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ラッキースケベ&アクション2  作者: LSA製作委員長
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お兄ちゃん、お兄ちゃん、好き、好き〜♪

 痛むわき腹を我慢しながら、授業を聞く。

ホームルーム、一限、二限、三限、四限と終わり、昼休憩のチャイムが鳴った。

 教室を後にし、食堂へと向かう。

階段を一階降り、中庭を通り食堂棟へと着く。

 食券を買い、並んでメニューを受け取り、入り口近くの席を探す。

 ちょうど二つ並びの席が空いたテーブルを見つける。

向かいも空いているで広い。

 そこにトレイを置き、席に着く。

水を一口飲む。

静かなのはここまでだった。


「お兄ちゃん、大好き」

 理香がタックル気味に背中から抱きつく。

「お兄ちゃんのにおい、好き好き」

 そのまま背中に頬ずりを始める理香に、箸を止める。

まとわりつく理香を、ため息混じりに引きはがす。

「食べてる時は邪魔すんなって、何回言ったら分かるかなあ」

「だってお兄ちゃんが大好きだもん」

 理香は悪びれず、真っ直な瞳で答えになっていない答えを返す。

 自分への好意に、人は抵抗できない。

 言葉に詰まったままのお兄ちゃんを尻目に、理香はお兄ちゃんの隣に座り、持参の弁当を広げる。

小さな風呂敷が開かれ、小さなお弁当箱を現れる。

そこには、魔法少女のキャラクターが描かれていた。

「お兄ちゃん、あーん」

 弁当箱からサンドイッチを取り出し、お兄ちゃんに差し出す。

「いいから、黙って食え」

「はーい。お兄ちゃん、照れちゃってカワイイ」

 理香は素直にお兄ちゃんに従い、黙々と弁当を食べ始める。

食堂の雑踏の中、二人は無言で箸を進める。

お兄ちゃんは雑にかき込み、理香は小さくサンドイッチをちぎり、小さなお口に放り込んでいく。

 ちなみに、この理香が、唐子の言うオレの女である。

その関係性は従姉妹なのだが、唐子にしてみれば、理香に悪い虫が付くのが気に入らないのだ。

それが理香が主体的に好意を寄せる相手だとしても、お母さん、お姉さん、保護者きどりの唐子には気にくわないのであった。

その唐子は昼休憩は部活の昼練習が忙しく、ここ食堂には現れない。

 一通り食べ終わり、お兄ちゃんは一息をついた。

「お兄ちゃん」

 それを待っていたかのような絶妙なタイミングで、理香が声をかける。

不意に呼ばれたお兄ちゃんは、気を抜いたまま振り向く。

間近に迫る理香の顔。

隙だらけのお兄ちゃんは、唇を逸らすのが精一杯の抵抗だった。

頬に柔らかな感触が伝わる。

「ちょ、おまえ」

「うふふ。お兄ちゃん、照れちゃってカワイイ。キスなんて今時五年生でもしてるよ」

 理香がいたずらげに笑う。

少女の理香から女の顔が垣間見えた。

お兄ちゃんの鼓動が激しく跳ねる。

「ちょ、おまえ、なんちゅうことを」

「理香がキスするのは、お兄ちゃんだけだからね。誰とでもしないよ」

 ドラマで見たのか、何に影響されたのかは分からないが、とにかく理香の女性的な台詞に、お兄ちゃんの鼓動がまた跳ね上がった。

「なあに、お兄ちゃん」

 狼狽するお兄ちゃんを、理香は不思議そうに見つめる。

無垢な瞳の輝きに、心臓の鼓動が高まっていくを自覚する。

脈も速く、何だか熱くなってきた。

 全面的な自分への好意に、人は飲み込まれる。

「お兄ちゃん、熱でもあるの? なんだかお顔が赤いよ」

 自分を映し出すその瞳に、不意に衝動が走る。

その強さに呼吸を忘れ、その強さを身体がもてあます。

 激しく、熱く、強く、壊れるくらいに、今すぐ抱きしめたい。

 息が詰まり喉が乾く。

全身の筋肉に力が入る。

 輝く瞳、柔らかそうな頬、先ほど振れた唇に、透き通るような肌、弾力ある質感。

自分よりは頭二つは小さい華奢な身体。

