まさかの強スキル
時刻 "11:00"
(待ち合わせの予定時刻は10:00だったので1時間ほどの遅刻ですね。)
―ポンッ
弔いの遠吠えを終えたころ、聞きなれた音と共にポップアップが表れた。
予想とは反して表示された文字によって意外な事実が判明した。
<Lv3のデビラードを倒したことにより、経験値を取得しました。>
<"魂を喰らう者"により、取得された経験値をボーナスポイントに変換します。>
<アルフは ボーナスポイント:1p を手に入れました。>
"経験値をボーナスポイントに変換、だと…? それも1p…?え、まさか魂を喰らう者の効果ってこれなのか?"
かなりやばいスキルだということがわかった。色んな意味で。
まずメリットは基礎ステータスの上昇だ。
現在ボーナスポイントは15pあるため、各ステータスに15まで振ることができる。
逆に考えれば、ひたすら魔物たちを倒し、ボーナスポイントへ変換しまくり、基礎ステータスの底上げができるというわけだ。
そしてデメリットはレベルを上げることができないということ。
どんなにステータスを上昇させてもLv1ではやはり限界がある。
スキルも初期スキルしか手に入らない。
それはかなりの致命的なデメリットと言える。
"もっとも今こうして考え出された答えがそれであって、実際は違うかもしれないが…"
それにしてもとんでもないスキルを取っちまったなこりゃ…。
首を傾げ、眉を寄せる。
だが更なる"魂を喰らう者"の効果が判明した。
自分のステータスを開き、ボーナスポイントの数を見ようとしたとき、ステータスの横に何か見慣れぬアイコンが表示されていることに気づいた。
"ん、なんだこりゃ…"
そのアイコンが表示されていたのは、筋力と体力の二つだけだった。
アイコンの正体を調べるべく、その前足で触れると別のポップアップが表示された。
―――"魂を喰らう者"によるレベルアップ時の上昇率倍増ボーナス:☆☆☆☆★
"…はっ? え、なにこれ?"
レベルアップ時の上昇率倍増ボーナス?
これがあるということは少なくとも何かしらの手段でボーナスポイントに変換する効果をなくすことができるということだ。
ということは魂を喰らう者って倒した奴に応じてレベルアップ時のステータスアップに補正を掛けてくれるってことか?
え、めっちゃ強くね? 強スキルじゃね?
え、めっさやばくね? 激ヤバスキルじゃね?
こんなスキルがあれば誰だって取るよなこれ…。
というよりこんな状況になってるのは多分俺だけだよな…。
"…エネラ先生。ごめん、もう少しばかり遅れます。"
アルフは再度、取得したスキル欄を念じて開き、その下に表示されている魂を喰らう者のスキルに触れる。
もう少しこのスキルに関して知っておく必要があると判断したからだ。
―ポンッ
触れた前足から、ポップアップが目の前に表示される。
今度はどこも文字化けしていない。ぶれてさえいない。
それに前に見たときよりも文章が増えてる。
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スキル名:魂を喰らう者
効果内容:敵を倒した際、取得した経験値をボーナスポイントに変換する。
この効果はレベル毎によって決められた上限値までボーナスポイントを取ると次のレベルに上がるまで自動的に効果はなくなる。
また倒した種族毎に次にレベルアップする時、各ステータスの上昇率倍増ボーナスを得る。
同じ種族を倒すとその倍増ボーナスが最大5段階まで上昇する。
ただし、その効果が発揮されるのは5体分まで。6体目以降からは効果は発揮されない。
このスキルに長く触れているとその効果を切ることができる。またもう一度長く押すと効果が発動される。
また進化時に今まで倒した敵の種族傾向により、その進化先の種類を増やす。
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"………。"
表示された文章を頭の中に刻み込むまで何度も何度も読み返す。
ポップアップを閉じ、静かに深呼吸を行う。
チートまでとはいかないが、かなりの強スキルであることは確実だった。
自らの基礎ステータスの底上げを成長過程で行えるのはかなりの強みになる。
ただ種族毎にってことだから、それぞれ倒した際にボーナスが付くステータスは違うってわけか。
これはこのスキルをオンにした状態で倒す敵を選んでいかなきゃ、変な上がり方してしまうわけだ。
とりあえずスキルをいくつか使ったためか、ちょっとばかりの小腹が空いたようだった。
腹部から小さな遠吠えが聞こえてくる。
そうなると目の前に横たわるデビラードの死骸、その大きさも小腹を満たす際には十分なわけだが…
"お前って確か巣食う病魔とかっていうスキル持ってたよな…"
これ、果たして食べたらやばいやつなんじゃないか…?
食べたら毒、その他のデバフもらったりしないかこれ…。
うーん…とどうしようか悩んでいたとき
「それはまだ食べてはなりませんよ、若様。」
とどこからか声が聞こえ、その声の方角に顔を向けるとエネラの姿が見える。
どうやらいつまでたっても来ないアルフを心配して迎えに来てくれていたようだった。
「来るのが遅いので心配して迎えに来ましたが、まさかデビラードを倒していたなんて…」
「わおぉん!」
「ふふ、さすが若様です。このデビラード、これでも結構強い方なのですよ?」
と言いつつ、デビラードを持ち上げて指先から白い光を放つ。
白い光に包まれたデビラードから毒々しい色をした液体のようなものが口から出てくると消えていく。
「デビラードの体内とその歯、牙に状態異常を起こす毒や疫病があるのです。なので倒したデビラードはこうして"アンチデフ"という光属性の状態異常を回復する魔法をかけて毒素を浄化することで食べられるようになります。」
"なるほどな…。"
自分が今やっていることを一つ一つ説明しながら、アルフに見せる。
完全に毒素を浄化したデビラードをアルフへと差し出す。
「ちなみに毒素が抜かれたデビラードのお肉はとっても甘くてクセになるほどおいしいんですよ?ささ、若様。初めての戦いで得た戦利品を存分にお楽しみください。わたくしは一足先に家に戻っていますので。ふふ、ごゆっくり。」
そう言いながらエネラは来た道を引き返していく。
蜘蛛の間まではそこまで離れていないようだった。
小腹を満たすため、改めて浄化されたデビラードの肉に食らいつく。
"…んめぇ…。これすっげぇうめぇ…!"
気が付けばガっつくようにデビラードの肉に食らいつき、モノの数分で全てを平らげてしまった。
味は鶏肉に近く、感触は鳥のもも肉そのままで、脂の甘味に若干の臭みが逆にマッチして味を際立たせていた。
以前エフィにもらった大猪のあの肉の味とまではいかないが、それでも十分なほど満足感があった。
道の端に前足で穴を掘り、その中にデビラードの骨を入れ、再度土をかぶせて埋める。
"うまかった、ごちそうさん!"
と念じながらエネラの待つ蜘蛛の間へと向かった。
現在の主人公のステータス
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Lv:1
名前:アルフ
種族:シルバーウルフ
HP:10/10
MP: 0/ 0
攻撃力: 10
防御力: 5
魔法力: 2
魔防力: 4
回避力: 8
隠密力: 7
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基礎ステータス
生命: 5
筋力: 4 ☆☆☆☆★ 上昇率倍増ボーナス
魔力: 1
体力: 3 ☆☆☆☆★ 上昇率倍増ボーナス
信力: 1
俊敏: 5
ボーナスポイント:16




