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日のない逃走劇

今日は調子が良かったので、連続投稿です。

明日は正午からの投稿となり、たいへん迷惑をかけます。


本来の役目からかけ離れてしまった。

本当なら妹と一緒にいて見守る立場だったハズなのに、こうして妹と離れ離れになっている。

なんで見ず知らずの姉妹を連れて逃げ回らなければならなくなるのかが、人生というのは予想外の事で一杯だ。

それにしても。

姉の方は銀髪の赤い瞳で、さっきから俺をキツく睨みつけている。お前のせいでバレたんだから、睨むのはやめてくれないかな。確かミユちゃんだった。一歳年下。

妹は金髪の蒼い瞳で、さっきから姉の背中に隠れている。名前はミオちゃん。なんとミユちゃんと同じ年齢。双子の姉妹でした!

こういう時、何て言うんだっけ。確か親友の言ってたことを参考にしよう。


「萌えるっ」

『いたぞっ』

『ビクッ』


不注意でした。そういえば逃げてる途中だったね!

人間が魔族の速さに勝てるハズもなく、いとも容易く追いつかれ追い越された。


「おや?」

『奴らは馬車に乗ったぞっ』


思い返してみれば、ルシファーが俺を奴隷の身に落とすハズがなかったな。奴が奴隷にしてきそうだけど。

奴らが追ってるのは、間違いなく凜たちだろう。

ヤバくね?


「なぁ、ミユちゃん。追われてる奴ら、助けた方がいいと思う?」

「私は貴方に買われた身です。主の命令に従うのが奴隷でしょう?」

「うん、そっか。じゃあ追いかけるよ」


そう口走った時、目の前に変人が立ちふさがった。


「そうはさせぬわー!」

「やっぱり来るのかよ。前に美少年じゃなかったばっかりに残念がってたじゃないか」

「嫉妬か?」

「冗談は寝てから言え」

「じゃあ今から寝る」


棺が出て来たとビックリしては、すぐにルシファーは中に入って閉めた。

中から響くいびき。色気もへったくれもない。


「バカだ」


わざわざ起こす必要がないから、そのまんまにして先へ進む。

なんやかんやで妹が大切で、過保護な兄だった。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


結果、追いつけませんでした。

凜たちは追っ手を返り討ちにして、どこかへ逃げ去ってしまったようで。

返り討ちに遭った奴らが、息も絶え絶えで倒れている。


「奴らは化け物か」

「俺らが化け物じゃん」

「そうだったっけ? あの黒髪の奴が強過ぎて圧倒されたから、こっちが化け物だって忘れてた」

「はぁ、快楽漬けにしてやりたかった」

「調教のしがいがあるよな」


とりあえずあまり気分の良くない下劣な会話だったから、喋ってる奴らにトドメを刺してあげた。

魔族を確実に殺す方法は、首を切り落としてしまうことだ。そんな事くらい落ちてる剣を使えば、楽に終わる仕事だ。

妹を下劣な目で見た罰である。万死に値する。

全て斬り終えたところで、額の汗を拭う。


「イイ仕事したー」

「…………」


それにしても、女の子に睨まれるのは辛い。罪悪感で死ねる。


「信頼してくれよ。別に取って食うワケじゃないんだからさ」

「同じ人でも私たちは奴隷です。ミオには手を出さないで」

「はぁ………」


知らねーよ。

ここで悪ノリしてしまうのが、俺のイイ癖だ。


「じゃあ、ミオちゃんを守るためだったらあんな事やこんな事をしてもイイの?」

「貴方がそう命じるんだったら………」

「じゃあ今すぐ全裸になってみて」

「………解りました」


って、本気で脱ごうとしやがった!


「ストップストップ! 俺が間違ってた。服を脱ぐなー!」

「騒がしい人ですね。童貞?」

「かはっ」


返す言葉も何もない。


「へぇー」


ニヤリとミユちゃんは笑んで、俺を見下すような目で見る。

ねぇ、君ら奴隷だよね? 俺が買った訳じゃないけど、一応の主に向かって失礼じゃないかね。


「そういう君らだって処女だろうが。婚前交渉でもしてんのか?」

「当たり前です。女は清いままだと価値が高いですから」

「うへぇー」


ホモネタの次は下ネタかよ。

俺の友達に「処女はメンドクサい」なんてモテる男のセリフをぶちまけた奴がいたけど、この国じゃあ処女は価値があるらしい。処女信仰でもしてんのかね。


「もうやめようか、この話し。鎖とか諸々外して自由にしてあげるから、2人で幸せに暮らしたら?」

「本当に!?」


ミオちゃんは歓喜し、


「それは優しさですか?」


ミユちゃんは疑り深かった。

ちなみにこれは優しさではない。


「単なる自己満足だよ。君らを野垂れ死にさせるか、また奴隷として売り飛ばされるか見守りたいだけだよ」

「グズより劣る所行ですね」

「まあ、買っちゃったんだから責任は取るよ」


とか言いつつ、俺は姉妹の鎖を解き放つ。


「付いて来る? それとも逃げる?」


止めはしないよ、と俺は笑顔で迫る。

俺としては、このまま逃げてくれた方が無駄な出費を抑えられる。


「お姉ちゃん………」

「………不本意ですが、ついて行きます」

「よろしい。じゃあ先ずは………おい」


俺は真後ろにある棺を蹴った。鋼鉄製だったから、足が痛い。

棺が開き、冷気を伴って変人が起き上がる。


「寝たから、言いに来たぞっ」

「知らねーよ。おら、さっさと馬車とか用意しろよ。テメェには、まだ仕事が残ってんだからよ!」

「アヒィッ!? そんなに刺激を喰らっては断れんな!」


顔を赤らめ息が上がったルシファー。彼は指を鳴らすと、一瞬で馬車が登場した。


「ついでにこの子らに新しい服を用意しろ、大至急! 10秒以内に出来たら、お前の棺を使ってやろう」

「喜んで!」


マジで10秒以内に準備しやがった。

ルシファーは餌を欲しがるあまり尻尾を振る犬みたいになってる。

しょうがないから、棺を使ってあげよう。


「何故持ち上げる? 添い寝してあげるんじゃなかったのか!?」


どっからそんな話題がでやがった!


「俺は棺を使ってあげるだけなんだぜ。喜べ」

「アヒィィン!」


ガンッ!!

鈍い衝撃と気持ち悪い喘ぎ声と共に、ルシファーは崩れ落ちた。


「さあ、運んで。出発だ」

「うわー」


引き気味な様子でして。確かにコレを見たら、誰だって引いちゃうよな。

まだ俺は気づいていなかった。

こんな事をしても結局、この変人を悦ばす結果にしかならないと。

凜たちは隣町に逃げたと思うから、足跡を辿りつつ合流を急いだ。






ついにクリスマスですね。

学校も休みだから、奮発してステーキでも買おうかと思ってます。ステキ!

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