悪夢、そして悪夢
時刻 "7:05"
"…あれ、ここはどこだ?"
周囲は真っ暗な空間が広がっている。
そして自分の姿は前世のころの人間の姿に戻っていることに気付いた。
確かアダントとエフィからの説明を受けて、晩御飯を食べた後…。
その先を思い出そうとしたとき、ふと前方に誰かが立っていることに気付いた。
その少女は白いワンピースを着ており、身長は130cmと小柄だ。
ただ少女の顔は俯いているようで表情はよく見えない。
そしてその少女から何かの音が聞こえる。
音、というよりも何かをブツブツと呟いているように聞こえる。
少女にゆっくり近づいていくも、そのブツブツと呟く言葉は何も聞こえない。
さらに少女に近づこうとした時、突然少女が顔を上げる。
その表情は真っ黒に塗りつぶされており、口元だけが大きく赤い三日月のような形をして笑っている。
どこか不安に駆られ、たじろいでしまう。
次の瞬間、少女は姿を消し、次にその姿が見えたときは顔合わせという状態になった。
視界いっぱいに広がる少女の顔。その顔を塗りつぶしている黒い何かに引き込まれそうになる。
そして、少女は一言こう言い放った。
" や く び ょ う が み "
その言葉に眠っていたアルフの意識が一瞬にして覚醒し、飛び起きるように体を起こした。
先ほどの夢に出てきた少女が告げた言葉にひどく動揺し、呼吸もままならない。
動悸が激しくなり、目眩がし始める。
焦点も定まらなくなり、立つことさえ辛くなってきたため、体をゆっくりと下ろす。
そのアルフの異常な状態に気づいたのか、エフィが起きてアルフの方を向く。
『…アルフ、どうしたの? 怖い夢でも見たの?』
『…。』
うまく言葉に出来ない。
出来ないどころか、不安と恐怖につぶれそうな自らの心を何とか保つだけで精いっぱいだった。
エフィはそんなアルフを見て、自らの体をアルフにくっ付ける。
首を下げ、アルフの体に自らの頬を優しく撫でる。
まるでアルフを宥めるように何度も、何度もその頬でアルフの体を撫でる。
『大丈夫よ、アルフ。大丈夫、ママが傍にいますよ。大丈夫、大丈夫…。』
『…。』
優しく宥めるもアルフの体は震えたまま、状態も変化がなかった。
それでもエフィは何度もアルフの体を撫で、言葉で宥め続けた。
気が付くと朝になっていたのか、洞穴の中に光が差し込んでいた。
横を見るとエフィは心配そうにこちらを見つめている。
『アルフ、もう大丈夫かしら?』
『…う、ん。ごめんな、さい。』
『うふふ、そういう時はありがとうでいいのよ。』
どうやら俺は怖い夢を見て飛び起き、必死にエフィに宥められていたようだ。
いい歳した大人が今更怖い夢如きでこんなにビビるとは思わなかったよ…。
まだここに転生して日は浅い。
急激な環境の変化に、俺の精神は疲れていたのかもしれないな…。
『…ありがと、う、おかあさま。』
『うふふ、どう致しまして。』
『…ん? 2人とも、もう起きていたのか。』
気が付けばアダントも起きていたようだった。
その後、他愛もない談笑を挟み、アダントは朝食のために狩りに出かける。
エフィはそのまま再度2度寝に入り、俺は…。
「ムゥ~…。」
レベリングに来ていた。
相手は鳥獣種のディアプニル。同じく川の近くで水を飲みに来ていたのを見つけていた。
背後の草むらで隠密状態に入り、様子を窺っている。
静かに"魂を喰らう者"をオンにし、"鋭い眼差し"でディアプニルを見てみる。
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ディアプニル Lv4
名前:無し
種族:鳥獣種 成体(雌)
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前回とはレベルが1低いが、相手にとって不足なし。
そして今度はディアプニルの名前に触れてみる。
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ディアプニル 鳥獣種 危険度:☆☆☆☆☆★
