第1章 セカイノハジマリ
その日、私が学校から帰ってくると
兄が私のパンツを咥えて玄関に立っていた・・・。
私の名前は鏡 麻美高校1年生。
今年の4月に市内の虹彩学校に入学。
入学志願の理由は、単に学校と家の距離が近くだったから。
学校と自宅の距離はだいたい1kmぐらい。
家庭関係は兄と二人暮らし。
両親は私が幼いころにどこかへ旅立ってしまった。
詳しい理由は兄にもわからないらしい。
学校生活は概ね良好。
友達も何人かできた。
そんな私が学校から自宅へ帰ってくると
文字通り、兄が私のパンツを咥えて玄関に立っていた。
「ほかへり。」
「え!?」
私は急な出来事に驚くことしかできなかった。
兄が自分のパンツを加えている姿なんて誰が想像できるだろうか。
私は慌てて玄関の戸を閉め、深呼吸した。イカくさい臭いが鼻を襲う。
「一応聞くけど、何をしているの?お兄ちゃん?」
私の質問に兄は口からパンツをはずし、答えた。
「何って、おかえりのあいさつだよ。」
どこの国にそんなあいさつが存在するのだろうか。存在していたとしても認めたくない。
「えーと、とりあえず私のパンツを返して。」
そういって兄の手から自分のパンツを奪い取る。
兄が返してくれなどといっているが無視して二階へあがった。
自分の部屋は二階の一番奥。
我の敵である忌まわしき太陽を打ち消してくれる・・・じゃない。
朝日が苦手なため、この部屋を選んだ。
部屋を空けるとそこは、私のパンツが無数に散らかっていた。
私は光速を凌駕する速さで一階へ降り、兄の胸倉を掴んだ。
「お兄ちゃん、どういうことか説明して!」
兄はエア眼鏡をもちあげ、こう言った。
「簡単に言うとだな、そんなパンティで大丈夫か?一番いいパンティを頼む!のスパイラルが起きて・・・。」
「もう、最悪!!」
私は兄の(一般男性の)弱点部位を大胆に蹴り上げ、また二階へあがった。
部屋の中は先ほどとかわらず自分のパンツが散乱していたが、
それらを無視してベットの上に腰掛けた。
そして自分のベッドのシーツがイカ臭いことに気づく。
また兄のところへ行こうとしたが、疲れていたので放って置く事にした。
「ふぅー。」
私は大きくため息をつき、天井を見上げた。
一週間分の疲れが吹き飛んだ感じだ。
大体、いつもはこんな感じではないのだ。
兄は静かだし、いつも地下で何かの研究をしている。
パンツを咥えていたのだって今日が初めてだ。
なぜ兄があそこまで性格が一変するのだろう。
そんなことを考えていると部屋の戸が勢いよく開いた。
兄が入ってきたのだ。
「お兄ちゃん、今日ちょっとおかしいよ。何かあったの?」
疑問に思っていたことを素直に聞いた。
まともな返事が返ってくるのは期待してない。
「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれた!遂に完成したんだよ、僕の研究が!」
まだ言葉のキャッチボールはできるらしい。
私は近くにあったファッション雑誌を手に取り、開こうとしたが兄に取られた。
「真面目に聞いてくれ、これは日本、世界規模で行われる一種の戦争だ。下手すると●●膜に関わる。」
サイテー。最後の一言が余計の域を超えている。
「で、私に何をしろと?」
そういって読もうとしていたファッション雑誌を取り返し、
開こうとしたところでまた取られた。
「パンティ戦争だ!対象とされるのは世界の女子高校一年生。お互いのパンティを取り合い、最後の1人になるまで行われる!」
我慢の限界だった。
「いい加減にしてよ!さっきからなんなの?言ってることが意味わかんないんですけど!」
部屋の中の空気が重くなる。だが兄は、
「ならば理解できるまで説明する。これは現実だ。まぁ説明せずとも・・・」
そこで兄の言葉を打ち消すようにインターホンが鳴った。
兄は私の手を取ると二階から玄関が見える位置へ行き、兄が指差した方向を見た。
そこには・・・・・・1人の女子高校生らしき人がいた。