表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/44

クリア

これは一体………。


「あんまり引っ付かないでくれる、ミオ」

「お姉ちゃん、どうしちゃったの?」

「いい加減、その甘えたがりをやめて。煩わしいの、わかる?」

「あぅ………ごめんなさい」

「これに懲りたら、私に抱きつくのをやめなさい」

「………うん」


昨日までと打って変わって、ミオが抱きついてくるのを嫌がって拒むミユがいる。ミオは姉に拒絶されて、既に涙目である。

大体の察しはつく。

凜が何かやらかしたんだろう。

ここは無関係を装って傍観者を決め込んでいる同士、レミに話を聞こう。


「レミ、何か起こったかわかる?」

「凜様と話をされて何か変わった様子で………なんか、洗脳でもされたかのような状態に見えます」

「賑やかじゃないなぁ」


洗脳なんて物騒なことをヤったのか。まだ結論づけるのは早いぞ。


「話してた内容とか知ってる?」

「いえ、全く」

「ちっ、使えない」


思いっきり舌打ちしてやると、レミは「ガーン」とあからさまに落ち込んだ。

同じ傍観者として親近感を抱いていたというのに、この不手際は寛容な俺でも失望する。総理大臣が靖国参拝した時のアメリカの失望っぷりと通じるものがある。

まあ、いいさ。形はどうであれ、姉のミユの妹に対する依存を直すことが出来たんだから良しとしよう。

そう納得した時、ミユが俺の目の前に来た。


「ご主人、これでよろしいですのね?」

「はい?」


何が?


「ミオを突き放すことです。これで捨てられずに済むんですよね?」

「……………」


頭が痛くなってきた。

凜、脅迫は犯罪だぞ。洗脳だったら、犯罪じゃないんだけど。


『そんなに姉妹でベタベタしてると、お兄ちゃんに捨てられちゃうよ?』


脳裏に過ぎる凜の言葉。何となくそう言ったんだろうと、何となくだけど察しがつく。

ちなみにだが、この姉妹奴隷の主人は俺で登録してある。だから、捨てる権利は俺にある。

俺はどちらかというと、姉妹で寄り添う姿は眼福だから放置していたのに………!


「なんて余計なことをしてくれたんだ!」


そう叫びたい! むしろ説教したい! ヤツに俺の複雑で変態な性癖を解らせてやりたい!

さて、凜を捜そう。


「レミ、凜はどこだ?」

「解りません」

「ですよね。ミユは?」

「存じません」


うえぇっ?

泣きたくなってきた。

凜が居ない時ってのは、捜しても絶対に見つからない。ツチノコレベルだぞ、本当に。

こういう時は奥の手しかない。


「凜ー。お兄ちゃんは寂しいから、出て来てー」


棒読みも甚だしい。もう恥ずかしくて死ねる!

それが功を奏したのか、凜が光の速さで現れた。


「お兄ちゃん! 凜は寂しくなかったけど、お兄ちゃんが寂しいって言うから来てあげたよ!」


すんげー笑顔の凜。寂しくなかったのは解るけど、俺が「凜が居なくて寂しいよ~」とか言っちゃったから超嬉しそうじゃん!

まあ、どうせスルーするから問題ない。


「凜。寂しいお兄ちゃんは心苦しいことに、お前に説教しなければならないんだ」

「凜が何かしちゃったの?」


俺がこれから斜め上の説教しようとしてるのに、全く気づかず可愛らしく首を傾げる凜。可愛いなー。罪悪感で何も言えなくなるじゃないか。

俺は笑顔で凜の頭を撫でてやる。1つの意趣返しというヤツで、かなり思いっきりクシャクシャと撫でる。


「課題クリアおめでとうさん」

「えへへー、スゴいでしょー?」

「うん、スゴいよ」


ある意味でな! そして黒幕が俺と解ったミユは、怨むような目ですげー睨んでくる。


「どんなマジックを使ったんだい?」

「あのね、ミユに『そんなに姉妹でベタベタしてると、お兄ちゃんに捨てられちゃうよ?』って言ってあげたんだー」

「そうか」

「褒めて」

「よしよし」


投げやりな気分で頭を撫でてやる。凜の目を細め、頬を赤く染めて俯く姿は正に恋する乙女そのもの。何この可愛い娘、血が繋がってなかったら理性なんてとっくの昔に吹き飛んでるぞ。

ああ、もうそんなに睨むなよミユ。嫉妬か!