 抱きしめたい、抱きしめたい、抱きしめたい。

 身体を巡る血液が衝動にたぎる。

ここが食堂でなければ、人前でなければ、理香と二人きりであれば。

 自分が自分でなくなるような、自分の中にもう一人の自分がいるような、この先どうなるのか、お兄ちゃんは安定を失っていた。

 だが、幸いにもここは学校の食堂だ。

多数の同校性達が食事する雑踏の中だ。

正気を失うには、日常的すぎる。

 お兄ちゃんは、下っ腹に力を入れる。

呼吸を少し止めた後、息を吐く。

丹田で、衝動の暴発を抑え込む。

「なあに、お兄ちゃん?」

 真剣な顔に、理香はからかうような小悪魔的な笑みをこぼす。

からかわれている、そんなことは分かっているのに。

 頭では理解しても本能では理解できず、恭一お兄ちゃんはもがき苦しむ。

 いっそのこと、この場で、快楽を満たし尽くせば良い。

 衝動が自制心をすり抜け、鎌首をもたげる。

 苦しむ必要なんてないのです。

相手が大好きと言っているのです。

その気持ちに答えなくて、なんの男でしょうか?

 欲望の悪魔が囁く。

お兄ちゃんは、甘美な誘惑に揺れ動く。

今度は逆に、理性の天使が反論する。

 てか、好きって言ってもライクじゃねえ? ラブじゃなくてライクな。

そこを勘違いするなんざ、安っすい男だぜ。

 そう。

今はまだライクなだけです。

理香さん、彼女も揺れているのです。

貴方の押しでライクをラブにするのです。

 そうかなあ。

近所のええ兄ちゃんに対するライクなだけの気がするが。

 ええい、彼女から好きと言って誘っているのです。

女性に恥をかかせる気ですか?

 おまえら、そんなに仲良いなら付き合っちゃえよ。

でその気になるのは男だけ。

元々そんな気なら女の方から告ってます。

 ですから、理香さんがははっきり大好きと言っています。

告白しています。

 だからその大好きがライクなんだって。

 やんのかコラ、あーん!!

 いつでもやったんぞコラ、あーん!!

  悪魔と天使の論争が堂々巡りし、ついに黙示録を始め出す。

「どうしたの、お兄ちゃん。考え事?」

 頬に柔らかな感触。

気が付くと、心配そうな、寂しそうな表情で、理香が顔をのぞき込んできていた。

柔らかな頬の感触は、理香の両手だった。

いつの間にか間近に迫り、お兄ちゃんの顔を両手で挟み込んでいた。

 不意の出来事に咄嗟にお兄ちゃんはビビってしまう。

我知らず顔を下げてしまった。

 理香はその拒絶に、目の色を曇らせる。

今にも降り出しそうな雨雲の瞳に、うっすら雨が浮かぶ。

身体が勝手に動く。

正確には、心が身体を勝手に操作した。

我知らず手を伸ばし、そこに優しく触れる。

その温かな感触に、理香は顔をほころばせた。

「えへへ。お兄ちゃん、ありがとう」

 頭に置かれたお兄ちゃんの手に、理香は自分の小さな手を重ねる。

目の色の雨雲は一瞬で吹き飛び、天晴れな青空へと変化する。

無邪気な笑顔で、また真正面から宣言する。

「お兄ちゃん。やっぱり、大、大、大好き」

 理香はまたその大好きな胸に飛び込んだ。

 お兄ちゃんに抱きつく理香を遠巻きに見ながら、同校生達が呟く。

「ちょっと何なのあれ?」

「お兄ちゃん君と理香ちゃんでしょ。

知らないの? 

食堂じゃ有名なバカップルよ」

「違うわよ。

わたしが言ってんのは、なんで高等部の食堂に初等部がいるかってこと?」

「アハ、ほんとに知らないんだ。

あの小さいのが理香ちゃんで、高等部の一年よ」

「高等部の一年?」

「良いリアクションで嬉しいわ。

一言で言うと、飛び級ね。

実年齢は十一歳ぐらいだけど、あんたより数学はできそうよ」

「わたしより数学ができないおまえが言うか?」

「良いツッコミをありがとう」

 学生都市第三学園高等部の昼休憩が、こうしてまた、いつものように幕を閉じた。

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