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異世界転生したら、まさかのオオカミだった!?  作者: 永遠眠
第1章 転生した先は…。
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1日の終わり

時刻 "20:55"


「では主様、わたくしから若様へのプレゼントはこれで以上になります。」

『うむ。もし何か悩みがあればいつでも相談するといい! それと賢者殿が良ければなのだが…、これからもアルフの世話をお願いしてもよいか?』

「ええ、わたくしは別に構いません。でもわたくしなんかでよろしいんですか?」

『もちろんだ。賢者殿の持つその膨大な知識をどうかアルフにも授けてほしいのだ。我らは誇り高きシルバーウルフ。その戦闘力こそ誇れるものではある。だが、それだけではきっとだめなのだろう。』


アダントはどこか遠いところを見るような目で空を見上げた。

その隣ではしょんぼりとしているエフィの姿に気づく。


きっと過去に起きた銀狼狩りに関して、何かあったのだろう。

どこか哀れみの目を浮かべ、瞼を閉じる。


そして再度、エネラの方を向き直る。

その眼を見たエネラは静かに頷くと、そっと頭を下げ、両腕を微かに広げる。

中世で見た、貴族の御嬢様がスカートのフリルをつかんで持ち上げ、腰を落として挨拶する。

あれに近いような敬礼にも似たものを感じた。


「わかりました。主様のお願い事ならばわたくしは拒む理由はございません。それに主様には返せないほどの大きな御恩もございます。わたくしも全力で若様を賢狼なるシルバーウルフになれるよう頑張ります。」

『ふふ、ありがとうエネラちゃん。それに御恩なんても気にしなくていいのよ? だって私たちは家族じゃない。』

「はい、ありがとうございます。では若様、これからもどうかよろしくお願いしますね?」


そう言いながら、アルフへと優しげな微笑みを向ける。

相も変わらず、その笑みにドキッと胸を高鳴らせてしまうのは仕方ないことだ!


"だがこれからエネラさんが俺の世話係か…。こんな美人さんなら大歓迎だ!"

「わぉんっ!」


と嬉しそうに鳴くアルフを見てまたエネラはクスッと笑う。

地面に優しく下ろされたアルフはフワフワしたような足取りでアダントたちの元へ向かう。


そのまま家族3匹でその場を後にした。

後ろを振り返ると、笑顔のまま手を振りながらアダントたちを見送るエネラの姿がそこにあった。


"きっと俺たちの姿が見えなくなるまでずっとそこにいるんだろうな…"


すっごい律儀な人なんだなぁ…と再度エネラに対しての株が更に上がった。

さて、お勉強の先生はエネラさんになるわけだが、肝心の戦闘面は…


『案ずるな、息子よ。狩りや戦い方は父である我が直接教えよう。』

『ママもいるわよ~。シルバーウルフは他の種族よりも高い戦闘力を持っているわ。でもそれは力任せに戦っているわけじゃないの。まあ貴方はどっちかっていうと力任せよね?』

『全ての敵意に力を持って粉砕するのが我の流儀である。』


"それを人は脳筋という。母さんが言うにはそれだけじゃないってことらしいが…。まあなんにせよ、とりあえずはこれでまずは基盤を固めるか。"


何事も序盤が大事であり、基礎が重要である。

どのゲームにも言えることである。


基盤が緩ければ、上に立つモノもあっけなく崩れ去ってしまう。

だからこそ基盤を固め、そこから己の限界を知り、できる範囲を見極め、その上で最大限の力を発揮する。


そこから徐々に範囲を広げ、限界を突破して更なる高みへと目指す。

いつも俺はそうしてきた。どこの世界にいこうがそれは変えることはない。


FPSでは聞こえてくる"音"を重視して相手の行動パターンなどを予測し、それに合わせての待ち伏せや奇襲などで叩く。


またアクションでは"基本動作"を重視させた。通常攻撃、強攻撃などの繋ぎや攻撃後の硬直、数フレームの隙などを計算し、ありとあらゆる隙をなくす。

そこからスキルや技を組み入れてコンボを繋げていき、動きの無駄をなくす。


そうすれば相手が取れる範囲は自然と絞られ、かつ相手への対処法も明確になり、勝ちにつながる。

そんな効率厨を彷彿とさせる彼はそんな信念を曲げるようなこと。そう…


"あのやばそうなスキル取っちまったしなぁ…。何かしら行動を起こす前にまずはあのスキルがなんなのかを調べないと。"


一番最初に起こす目標と行動を明確にしたところで自分の家と思わしき洞穴へと到着するが、その頃にはすでに辺りは若干暗くなっていた。


『ここが我らの家になる。近くに咲いているあの白い花の香りが目印だ。ここにしか咲いておらぬからな。』

『とてもいい香りでしょう?』


先ほどから鼻を擽るような甘い香り。

バラの香をもう少し甘くしたような、そんな香りだ。


どうやらエフィはこの花を気に入っているようで鼻先で何度かその花に触れている。


その家の前に、帰る途中にアダントが獲ってきた鹿のような死骸を置く。

そこで本日の晩御飯を3匹で済ませ、丁度良い感じに眠さが出てきたところで洞穴の中に入ることになった。


その洞穴は結構深くまで続いているようだが、壁や天井所々に埋まった光る鉱石のようなものが照明代わりになっているためか、そこまで暗くはない。


まるでもう一つの夜空のようにさえ感じる。

そんな洞穴の中を進んでいくアダント。その後に続くようにエフィ、そしてアルフが中へと入っていく。


奥をエフィ、真ん中にアルフを置き、それを守る様な入口方面の位置で寝るアダント。


『さあ、もう寝ましょう。アルフ、今日はお疲れ様。ゆっくり休んで楽しい夢を。』


そう告げながらエフィの頬とアルフ頬が触れ合う。

そんな2匹を温かな眼差しで見守るアダント。


"…やっぱ、家族っつぅのはいいもんだな。"


心の奥から湧いてくる嬉しさと安心。それに気分を良くしたのか、眠さもピークを迎えたようだった。

アルフはそのままエフィとアダントに見守られながら、静かに眠りに付いた。


『おやすみ、我が息子よ…。…良き夢を。』


前回から何も変わらず、と。

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