さて、形はどうであれ課題はクリアしてしまった。

後は、


「やあやあ、捗っとるかい諸君!」


どうやって現れたのか知らんが、ルシファーが俺の下半身の前でしゃがんでの登場だった。しかも涎を垂らしてる。


「んー、なかなかじゃないか。それでこそ我が嫁! 俺はいつでもウェルカムだ!」

「死ね!」


アダルティー吸血鬼をボコボコに蹴ったが、ヤツは平然と立ち上がる。


「ふむふむ、助けがあったとは言え、課題クリアしたのだな? 重畳、重畳」


ルシファーは懐を弄り、どうやって収まってたのか気になるデカい地図を取り出す。

それは次の上級悪魔の居場所を示す、結構重要な地図だった。


「はい、じゃあ渡すね。それと、君は姉妹奴隷の現状を見て何も思わないのかい?」

「何で私が他人のことを気にかけなきゃいけないの?」

「そっか。………最低だね」


そういえばルシファーは美形だ。イケメンの笑顔は嫌味を感じさせない。しかし、言ったことは棘しかない。

それは凜に浅く刺さり、顔をしかめるだけの効果しか生まなかった。

その笑顔に見惚れたのは、偶然にも仲良く談笑しながら散歩中の侍女たちだった。

ルシファーは舌なめずりしていた?


「屈強な人たちが多くて美味そうだ」


その侍女たちの後ろで警備を担当していた甲冑姿の騎士たちの事だ! 騎士たちが寒気を感じてこっちを見てきたのに気づいたリアルホモが、彼らに投げキッスをした!

侍女たちは「キャー!」と色めき立って、騎士たちは青ざめて警備に集中した。

後で男たちの野太い悲鳴が宮中に響くのは、時間の問題だった。

騎士たちを哀れんでいれば、ルシファーが俺に笑顔を向ける。


「やはりメインディナーの前では、他の食事など霞んでしまうものだね」

「知らねーよ。食べてないものと食べたものを比べるな」

「そうだね。では、行こうではないか。今すぐにメインディナーである君を食べてしまいたい」

「キモい、ウザい、消えろ、カス、死ね」


見事な5コンボ達成! だがヤツを悦ばせるしか効果がない。


「ツンデレか! そんなに照れるな」

「特殊過ぎるだろ」


何でこんなに濃いんだろう。そして、何で好かれたんだろう。

その後、逆上した凜の鞭打ちに敢えなく轟沈したルシファーは退散した。

気を取り直して、凜は受け取った地図を広げる。

地図だと思ってたソレは単なる紙で、書かれていた事は。


『ダイエー帝国の股裂きー』


と、だけ書かれていた。


「あの方は何者なんでしょう?」


首を傾げるミユに俺は呆れ果てた顔で答える。


「ただの尻掘り名人だよ」


どこか遠くから騎士たちの野太い悲鳴が轟いた。

ようやく第一部は残り1話を持って終了します。

後味が悪いのは、凜の「課題さえクリアすればいいんでしょ?」みたいな考えを持ってるからです。

他人の事なんて全く考慮しない人間って最低だけど、それが美人だったら許されちゃいます。むしろ女王様みたいで許容範囲内に収まっちゃう、みたいな。


さて、今回でかなりの被害を被ったミユミオ姉妹に良いことがあればイイですね。

皆さんは、人気投票をした時、ルシファーを選びますか?

何か物凄く特殊人物になっちゃって正直、人気なんて全く無さそうに見えるんですが。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