確保、そして
「全く盗賊と間違えてしまいましたわ」
とある酒場にて、机とか椅子が散乱した状態の中で金髪美少女――アリアスが華やかな笑みを見せる。
酒場にいた住人である俺たち一行は、散乱した机とかの上に干された状態で倒れてた。
察しがついてるかもしれないけど、彩華の号令でアリアスを捕まえようとして返り討ちに遭った。
真っ先に出はった桜が一瞬で倒されたあたりで、既に詰んでいたかもしれない。俺なんか痔が悪化して何も出来なかった。
「皆、生きてるの?」
「まさか私のポテンシャルを遥かに超えるアタックをするとはな。私の淫乱の火が灯らない」
「逢坂に踏まれたおかげで吐き気が……」
「私たちって……」
どうでもいいけど、いい加減にパンツとかブラジャーが丸見えなんで隠してほしい。
倒れ方が悪かったのか。桜のスカートは捲れた状態で倒れてる。白です。真面目だからか。
彩華も同じで黒と金の大胆な色合いだ。この人、下着の色を変えたら性格も変えれるのかな。
あと白雪もスカートが………こっちは見なかったことにしよう。
くっ、まだ尻が痛いが立ち上がる。
「ああ、とりあえず誤解を招く行動してすまなかったな」
「約一名ほど身の危険を感じさせましたわ」
「彩華!」
「エロ=私という方程式を作るのはやめてくれないか?」
「自分の行動を省みろや!」
「私に反省すべきことはない!」
「何なんだよ、お前」
自由な人だな。それが彩華クォリティー。
だけど、無理やり謝らせた。
「この私に謝らせるとは、お仕置きだな」
「ギャッ!」
話が進まない。それに痛い。
こんな時、頼りになるのが桜だ。
彼女は顔を赤らめて、乱れた衣服を整える。
「アリアス……でいいのよね?」
「そうですわ」
「貴方を捜してたの」
「どうやら、この世界の人たちじゃなさそうですわね」
服装で気づけよ。全員、学園の制服なんだから。
「どこから来たか知りませんけど、早めに元の世界へ戻ることをお勧めしますわ」
「私たち、アンタに『責任を取ってこい』みたいなことを言われて来たんだけど」
「私の考えは違いますわ。この世界を壊すから、その制御装置を探し回っているのですわ」
俺と桜と彩華が集まって円陣を組んで会議が始まった。
「手っ取り早い責任の取り方って世界を破壊することなんじゃないの?」
「白雪も混ぜ――」
「いや、駄目だ。私はまだ、この世界の可愛い女の子の味を占めていない」
「壊されると、俺の妹が消えてしまう」
「だから、白雪も混ぜ――」
「私はアリアスに協力すべきだと思うわ」
「私は反対だ。まだ逢坂くんの妹がどれくらい美人か見てないからな」
「俺も凜を更正させるまでは、この世界を壊させるワケにはいかない」
「2対1だな。どうする、高橋」
「解ったわよ」
よし、決まった。
そういえば誰かを忘れてたっけ。
「グスン……」
幼女が泣いている。慰めてやらないと、俺の中のロリコン魂に火が点いて火傷させてしまうかもしれない。
「白雪、一体どうしたんだ?」
「話し合いに参加させてもらえなかった」
俺は2人を睨みつける。
「お前ら! 白雪を無視するとは何事か!」
「お、逢坂だって無視してたじゃない!」
「俺は悪くない! なぜなら、話し合いを取り仕切っていないからな! ふっかけた桜が悪い!」
「理不尽よ!」
そこへ彩華があっけらかんと告げる。
「私は単純に白雪の泣き顔に萌えたかったから、無視してたからな」
「どいつもこいつも最低な連中じゃないの」
桜は顔を覆って嘆いた。
そんな桜を無視した俺だが、泣いている白雪の頭を撫でて可愛がっている。