6本足の獣。主に深い森の中に住んでおり、草や木の実をなどを好んで食べる。
基本的には大人しいが、相手の気配に気が付くとその6本足を使って高速でその場から逃げる。
一度見つかってしまうと1回の瞬きの間に消えてしまうため、追撃は厳しい。
基本的に4~6体の群れを成して行動しているが、よく1~2匹が群れから外れていることがある。
はぐれディアプニルで注意する点があり、それはただのはぐれなのか、それとも番いのはぐれなのかだ。
これを見分けるには身体のどこかにある赤い斑点があるかどうかを見ることである。
赤い斑点のあるはぐれディアプニルは番いとなっており、このはぐれディアプニルを殺してしまうと雄のディアブロアという個体を殺すまで必要に狙われるため注意である。
ユニークスキル
・逃げ足
走行速度が速くなり、また走行する際の体力の減りが半減する。
スキル補正
・スキル"疾風"の熟練度レベルの補正値上昇
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"なるほど…。赤い斑点のあるディアプニルは殺すなってことだな。アイツは…"
鋭い眼差しで見てみるが、どこにも赤い斑点は見当たらなかった。
ホッと安堵し、更にディアプニルへと"隠密"を使い、ゆっくりと近づいていく。
エフィの話を思い出し、今度はさらに近づいてみることにした。
5m…4m…3m…。
もうすでに草むらからは出ていた。
ディアプニルの視界、その死角からゆっくり、ゆっくりと近づいていくが気づく様子がない。
残り2mというところで、ディアプニルの耳が微かに動いた。
それを合図に一気に地面を蹴ると同時に"致命の一撃"を喉元に喰らわせる。
喉元に噛み付き、顎に力をさらに加え、飛び出した勢いと反動を乗せてそのまま喉元を噛み千切る。
ディアプニルの体を蹴って身体を倒して距離を取り、様子を見る。
前回と同じように少し暴れた後、静かになった。
<Lv4のディアプニルを倒したことにより、経験値を取得しました。>
<"魂を喰らう者"により、取得された経験値をボーナスポイントに変換します。>
<アルフは ボーナスポイント:2p を手に入れました。>
<スキル"致命の一撃"の熟練度レベルが"2"に上がりました。>
<スキル"噛み付き"の熟練度レベルが"2"に上がりました。>
<スキル"気配察知"の熟練度レベルが"4"に上がりました。>
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基礎ステータス 上昇率倍増ボーナス 2/5
生命: 5 ☆☆☆★★ 上昇率倍増ボーナス
筋力: 4 ☆☆★★★ 上昇率倍増ボーナス
魔力: 1
体力: 3 ☆☆☆☆★ 上昇率倍増ボーナス
信力: 1
俊敏: 5 ☆☆☆★★ 上昇率倍増ボーナス
ボーナスポイント:21
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"よっしよっし、良い感じだ。この調子で…ん?"
と気分上々になっていたとき、背後から強烈な気配に気が付く。
戦闘中に気配察知を切っていたら気づくのに遅れてしまった。
咄嗟に距離を取って背後を見てみると、そこには巨大な4本角を持つディアプニルに近い凛々しい鹿が1本の角に以前に見た小さなデモンベアを引っ掛けた状態でそこに立っていた。
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基礎ステータス 上昇率倍増ボーナス 2/5
生命: 5 ☆☆☆★★ 上昇率倍増ボーナス
筋力: 4 ☆☆★★★ 上昇率倍増ボーナス
魔力: 1
体力: 3 ☆☆☆☆★ 上昇率倍増ボーナス
信力: 1
俊敏: 5 ☆☆☆★★ 上昇率倍増ボーナス
ボーナスポイント:21
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今回熟練度レベルが上昇したスキル
・気配察知 Lv3 → Lv4
・致命の一撃 Lv1 → Lv2
・噛み付き Lv1 → Lv2




