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異世界転生したら、まさかのオオカミだった!?  作者: 永遠眠
第1章 転生した先は…。
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自己紹介

時刻 "15:55"


それにしてもさっきから俺の事を"若様"と。あの親父に関しても"主様"って呼び方だし。

もしかして転生モノ特有の序盤から良い条件でスタートとかいうやつか?


エネラさんに関してもそうだ。

"主様より賢者の称号をいただいた"とか言ってたっけ?

ただの主従関係じゃなく、称号をいただいたって表現してるわけだし…


とか色々と小さな頭であれこれ考えているところ、ふと気が付けばエネラがアルフを抱き寄せて顔を覗き込んでいた。

急にあんな美貌が目の前にアップで来られたら、誰だってドキッとする。


「どうやら若様は困惑されているご様子ですね。」

『ん?我が息子はすでに何かの悩みを持っているのか?』

「無理はないでしょう。まだ自我を宿したばかり、色々と説明が必要な時期でもあります。」

『そういうものか。では何から説明すればいい?』


エネラは少し悩んだ後、父狼と母狼の方を向く。


「ではまず、身近な事から知っていきましょうか。主様、まずは御2人から」

『…ん、おおう。そうだったな! まずは我が息子に我ら家族の事を話さねばな!』


エネラはアルフを抱えたまま、両親の方へと向き直る。


『我が名はアダント。お前の父であり、シルバーウルフ族の数少ない生き残りでもある。ちなみに我はこの辺りを治めている者でもあるぞ!』


"この辺りって…どの辺りまでだ?"


アルフの疑問を見透かしたようにエネラはアダントの言葉に幾つか補足を加える。


「あそこに見えます、最古の知恵"エルダール" と呼ばれる大きな山から、今わたくしたちがいるここ、深縁なる樹林"アビスデント" と呼ばれる広大な森までですね。」


"つまるところ、見える範囲全部ってことじゃねぇか! さすがに広すぎねぇかこれ…"


「ただ、あまりにも治めるにしてもあまりに広いので効率的にうまく運用するため、各エリアに主様が選んだ3人の上位者に管理を任しているのです。」

『別にそんなことをせんでもよいのだがな。』


"ほー、つまりは道中に中ボスみたいなものがあって、最深部に大ボスであるアダントというわけか。"


本当にゲームみたいだなぁと納得し、今いるエリアを再度見渡す。

見渡す限りの蜘蛛の巣と巨大な樹木。

つまりここはエネラが治める管轄内ということなのだろうか。


「ただわたくしは訳あって主様よりエリアの一部を譲り受けてここに住まわせてもらっております。なのでわたくしはその3人のうちには入りません。」


"訳あって、か。こんなに真っ白で美人さんな蜘蛛さんだし、他の蜘蛛からの差別とか、その美貌に魅入られた男たちからの猛烈アプローチとか。それとも希少な素材があるため、乱獲されまくったりとか…。"


何はともあれ苦労はしているに違いないと、労いを込めた眼差しでエネラを見つめる。

その視線に気づいたのか、再度微笑みながらアルフの頬を優しく撫でる。


エネラに撫でられるのがなんとも心地よい。

撫でられる手にくぅ~んと反応しながら甘えるように目を瞑る。


「ふふ、心配をかけてしまったようですね。ありがとうございます。わたくしは主様、奥様の御2方のおかげでもう大丈夫です。若様はとてもお優しいのですね。」


"おうよ、俺はいつでも美人さんの味方だぞ!あ、いや、弱き者の味方だと思った方がいいか。"


「わぉん!」


キリッとした目でエネラをまっすぐ見つめながら気が付くと吠えていた。


「ほんと、若様は不思議なお方ですね…ふふ。では若様? これ以上わたくしに構ってくれていては未だ紹介がまだできていない奥様が拗ねてしまいますよ?」

『私はこのままでも構わないわよ? 見ていてとても微笑ましいし、何よりアルフが可愛くてかっこよくてそれだけでもう満足なんですもの…』


拗ねているどころか、もう完全に親バカ発動していた。

それに苦笑しながら今度は母狼の方へと向き直る。


『私はエフィ、貴方の母親よ。アダントと同じシルバーウルフ族の生き残りよ。アダントは私の旦那様ね。』


簡潔で、尚且つ分かりやすい自己紹介。

すんなりと頭に入り、名前も覚えやすい。ただ、両親の説明を受けてまた疑問が一つ。


"生き残りってことはもうシルバーウルフ族って種族はほとんどいないってことか?"


「銀狼はその美しい毛並みと高性能な素材のため、少し前まではかなりの数がいたのですが冒険者たちによって次々と乱獲されてしまい…」

『今では我らの同胞はもう風前の灯火。おそらくアルフ、お前の代で純血なるシルバーウルフは途絶えるであろうな。』


さらっと重いことを平気に言う辺り、もう覚悟はしているんだろうな。

確かにその毛並みは美しく、俺を抱いているエネラの表情から見るにとても触り心地はいいのだろう。


前世の時も、動物がそういった理由で乱獲され、絶滅に追い込まれたり、絶滅した動物も少なくはない。

ここでもそういったことはあるんだな…。


でも前世と今で圧倒的に違うのが、動物にはない強靭な巨体とその鋭い爪と牙、そのすべてが武器であることだ。

普通に考えて、その巨体を見れば乱獲できそうにないと思うのだが…。


やはり冒険者、それほど強いのだろうな…。


…いや、ちょっと待て。

普通狼でも犬でも子供ってのは4~6匹ぐらいの数を生むはず。


残り少ないといっても、それらが出会えばそこまで危惧することも…。

そこまで考えて、背中を走る悪寒に気づく。


というよりもそれを思いたくはない。


「…若様は察しがいいようですね。」


それを見ていたエネラは眉を顰め、その顔には悲しみと嘆きの表情が浮かんでいる。


「そうです、若様。乱獲されたのは成長途中だった銀狼たちです。それを守るために無茶した親の銀狼たちもまた…。」


それを聞いていたアダントとエフィの目には、悲しみの感情が表れていた。


"えげつねぇことするな…。いや、俺も人の事が言えねぇか…。ゲーム内で同じような事してたしな…"


自らの行っていた行為を思い出し、天を仰いだ。



MMORPGとかでよくやってた気がする。

改めてやられた視点で書いてみると、自分がやってた行為がどれだけ外道なのかがわかった。

でも、素材はほしいんだもん…

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