終いには「おんぶ」なんて可愛く頼まれたから、喜んでおんぶしてあげた。
皆が口々に「チョロい男だ」と呟いていても気にしない。
「さて。俺たちはまだ君に世界を壊されては駄目なんだ」
「どうせ私に勝てないのに刃向かってくるの?」
「いや、君にも協力してもらう」
「はぁっ?」
驚くのも無理ないだろう。
自らの使命そっちのけで俺たちのヤっていることを手伝わせようとしているのだ。
なあなあで全て上手くいくように仕向けることこそが、ゲスの極みだ。
「というワケで俺たちと一緒に行動しないと、この淫乱がお前を地の果てまで追って汚しちゃうぞ」
「それって貴方たちと行動を供にしても、結局同じですわ」
「大丈夫。ヤツは下着を白に変えると見た目通りになる」
「何を言ってるんだ。逢坂くん、嘘はいけない」
本当のことだ。
一年生の夏休みの合宿中に桜と共謀して、ヤツに無理やり白の下着を着せた。ちゃんと目を逸らしてたからな。
結果は想像通り、ヤツは花も恥じらうお淑やかな女性に変貌した。言葉遣いも変わっていたから、劇的だった。
だが、その時の記憶は無くなるのは駄目だ。
半信半疑な様子のアリアスに苛立つ。
「とにかく下着を純白にすれば、信じてもらえるか?」
「なんやかんやでお前もエロいな」
黙れ。俺より彩華のほうが千倍もエロいよ!
何はともあれ、彩華自身は下着を白に取り替えないから桜が無理やり白に変えた。
見ようとしたら、白雪が尻に頭突きしやがった。
「そろそろリウマチとか切れ痔になるから、やめようか?」
「白雪は無視されるのが嫌なの」
「それは謝ったんだから、許してちょんまげー」
「うざ」
左様ですか。謝り方に問題があったのかな。
そうこうしている間に、下着を取り替えた彩華が出てきた。
さて、下着の問題は適当に下着売ってる店から取ってきた。代金なんぞ知らん。
着替え終わった彩華は、まるで別人の雰囲気を纏っていた。
「皆してヒドい」
涙目で彩華はか細い声で言った。
触れれば壊れてしまいそうな儚げな少女となった彩華は、何か守ってあげたくなる可愛さとか危うさがある。
彩華は突如、何を血迷ったのか俺に抱きついた。
「わっ、ちょっと……!」
「このままでいさせて?」
「おぅ……」
上目遣いで見られるとねー。
何も逆らえないじゃないか。
「逢坂、いい身分ね」
「そんなこと言われてもさぁー。この状態の彩華ってこう……なんつうか、本能的に守ってやらねばならない気持ちにさせるんだ。頼られたら、見捨てることが出来ない」
「それとこれとは話が別よ。結城さん、そろそろ離れなさい」
「あっ、さすがに失礼な振る舞いでしたね」
彩華は微笑みながら、そそくさと離れてしまう。
何だか背中が痒い。
やはり普段通りじゃない行動をされると、違和感しかない。
俺はドヤ顔をアリアスに向ける。
「これで安心なハズだ」
「大丈夫なの。性格とかガラっと変わってしまって」
「いいんだよ。コイツはこれで」
どうせ明日には戻してる。
「わぁー! 新しくお仲間が増えるのですか?」
「アリアス、この期待に応えなくして世界を壊せるとでも思ってるのか?」
「うっ……」
彩華のキラキラと期待するような眼差しと俺たちからの圧力に耐えきれなくなって、ついに折れた。
「判りましたわ。でも、貴方たちのヤりたいことが終えたら壊しますわ」
「やれやれ、長かった」
ひと息吐いた時、誰かの腹が鳴った。
「ご、ごめんなさい。お腹の虫が鳴っちゃいました」
「彩華……」
コイツ、食欲が通常の三倍になるんだった。
得るものは大きいが、失うものも大きくなりそうだった。




