原点に戻ろう
前回、同じ部分が連続していたことを指摘されました。
携帯での直しというのは困難を極めるので、私は直しません。誠に勝手ながらすみません。
それと指摘してくださった方には、礼を述べます。
ソファーというのは、フカフカで柔らかく寝心地がイイ。狭いことを除けば、だが。
王宮のソファーは質が高く、横になってると途端に眠くなる。
でも、今は眠くない。
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
うなり声を上げ、頭をかきむしって悶える。
絶賛、凜に嫌われて傷心中です。
「大丈夫ですか、ご主人」
ミオが右腕に抱きつかれてるミユが、心配そうに声を掛ける。
「嫌われちゃったぜ。もう死のう」
「重傷ですね」
はい、そうですよ。ほっとけ!
俺はハンカチを取り出して噛み締める。
「ムキャァァァァァァァァァァ!」
ビリッ!
ハンカチを真っ二つに破ったところで、心が落ち着いてきた。
よくよく考えてみれば、凜に嫌われたのは僥倖じゃね?
これがキッカケとなり、最終的には兄離れするハズ!
思い立ったら吉日、だから本格的に妹に嫌われ始めようではないか!
決心を新たに俺は立ち上がる。
「やぁってやるぜェェー!」
「うるさいです。騒がないでください」
あら、辛辣。
「ミユちゃーん、ご主人様に対する敬意が微塵も感じられないよー」
「なんでご主人に敬意を払う必要があるのですか?」
真顔で返された。やだ、この子。最近、辛辣になってきてない?
ここはご主人様として威厳を出さねば!
「敬意を払ってくれないと凜に会わせるぞ」
「追い出すよりも酷な仕打ちです………」
「はっはっはー………?」
物凄い視線。殺気だった。
ミユに抱きついてるミオからだった。
「お姉ちゃんに悪さをしないで………!」
「ちょっとくらい脅して反応を楽しむくらいイイじゃん。なに、イタズラされたい?」
R指定のビデオと同じ悪戯をやりますが、何か?
「ふざけないでください。真面目に生きてください」
「バカを言うな。俺はいつだって真面目だ」
部活の部長から「君は知れば知るほど残念な人だね」と評価を受けたからな! スゴいだろう!
そんな残念なものを見る目で見ないでくれ。感じちゃう………ビクンビクン。
ところで。
「ミユはあの吸血鬼が言っていたこと、どう思う?」
「課題はまだ終わってない、でしたっけ? そもそも課題自体解らないので、答えようがないです」
「課題は奴隷を買うことだよ」
日のない街だったか、日が届かない街のどっちかが最初に有ったような無かったような。どうでもいい。
「奴隷を買って終わりなハズなのに、まだ終わらないんですか?」
「そうなんだけど」
「解りません」
そうだろうな。
それよりも、気になることがある。
「ミユとミオも仲がイイよね。互いに依存し合ってるみたいだね」
「悪いんですか?」
「いつまでも一緒に居られないんだから、依存するのは直したほうがいい」
そう言った時、廊下に気配を感じた。きっと凜が謝りに来ていたんだろう。
それよりも、ミユが怒りを露わにしているのが恐ろしい。
「依存の何がいけないんですか! たった1人しかいない家族と一緒に居ることはいけない事なんですか!?」
「そういうワケではない」
「だったら………!」
「もうすぐ大人になる人間がいつまでも身内で寄り添うのは駄目だ。いつかは結婚して家庭を作って子供を作るんだぞ」
「私にはミオがいます! ミオには私だけがいればいいんです! それに奴隷である私たちは結婚なんて夢物語でしかないんです!」
「…………」
何も言い返せなかった。
所詮、齢18歳の浅い人生経験しかない失恋男には、この姉妹が抱える問題を解消するというのは荷が重すぎた。
「何も出来ないのに偉そうなこと言わないでください!」
姉妹は部屋から出て行った。去り際、姉妹揃って「二度とこういうことはやめてください」と言い捨て、扉を勢いよく閉めた。
すれ違うようにして凜が入ってきた。
「盗み聞きは感心しないぞ」
「あぅ………気づかれてた」
しょうがないか。
「凜。俺から特別ヒントを上げよう」
「なぁに?」
「あの姉妹って互いに依存し合ってるみたいだから、それを直せばいいんじゃないかな?」
答えそのものを言ってしまっていた。どうせ凜がヤらなければ、誰が何をしたって無駄だからな。
「うん、わかった。それよりもね、お兄ちゃん」
急に改まってどうした?
「さっきは『嫌い』とか言ってごめんなさい!」
深々と凜は頭を下げた。
涙の謝罪というヤツで、凜は頭を下げた状態で涙を流してる。
たぶんだけど、凜は「俺が凜から離れてしまう」なんて考えてるんだろう。必死に繋ぎ止めたい、という思いが伝わってくる。
凜がブラコンであるように、俺はシスコンなのかもしれない。兄離れさせたいという決心が崩れ落ち、ついつい甘くなって赦してしまう。
「こっちだって凜が疑うようなことをしたんだ。お互い様たろう?」
「居なくなっちゃ駄目だよ、お兄ちゃん。凜はお兄ちゃんが必要なの」
それを聞いて、俺は優しく微笑む。
「俺も凜が傍にいてくれる、それだけで幸せだよ」
「お兄ちゃん………!」
凜は嬉し涙をたくさん流しながら、俺に抱きついた。
内心、俺は自己嫌悪に陥っていた。
『本当、何やってるんだよ』
自分でも解らない。
結局、凜が俺への依存度は変わらない。むしろ悪化の一途を辿る。
なんやかんやで姉妹に何も言う資格なんてものは、最初から持ち合わせていなかったのだ。
最低だ。




