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切り捨て御免
結界内に入った。
通信は途絶される。
音と風景が遠くに感じる閉鎖空間。
この世界であって、向こうの世界でもあって、両方の世界でもない境界線上の世界。
入るなり、影が襲ってくる。
居合いで叩き斬る。
影の数が多い。
ということは向こうとのつながりが深いことを意味している。
星見班の予測どおり、宝玉の光臨の可能性が高いと言うことだ。
それはプラスな面だ。
戦果が期待できる。
宝玉の確保。
それが今回の任務なのだ。
だがその反面、つながりが深いということは、向こうの世界からの影響も深いと言うことだ。
それゆえに、音と風景がかなり遠く、出現する影の数も多い。それに、
その深さ上に上異が出現する可能性は高い。
正宗は、丹田を締め上げ気合いを入れた。
予測出現ポイントまで走り出す。
遠くに影の黒だかりが見える。
何かを取り囲んでいる。
我が目を疑う。
人だ。結界に人は迷い込めないはずだ。
避難対象として見落としたのか、とにかく影に食われかけている。
その存在を食われる前に助けないと。
正宗は剣を抜いて跳躍した。