シルバーウルフ
時刻 "18:00"
『来たか、我が息子よ。』
『随分と遅かったじゃない。心配したのよ?』
とアルフが来たことに気づき、アダントとエフィはゆっくりと起き上がる。
2匹がこちらに来る前に、
『ごめんな、さい。』
と一言謝罪の言葉を述べる。
だが予想とは反して2匹は穏やかな表情でアルフを迎い入れた。
少しは学習したのか?
それとも習得すること自体すでにわかっていたから別にそこまで思う事じゃなかったとか?
とか思いつつ、近づいてくるアダントとエフィの表情が緩みまくっていることに気づいた。
"あ、これ必死に我慢してるやつだ。絶対に堪えてるやつだこれ"
『だから言っただろう? アルフの声はとても凛々しく雄らしさを兼ね備えた荒々しい声だと!』
『いいえ! とても麗しく、かつその中に丸みがある可愛らしい声なのよ!』
『…は、やく、はじめよ、うよ。』
堪えてるばかりか、今度はアルフの声がどんなものかの議論をし始めたアダントとエフィ。
完全に埒が明かないのでさっさと始めるよう催促を促してみる。
『ほら今の声、聴いただろう!? 立派な雄のような凛々しき声だ!』
『そんなことはないわ! ちゃんと聞いていなかったの? アルフの声は可愛らしい丸みを帯びた声よ!』
"ただ火の中に油を注いだだけじゃねぇかこれ…"
それから2匹の口論は1時間にも及び、その間各スキルの熟練度レベリングを行っていた。
『ではさっそくだが、狩りの練習に入る前に一つ覚えておくものがある。』
『だから今日の狩りはお勉強よ。とっても重要な事だからきちんと覚えてね。』
『わか、った。』
覚えておくもの。それはシルバーウルフについてのことだった。
確かに自分がなっている種族がなんなのかわかってないと色々と不便なこともある。
『我らシルバーウルフの特徴、それは何といってもこの白銀に輝く美しい毛だ。
ただ白銀の毛並みが美しいというだけではない。この白銀の毛は高い耐久性を持っている。
そのため、ある程度の攻撃などは弾いてくれる。さらに耐熱と耐寒の性能があるから、どんなに熱かろうが寒かろうがそれらを防いでくれる。
万能かといえばそうでもないのだ。
魔法に関してはめっぽう弱い。若干の知識、耐性はあるが正直に言うと無いに等しいものだな。
だからたとえ物理に高くとも、魔法の攻撃は避けるように。』
『またこの毛は防御力が高いだけじゃないの。
この毛一本一本には私たち自身の臭いをこの白銀の毛が抑えてくれるの。
だから相手に気付かれ難くなるのよ。意外と臭いって重要なんだから。』
『そしてもう一つ。これが我らシルバーウルフの最大の武器であり誇りでもある。
それが、我らの"声"だ。
我らの上げる遠吠えや咆哮には特殊な能力が付いている。
己の力を上げるモノ、敵の動きを封じるモノ、敵に状態異常を与えるモノ。
場合によっては敵の命を一瞬で奪うことさえできる。
今のお前にはまだ敵の動きを止める程度のものだが、これから徐々にその声の恩恵も強くなる。
いいか、我らの声こそが最大の武器であり、最大の攻撃、最大の防御でもある。
そして、最大の弱点でもあるのだ。』
『私たちの発する"声"。これをちゃんと扱えてないとそれを聞いた味方の子たちにまで範囲が及ぶの。
さっきも言ったでしょ? 一瞬で命を奪う声もある。つまり…』
そこから連想される最悪の事態。
敵味方皆殺しどころか、声を発した自分でさえもその効果が及んでしまう。
以前、自分のスキル欄を覗いた際に、遠吠えとそこからの咆哮。
その下に並ぶ様々なスキルを思い出して納得した。
あのバリエーションの多さも、シルバーウルフ最大の武器であることが頷ける。
また以前ディアプニルに近づいた際、5mという距離にまで近づいても気づかれなかったこと。
その理由も頷ける。臭いが抑えられていたこと、そして隠密スキル。
"…ん? 隠密スキルとこの毛って別々扱いなのか?"
少し疑問に思い、自分のステータス欄を開く。
そして自分の下にある、シルバーウルフの項目に触れてみた。
…少ししてから別のポップアップが表示される。
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シルバーウルフ 魔族種 危険度:★★★★★☆
その美しい白銀の毛並みは見るモノを魅了する。
またその白銀の毛は物理防御、耐熱、耐寒性能が高く、この毛で作られた装備はかなりの耐久性を誇る。
ただし、魔法防御、闇耐性が低いため、注意が必要である。
またこの毛には臭いを抑える効果、隠密スキルの補正を上げる効果がある。
そのため、後ろを振り返るとそこにシルバーウルフが居たなんて事例も少なくない。
そしてシルバーウルフの最大の攻撃はその発せられる声である。
その声を聞いたものは様々な状態異常を起こし、更には死に至ることもあるため細心の注意が必要である。
シルバーウルフと戦う際には、その声を抑える対策を持って挑むことが義務付けられている。
ユニークスキル
・臭い消し
使用者の臭いを消し、気配を薄める効果を持つ。
*スキル"隠密"とは別扱いである。
スキル補正
・スキル"隠密"の熟練度レベルの補正値上昇
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"ステルス系に特化してませんかこの種族は…。"
つまり、隠密スキルとは別にこのシルバーウルフはその毛自体にユニークスキルとして別枠の隠密スキルを宿しているという事になる。
"臭い消し"と"隠密"の2重で更なるステルスに特化しているということだ。
それにスキル"隠密"のレベリングに補正が掛かっているわけだからレベリングもしやすいと。
ステルスに特化させて、影からの致命の一撃、ということなんだよな?
『うむ。我らシルバーウルフはこれらの性能を利用して狩りを行うのだ。』
『明日からは教えていくから、ちゃんと覚えてね。』
"これはシルバーウルフだけじゃなく、他の種族に対しての情報も見ていった方がいいな…"
今回は説明回でした。
こういった各生物についての説明は書いてて楽しいですね…!
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Lv:1
名前:アルフ
種族:シルバーウルフ
今回熟練度レベルが上昇したスキル
・隠密 Lv3 → Lv4
・鋭い眼差し Lv3 → Lv4
・体当たり Lv1 → Lv2
・遠吠え Lv1 → Lv2




