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ほんのちょい寂しい
寮に着き、鍵を開ける。
誰もいない。
今朝出て行ったときの空気のままだ。
玄関を上がり、階段を登って二階の自室へと戻る。
鞄を床に投げ捨て、学生服を脱ぎ散らす。
パンツ一丁のままベッドに大の字になる。
静といた時は気にならなかったが、一人になると腕とお腹の火傷が気になってきた。
鈍く痛む。
時計を見る。
宅配業者が来るまでには、まだ小一時間ほどある。
このままうたた寝してしまおうか?
まどろみ始める。
瞼が重い。
意識がぼやけてくる。
音に飛び起きる。
聞き慣れた音だ。
階下からインターホンのチャイムが鳴っている。
もう宅配が来る時間か?
かなり早いことに寝ぼけているので気が付かなかった。
パンツ一丁のまま、受け取りに出る。
寂しいのは、ここまでだった。