮かび上がる文字列。
文字がそれぞれ大小バラバラ、更にふわふわと浮いているのか、固定されておらず、若干ゆらゆら動いている。
おかげで読みにくいったらありゃしない。
ただ目の前に出た変化を無視するわけにもいかないため、ため息を付きながら少し考え、④を選択。
すると、文字列は消え、数秒後にまた
―ポンッ
という音と共に今度は違う質問が出てきた。
"すぐに答えが出るタイプではない…ということか。"
これによって自分は一体何が判明するのかわからない。
何もかもが未知であるし、今起こったこの不可解な現象の理解もままならないままだ。
だからこそこの質問は自分に素直になり、尚且つ慎重に選んでいく。
―ポンッ
"…なげぇ。"
あれからどれぐらい質問に答えていたのか。
大体これで50問目だっけか。
とりあえず質問内容を読み、選択肢を見て自分に似合う番号に触れる。
文字列が消え…何も起こらない。
"…ん? 終わったのか?"
と思っていると、
―ポンッ
>集計結果をまとめています。少々お待ちください。<
という文字列が浮かび上がる。
どうやらあの質問で最期だったようだ。
一つ一つを慎重に考え、答えていたためか、意外と時間がかかったようだ。
宙に浮かんだ状態で両手を上に大きく伸ばし、力を入れる。
"んー…! 長かった! さて、これで次は何が起き"
―ポンッ
>集計結果が出ました。お疲れ様でした。<
>では異世界へ転移します。<
"おう、お疲れ…はっ?"
自分の目を疑った。次に現れた文字列。
その最後の文章から目が離せない。
"異世界に…転移?どゆことだ?え、一体"
と最後まで考えるよりも先に、今までいた空間が真っ白な光に包まれる方が先だった。
―ポンッ
>それでは良き、異世界ライフを。<
消えゆく視界の片隅で、そんな文字列が見えたような気がした…。
次からは異世界人外主人公の物語です。