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手詰まり
「やるじゃねえか」
刀身をくわえたまま、二十三異は楽しそうに笑う。
影の頭部の、虎のそれに置き換わっている。直立する異虎は、迫る刀身を牙で噛んで受け止めたのだ。
もう一撃。
正宗の追撃の、虎は首を振り刀身を吐き捨てる。
刀を掴んだまま正宗は宙に投げ出される。
宝玉の力で宙を蹴り、体勢を立て直し着地する。
人虎型異獣。
折れた牙が生え替わる。
異獣。
人間を遙かに越えるスピードとパワーは獣のそれだが、何より恐れなければいけないのがその再生能力だ。
折れた牙などは一瞬で再生してしまう。
倒すには、筋肉へ酸素を運ぶ動力の要である心臓の破壊、神経伝達の要である頸椎の切断、思考要である脳の破壊。
それらすべてを一気に再生より早く行わなければいけない。
戦闘マニュアルには必ず複数で対処、討伐最低人数は五人とされている。
どうする、正宗?
そう自分に問いかけるも、選択肢は少ない。
倒すのは不可能、逃げるのは可能、防御に専念すれば少しはしのげるぐらいだった。
正宗は逡巡し始めた。




