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緩衝地帯の町、アカーナ

 レンハルトを加えたアラン一行四人は、ノーデルシア王国とブレイテンロック共和国の緩衝地帯にある町、アカーナに到着していた。


 その町はそれなりに大きな町で、国境の間にあるということと、二国の友好的な関係を反映しているせいか、かなり高度な自治が行われていて、様々な人や物が集まる特殊な場所だった。


「私は宿を探して来ますから、みなさんはてきとうに町を見てきてください。私はまた昼頃にここに戻ってきますから」


 厩舎に馬車を預けてから、そう言ったエリルは一人で先に歩いていってしまった。残された三人はそれを見送ってからとりあえず歩き出した。


「二人とも、これからどうするんだい」


 アランが聞くと、まずはバーンズが口を開く。


「私は町の周囲を見てきます。レンハルト、お前はどうする?」

「装備の整備に行ってきます。魔物との戦いで少々傷んでいるので」

「そういうことなら、僕も一緒に行こうかな。ナイフの手入れをしておきたいし、行こうかレンハルト」

「わかりました。ご一緒しましょう、アラン殿」


 アランとレンハルトは町の中に、バーンズは外に向かった。


「ああ、ここかな」


 鍛冶屋はすぐに見つかり、外で剣を研いでいる中年の男にアランが近づいていく。


「武器の手入れを頼みたいんだけど」


 男はその声に反応して、手を止めて顔を上げた。


「いらっしゃい。ものはなんですか?」


 アランは自分のナイフを抜くと、それを男に差し出す。男はそれを受け取ると、刃を慎重に調べてから口を開いた。


「これならうちでやることはほとんどありませんな。よく手入れしてある」

「それならすぐに終わるのかな。手っ取り早く頼むよ」

「はいよ。そっちのお連れさんはなんです?」

「これを頼みます」


 レンハルトは自分の剣と盾を差し出した。男はそれを調べると軽くため息をついた。


「こりゃけっこう傷んでますな。今日はうちで預からせてもらって、明日取りに来てもらえますか。変わりは奥で見てください」


 そう言って男は店の中に入っていくと、アランとレンハルトもそれに続いた。店内はよく整理されていて、売り物の武具などが並べられていた。


 男は預かった武具を奥に置いてから、レンハルトの剣と盾に似たものを持ってきた。


「とりあえずこれをどうぞ。ナイフのほうはすぐに終わるんで、ちょっと待っててください」

「よろしく」


 アランはてきとうな場所に座った。レンハルトは借りた剣と盾を身に着けると、アランに軽く頭を下げる。


「私は少し町を見てくるので、また昼に会いましょう」

「ああ、これからのこともあるし、あとでゆっくり相談しようか」


 レンハルトは店を出て行き、それを見送ったアランは座ったまま自分のナイフが仕上がるのを待った。しばらくして、ナイフを受け取ったアランは鍛冶屋を出た。それからアランは気の向くまま町を散策しだす。


 町の賑わいはノーデルシア王国の首都の光景に馴染んでいるアランから見ても中々侮れないものだった。アランはなんとなく見かけた質屋に入ることにする。


 店内は日中だが薄暗く、少しほこりっぽかったが、商品は日用品から武器防具、家具やアクセサリー類、衣類等の様々なものが並べられていた。


「いらっしゃい、何かお探し?」


 店番をしていた中年の女が声をかけてきた。


「いや、この町には今日着いたから、色々見てまわってるんだ。これだけの町なら、こういう店には何か面白いものでもあるんじゃないかと思ってね」

「それならそっちのほうにあるから、好きに見てって」


 アランは女が指差したほうに目を向けた。そこは様々なアミュレットや指輪などのアクセサリー類が並んでいる。


「なるほどね。色々いわくつきのものもありそうだけど、掘り出し物もありそうだ」

「一目でわかるとは、中々お目が高いね。うちは質屋だから、まあ色んなものがあるよ」


 それからアランはすでに身につけているアミュレットは除外して、指輪を中心に一つ一つ手にとって調べていった。


 ただの指輪がほとんどだったが、中には呪いや魔力が感じられるものもあった。アランは呪いが感じられるものは手にとった時に水の精霊の力で浄化していく。


 そして、アランは一つの何の変哲もない銀の指輪を手に取った。それをしばらく手の上でこねくりまわしてから、指にはめてみた。しかし指輪はサイズが大きく、うまく指にはまらない。アランはそれをもう一度手の上に戻した。


「これはいくらだい?」

「ああ、それね。置いといたところに値段が書いてあるよ」


 言われた通りに指輪が置いてあった場所の下に値段が書かれていた。見た目よりはいい値段がついていたが、アランは迷わずその料金を出した。


 とりあえずそれだけ持ってそこを出ると、アランはすぐにさっきの鍛冶屋に向かう。そのまま店内に入ると、さっきの男がすぐに出てきた。


「おや、また何か用ですか?」

「これのサイズを変えてもらうことはできるかな」


 アランが買ったばかりの指輪を出すと、男は首を横に振った。


「そういう細かいものはうちじゃ扱いませんね。この通りの外れに細工師がいますから、そっちに持っていくといいですよ」

「そうか、ありがとう」


 指輪をしまったアランは外に出ると、通りの外れに向かい、こじんまりとした店に入った。店内にはアクセサリーから時計などの小物まで様々なものが所狭しと並べられている。


「いらっしゃいませ」


 店主らしき若い、眼鏡をかけた上品な雰囲気の男がアランを迎えた。アランは早速指輪を取り出す。


「この指輪のサイズを変えてもらえるかな」


 男は指輪を受け取ってそれをよく確認してからうなずいた。


「わかりました。ではとりあえずこちらで預かっておきますので、また明日、来て頂けますか?」

「ああ、少し店内を見せてもらうよ」

「どうぞ、ご自由にご覧になっていってください」


 アランは遠慮なく店内を見始めた。展示されている商品はどれもよくできていて、王宮の生活に慣れているアランの目から見ても上質なものが多かった。さんざん冷やかしてから、アランは料金を前払いして店を出た。


 それから数時間後、アランは待ち合わせの場所に向かった。そこにはすでにバーンズが先に来ていてアランを迎えた。


「アラン様、町はどうでしたか」

「中々いい町だと思うよ。ちょっと店を見てきたけど、どこもしっかりしてたし。そっちは?」

「この町の自警団が機能しているようで、町の周囲に魔物の気配はありませんでした。それに、主要な道も安全は確保されているようですね」

「なるほどね」


 そこでレンハルトが向かってくるのが見えた。


「すみません、遅くなりました」

「いや、別に遅くはないと思うよ。それよりエリルはまだかな」

「来ましたよ」


 言ってるそばから、いつの間にかアランの背後に立っていたエリルがいた。アランは頭をかいてから振り返る。


「宿は決まったのかい」

「はい、レンハルトさんも一緒にしておきました。それでいいですね」


 エリルの問いにレンハルトはうなずいた。


「そうして頂けると私も助かります」

「では、一旦宿に行きましょうか」

「やっと休めるよ」


 アランは背中を伸ばしながら、先に歩き出したエリルの後につづいた。

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