レベルの概念
時刻 "10:00"
この"骨折"とうデバフはそう簡単には治らないらしい。
治らないらしい、というのは毒だったら"アンチデフ"というスキルで瞬時に解毒できるがこういったものは瞬時にとはいかないらしい。
またこれはそういった魔法系のスキルで治すことはできない。
"魔法スキル"とは違う"医療スキル"が存在しており、骨折のデバフはその医療スキルでしか治せないとのことだった。
幸いなことにエネラは医療スキルの心得を持っていたため、こうしてアルフの骨折した左後ろ脚の治療が行える。
ただ治療を行っている間も骨折のスリップダメージが続くため、それをデモンベアがヒールを掛け続けることにより相殺させていた。
人差し指の爪で怪我部分の足を一旦切開し、この森に生えている薬草と青い木の実を練り合わせ、それを折れた骨を繋ぐようにして様に塗り込んでいく。
その後はまた細長い特殊な糸を口から吐き出し、糸の先を固めて尖らせ、それを針代わりにして切開した足を再び縫っていく。
その間麻酔とかそういったもんは一切なし。
ただ、痛みを感じるたびにデモンベアがヒールを掛けてくれるためそこまで感じることはなかった。
縫い終え、針状になった糸を再び糸に解して戻し、縫った傷口に当てる様に包帯の様にして撒いていく。
"ほんと、何でもありだなその蜘蛛の糸ってのは…"
後はこのまま1日安静にしていれば治るそうだ。
"それはそれでまたすげぇな…"
「はい、若様。終わりましたよ。」
『ありがとう、エネラ先生。』
「あら、先生だなんて。ふふふ。デモンベアさんもありがとうございます。」
『あ、あたしはただヒールしか掛けてないからお礼なんて…』
「いえいえ、治療している間、ヒールを掛け続けないと体が持たないんです。ですから、デモンベアさんのヒールはとても重要だったんですよ? わたくしがヒールを掛け続けながら治療を行うこともできましたが、その分治療時間は伸びてしまいます。だからデモンベアさんのヒールはわたくしにとっても、そして若様にとっても重要な働きだったんです。」
一つ一つ、デモンベアが掛け続けてくれたヒールの重要性を解きながら感謝の礼を述べる。
デモンベアは恥ずかしさと嬉しさのあまりか、顔を俯かせてしまった。
「それに、若様をお救いしていただきありがとうございます。デモンベアさんが居なければ若様はここにはいられなかったでしょう。」
『…え、そう、なの…!?』
『ああ…。戦ってる最中、ずっとヒール掛け続けてくれただろ? それが俺の命を食い繫いでくれたんだくれたんだ。あれがなきゃディアブロアのあの一撃を受けても動けなかったしな。』
「え、若様、ディアブロアと戦ったのですか!? その強さで!?」
やっとここでこの状態に至った経由の一角に触れたエネラ。
その一角に触れただけでもまたもや素っ頓狂な声が上がる。
『おう、何とか勝った、ぞ…?』
と返事を返している途中、エネラの表情が徐々に怒りへと変わっていくのが見えた。
「若様! いくらその身に自信があったとはいえ、未だ能力水準"レベル"1でディアブロアに挑むなんて無茶が過ぎます! 今回はデモンベアさんが居たとしても、勝てる割合ははっきりいって3割にも満ちませんよ!」
『え、うそ!? アルフくんはまだ能力水準1なの!?』
『え、エネラ先生たちはレベルという概念を知ってるのか!?』
「え?」
『え?』
『え?』
変な間が流れた後、はぁ…と深いため息を付きながらも若干涙目になってるエネラがそっとアルフとデモンベアの頭を撫でる。
「もう…あまり心配を掛けないでください…。アダント様たちも表面上は平常を装ってますけど、内心は穏やかではなかったと思いますよ。」
『…ごめん。次からは気を付ける。』
「約束ですからね…?」
『それにしても、アルフくん。まだ能力水準1だったんだ…。』
『ああ。というよりもエネラ先生たちはレベルなんて概念を知っているのか?』
―レベル
ゲームの世界で各キャラクターやエネミー、NPCなどの強さを示した水準。
これは本来、アルフたちの元居た世界の概念であり実生活の中ではそんな概念などない。
あるとしても年齢ぐらいではっきりとしたものではない。
これほどレベルという存在がはっきりとした世界は俺はネトゲ以外知らない。
だからこそ興味、不思議が沸いて仕方がなかった。
「レベル…、能力水準ですね。ええ、わたくしたちの強さ、能力の水準として表記された名目ですね。
一部のスキルで相手の情報を見た際に、自分にわかりやすいように勝手に翻訳されるんです。」
"なるほど。そういうことか。"
『なるほどな…。俺にとってはそれが"レベル"という風に翻訳されたわけか。』
「若様の、そのレベルというものはまだ1のはずですよね。」
『ああ。まだ俺自身鍛えてるからな。ちなみに他人の能力の詳細って見れたりするのかな?』
「ええ、魔水晶を使えばそ鮮明な詳細が浮き出てきますので見れますよ。ちょっと待っててくださいね…」
そういってエネラは家の奥の方へと行ってしまった。
何やらガサゴソといった音が聞こえ、青い透き通った丸い玉を持って戻ってくる。
「これが魔水晶です。これに見たい方の身体のどこでもいいですから触れさせて魔水晶に魔力を込めれば、その情報が浮き出る様に表れてみれるんですよ。」
『そんな便利なものがあるんだ…。』
"それを持ってるエネラ先生はほんと何者だよ…"
なんて突っ込みを抑えつつ、エネラが実演でそのステータスを見せてくれた。
「わたくしの諸事情で一部は隠してありますが、こんな感じに映してくれるんです。」
====================
エンシェントアラクネア Lv100 (限界突破:+Lv20MAX)
名前:エネラ・アクネラ
種族:魔族 成体
====================
"…色々とぶっ飛んでんな。というかエネラさん、魔族だったのか。"
意外な事実にびっくりするも、レベル部分に興味が浮かぶ。
が、これでも一部が隠れているわけだから全部が分かったときの衝撃は計り知れない。
"レベルは100が上限。んで、限界突破とかいう奴で+Lv20分されて系Lv120ってことか。
そこでMAXってことだから、この世界でのレベルキャップは120が最高ってことなんだな。"
アルフはこの世界の限界の一部をひょんなとこから知ってしまった。
数値とかはそこまで深くは考えてないですが、ちょっと病んでたりも…。




